仲間としての最終確認
本日はいつもよりも多目に投稿しております。
パーティーは、メンバーに比例せず、かなりの盛り上がりを見せていた。
みんなで談笑しながら食事をし、晴信を弄り、互いの利点を褒め、突如始まったデザート争奪戦に。
終わるのがとてつもなく寂しいような、そんな気さえしていた。
しかし、料理もなくなるし、時間はどんどん過ぎていく。
やがて、もう帰らなくてはいけない時間になってしまっていた。
……そろそろ話す時が来ただろうか?
「……みんな、落ち着いて話を聞いてほしい」
「何だよ瞬一?えらく畏まっちゃって」
晴信が、言葉では茶化すが、その表情は真剣な顔であった。
なんとなく、そんな気がした。
「さっき言わなかった、俺と大和が遅れた理由だけど……」
言いかけて、一旦大和の方を見る。
大和は、黙って一回首を縦に頷かせた。
……分かった。
言うことにするよ。
「実は俺達、黒服の男達に襲われたんだ」
「え!?」
驚きの声をあげたのは、葵だった。
他の三人も、言葉には出していないが、驚いたような表情を見せていた。
「なんでまたお前達が……」
「大和は完全に巻き込まれただけだ。相手の狙いは……」
「瞬一にある、ということだよ」
俺の言葉の続きを、大和が代弁した。
「……詳しく事情を聞かせてください」
一之瀬が、俺に先を急かす。
別に急かさなくても話すつもりではいたのだがな。
俺は、昨日の話を交えつつ、事情を話した。
「なるほど。そんなことが……」
「そうだ。だから一応言っておく……なるべく俺には近づかない方がいい。俺が狙われているということは、その周りにいる人達もまた巻き込まれる可能性が高い。だから……」
「何言ってるんだよ、瞬一」
「え?」
言い終える前に、晴信が言葉を遮ってきた。
「誰がクラス分け試験の時に、お前にダメージ与えたと思ってるんだ?俺なら大丈夫だぞ」
「そうだよ!自分の身は守れるよ!」
「だね。現に僕は、君の前でそれを証明してみせたわけだしね」
「私もSクラスの人間です。それに一度、私は三矢谷君に助けてもらいました。今度は私が恩返しする番です!」
「みんな……」
確かに、俺達はS組の人間だったな。
自分の身は自分で守れるくらいにまでは魔術使えるんだもんな。
「空もこうみえて、中学校にはトップの成績で入ったんだよ!」
「ほぉ……あの試験をトップで」
難しいとされる中学校の試験をな。
「頭もいいとはな……もう俺が嫁に貰いたいくらいだ」
「!!」
ボン!という音と共に、空の頭から湯気が出てくる。
「お~い、どした?」
「な、なんでもないです……」
未だに真っ赤な顔を俺に見せ、空はそう答える。
「天然女タラシ」
「歩くフラグ製造機なのかい?君は」
「大和、お前にだけは言われる筋合いはないぞ。後晴信死ね」
「どさくさに紛れてひどいこと言うな!!」
いやだって本心なんだもん。
仕方ないじゃん。
「……話がずれそうだから元に戻すぞ」
なんかこのままいったらグダグダのまま終わりそうだから、俺は話を戻すことにした。
「今後、俺と一緒にいて、何か事件に巻き込まれるかもしれないが……それでもいいのか?」
最終確認だ。
「……」
みんな、黙って首を縦に頷かせた。
……決まりだ。
「なら俺は、お前らを信じる。晴信はそれだけの実力があることは身にもって知ってるし、葵と大和は去年からS組にいたから大丈夫だな。一之瀬はクラス分け試験の時に見たから、実力はかなりあることを知っている。空は、葵の言っていることから推測するに、力があるように見える」
つまり、ここにいる全員が、戦うに十分な力を持っているということだ。
「……これからも宜しくな、みんな」
それを言うと、みんなは笑顔で、
「ああ!」
「こちらこそ」
「宜しくね!」
「よろしくお願いします」
「これからもよろしくお願いします」
と答えてくれた。
こうして、気分がいいまま、解散することが出来た。
次回は、視点がとある人物に変わります。