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Magicians Circle  作者: ransu521
王女来日編
20/309

葵の家にて

「アイミーを……殺す?」

『その通りだ。彼女がやろうとしていることは、少々やっかいなことでね。成立してしまう前に、早めに殺害さくじょしなければならないのだよ』

「……させないって言ったら?」


俺は、あくまでも喧嘩腰を崩さずに、尋ねる。


『その時は……我らとお主は敵同士だ。全く、邪魔者ヒロインを殺すまでの計画シナリオを実行するのに、また新たなる邪魔者エキストラが現れるとはな』

「「……」」


男はそれだけを伝える。

瞬間。

目の前に立っていた人形は、バタッと音をたてて倒れた。

そして。


「に、人形が消えていく……」


倒れていた人形がすべて、跡形もなく消え去った。


「……どうやら君は、結構厄介なことに巻き込まれたようだね」

「みたいだな……話は葵の家に行ってから、みんなに話す。別に隠すようなことはないし、分からないことだらけだけどな」

「それがいいよ。もし別の誰かと一緒にいた時、そっちの方が動きやすいし」


俺と大和は、葵の家に向かう為に歩き出す。

その間、俺達の間に会話はなかった。










「遅かったな、二人とも。もう準備は出来てるぜ?」

「みりゃ分かる……にしても、奇跡だな。晴信が襲わなかったなんて」

「オイコラ。俺は女がいたからって即刻理性が消え去るわけじゃねえぞ。それにな……」

「おお、うまそうな食事」

「人の話を聞けよ!」


晴信のことは一先ず無視して、俺は腰を下ろす。

テーブルの上には、所狭しと様々な食事が並べられていた。

……あの食材からこれらの料理が出来るとはな。


「あっ!瞬一に大和君!遅かったね~何かあったの?」


奥の方から、エプロンをつけてお玉を持っている葵が現れてきた。

……いや、お玉使って何料理してんだよ。

味噌汁系統でも作ろうとしてるのか?


「そのことはまた後で言う。それよりも、もう初めてもいいんじゃないか?」

「そうだね。それじゃあ……お~い!空!春香ちゃん!」


……いつの間に一之瀬と仲良くなっていたのか。

流石は葵、交友関係の広さを誇るだけはあるな。


「あ、はい!」


まずやってきたのは、同じくエプロンをつけた、紫色の長い髪の少女―――言わずもがな、一之瀬だ。

そしてもう一人。

葵よりも少し背が低めで、髪の色は葵と同じく茶色なのだが、こちらの方が長い。

そして何より、大人しそうな雰囲気を出していた。

……姉が活発だと、妹は大人しそうな女の子になるんだな。

何だか、こっちの方が姉みたいだな。


「初めまして。空って言います」

「ああ、初めまして。俺は三矢谷瞬一だ」

「さっきも言ったが、宮澤晴信だ!」

「大和翔。宜しくね」

「一之瀬春香です……えっと、その、よろしくお願いします」


それぞれ空に対して挨拶をする。

空は、その一つ一つに丁寧に答えていく。

……なんというか、将来有望な女の子だな。


「今の内にマークしとけば?晴信」

「おうよ!後何年もしたら、きっと……」

「晴信なんかに空をあげないわよ!」


グサリと、葵の言葉が晴信の心臓に突き刺さるような音が聞こえた。

あ~あ、立ち直るまでに少し時間がかかるな、こりゃ。


「でも、空は可愛いとは思うぞ。何年後かしたら、きっといい嫁さんになってるかもな」

「そ、そうですか……?」


少し顔を赤らめて、そう尋ねてくる空。

……ヤベェ、晴信じゃないけど、これは相当破壊力あるな。


「……どうやら一人、落としてしまったようだね、瞬一」

「なんのことだよ、大和」


意味深に笑う大和。

俺には、その笑みの表す意味がよく分からなかった。


「さて、絶望の淵に立たされている晴信はおいといて、とっととパーティー始めるか」

「晴信復活!!」


ちっ。

復活しやがったか。

まぁいいか、とりあえず始めるか。


「みんな!コップを持って!」


大和の掛け声に、俺達はジュースが入ってるコップを持ち上げる。


「それでは、僕達が同じS組になれた記念と、空ちゃんの中学進学記念に……」

「「「「「「乾杯!!!!!!」」」」」」


六人分の声が重なり、パーティーは開かれた。
















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