事件後の変化
あの日から一週間が経過した。
迅がいなくなってからというものの、もう通り魔事件は起こらなくなった。
それに、迅はSクラスから消えた。
……仕方なかったのだろうな、多分。
アイツはもう二度と、こっちの学校に戻ってくることもないのだろうな。
それと、いい報告もあった。
まず最初に、この一週間の間に織が無事に転入してきた。
何が起こったのか分かっていない様子だったが、あの事件のことは話したくないので、心の中にしまっておくことにした。
次に、被害者の人達がみな学校に復帰したこと。
小野田も例外ではなかったらしく、今日から部活も再開することとなった。
そして……、
「どうして俺だけS組から外されてんだよ!!」
……クラス分け試験の結果、晴信はA組に落ちることとなったのだった。
小野田はDに、啓介はAに上がり、他の人はそのまま。
俺ももちろんS組に残ることが出来た。
Sから落ちたのは、晴信含め2,3人くらい。
……どれだけコイツらはテストできなかったんだよ、マジで。
「知らないよ……晴信があまりにも勉強してなかったのが原因だよ」
「キングダムハーツの登場人物全員書いたのに!!」
「……そこに時間をかけてるお前もバカだよな」
まったく、コイツは本当にバカだ。
そこに時間かけてる余裕があるなら、他の所に時間をかけろって言う問題だよな。
「それじゃあ、今日から部活を始めるけど……」
「……晴信先輩、ちょっといい?」
「ん?何だ刹那?」
晴信先輩?
あれ、前まで『宮澤先輩』って呼んでたのに……。
さては刹那の奴……。
「……その、あの時は、ありがとう……」
声を小さくして、刹那は晴信に言う。
すると晴信は、
「ああ、あの時のことか。どうってことないさ。俺達は仲間なんだからな」
「仲間……」
仲間、か。
晴信にしてはいい表現をするな……S組から落ちたけど。
「それは言わない約束だよ……」
「あれ?また口に出してた?」
「はい、割としっかりと」
春香から指摘されて、俺はようやっと気づいた。
そっか……なんでこの癖治らないんだろう。
「さてさて、刹那がデレを見せたところで……」
「べ、別に晴信先輩にデレたわけじゃないわよ!!」
「誰が晴信にって言った?」
「しゅ、瞬一先輩!!」
「おっと!」
魔術を使ってこっちに攻撃してきた!
照れ隠しの攻撃だとしても、さすがに魔術を使うのは勘弁していただきたい。
「お、おとなしくそこに直れ!」
「嫌だね。何で俺がその意見を聞かなければならないんだよ?」
「くっ……受けろ!」
「ほいっと!」
このままじゃバトル展開に持ってかれそうになるな……。
「よし、晴信!出番だ!!」
「ええ!?お、俺?」
突然呼ばれた晴信は、何のことやらさっぱり分からないようだ。
構うものか、これでも喰らえ!
「晴信ミサイル!!」
「って、俺を担いで投げるな!!」
ブウン!
晴信を思い切り投げて、刹那に当てる。
……と、思ったけど、刹那は見事にかわしていた。
「か、かわされた!?」
「だ、大丈夫ですか……宮澤先輩」
優菜が慌てて駆け寄る。
晴信は……どうやら気絶してるようだ。
「気絶してるみたいだよ……晴信君」
「だな……しばらく寝かせておけ」
あ、織もこの部活に入ることとなった。
理由は……俺がいるかららしい。
何で俺がいると部活に入る理由になるのかはともかく、これで相当人数は増えた。
こんな感じで、騒がしい日常が続いていく。
この間までの事件なんて、まるでなかったかのように……。
かと思ったら、来月からは文化祭が始まることとなっているのだった。




