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Magicians Circle  作者: ransu521
通り魔事件編
202/309

本当の『計画』

「お前が……『組織』の一員だったのか」

「コイツだけじゃない。俺もだ」


そう言って、大地も大和の横に並ぶ。

迅は、そんな二人の顔を見比べて、


「……気にいらねぇ。その表情、凄くムカつく」


そう言った。

だが、大和と大地の二人は、特に気にすることなく話を進める。


「お前の言う『計画』というのは、それだけじゃないはずだ……違うか?」

「……何でお前らはそう考えた?」

「……単なる恨みを晴らす為のものだったら、こんな大規模な準備をしなくても、さっさと壊してしまえばいい」

「けれど、今の魔術の中では、世界を壊してしまえるほどのものはない」


由雪の質問に答えるかのような形で、大和と大地は答える。

二人は更に言葉を繋げる。


「まず、世界を破滅させる計画においての第一ステップとして、どうしてこの学校を壊滅させる意味があるのか?」

「……それは、お前の目的が、世界の破滅なんかじゃないからだ」

「……」

「もしかしたら世界の破滅も、成し遂げたい『計画』の一部に盛り込まれているかもしれないけど、それはあくまで副次的なものでしかない。お前の本当の目的は、別にあるはずだ」

「……そして君は、見つけた。『組織』に繋がる為の糸口となる、僕達を見つけた」


本来なら、大地は大和の言う『組織』のメンバーではない。

しかし、『組織』のメンバーと密接的な関係を持っているのも確かであった。


「……どうして『組織』の人間を恨む?由雪迅」

「……」


答えを言おうとしない、迅。

少し考えた後に、大和は言った。


「……数年前、光のてんしの体質を持つ人間が、何者かの手によって殺された事件が発生した」

「「!!」」


大和の言葉に、大地と迅の二人は、驚きの色を見せていた。

大地は、単なる新事実の発見に。

迅は、知られたくない過去をバラされたかのように。


「その人物の名前は……寺内麻美。その事件における唯一の被害者」

「……黙れ」


迅が、小さくそう呟く。

だが、大和は話すのをやめない。


「内なる力のバランスを整えることが出来なくなった寺内麻美は、突如としてその場で暴走。体から羽が生え、それはまるで、破壊する女神(ぼうそうしたあくま)みたいだと、人々は言った」

「……黙れって言ってんだよ」

「そんな寺内麻美は、次第に行動範囲を広げ、やがて建物を壊し始めた。緊急事態に対応する為、当時の『組織』のメンバーは、寺内麻美を排除することを決定し、そして……」

「黙れって言ってんだろうがぁああああ!!」


迅は、とうとう耐えきれなくなって、叫んだ。

大和は一旦言葉を止め、それから言った。


「……その時、寺内麻美を排除することを決めた『組織』の長が……この学校の校長でもある、石塚源三郎……そして、君の本当の目的は、石塚源三郎の抹殺……違うか?」

「……」


迅は、ここまで言われて黙ってしまう。

黙っていたのは、大地も同様だった。


「ど、どうして……そんなことを?」

「昔に話を聞いたことがあってね。まさかとは思ったけど……やはりそうだったとはね」


大和も、少し驚きの色を見せていた。

だが、それも少しだけであった。

次の瞬間には、もう普通の表情を見せていた。


「……く、くく」

「……?」


突如として、迅は笑いを堪えるような素振りを見せる。


「くくく……くはははは。ヒャアハハハハハハハハハハハハハァ!!!!」


そして迅は、壊れたように笑いだした。
















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