大和と瞬一の共闘
今回は少し短めです。
「……なんだ?」
「炎の魔術だね……こんな所で撃つなんて、一体誰が?」
「分からねえ……おい、大和。しばらく結界を張っててもらってもいいか?」
「構わないよ」
瞬一は、大和にそう頼みを言う。
大和は、嫌そうな顔も見せずに、その頼みを聞いた。
「……場所を感知する。それまでちょっと壁の方を頼む」
「分かった」
答えると、大和は結界を何重にも張り巡らせる。
瞬一はそれを確認すると、目を閉じて、集中する。
そして、
「(我の周囲にいる者を知らせ、場所を特定せよ)」
呪文を詠唱して、瞬一は自分達の周りにいると思われる敵を探る。
そして、
「特定した!」
瞬間。
大和が張った結界は、全て破壊された。
「ありがとう大和!お陰で特定出来た!」
瞬一は、その敵がいるだろう方向を向き、
「雷撃よ。我らに抗う者に静かなる眠りを与えよ!」
瞬一の右手に、雷撃が溜まる。
そして、
「スパーク!」
一直線に、雷撃が飛ぶ。
そこは、木が生えている所だった。
その雷撃は、木の後ろにいる敵を、
「……!?」
バタン!と音を立てて、黒服の男が倒れた。
「黒服……?」
瞬一にとって、黒服の男には身に覚えがあった。
昨日、路地裏で会った少女を取り囲んでいた男達も、黒服だったからだ。
「まさか……」
瞬一は、ある可能性を考えていた。
そしてその考えは、最悪の形で実現することとなる。
「……大和、こりゃ本格的にヤバいんじゃない?」
「そうだね……こうなるとは少々予想外だったね」
大和が、少し冷や汗をかきながら、呟いた。
「さて。数は十程……こりゃ結構苦労する羽目になるな」
「半分は僕に任せなよ」
「ああ。背中は任せた!」
「そっちこそ!」
大和は右を、瞬一は左手を。
二人はそれぞれの持ち場につく。
「「……行くぞ!!」」
一気に二人は走り出した。
「……!」
やはり黒服は、無詠唱で術を発動させる。
「こんな街中で火の玉出すなんて危ないじゃないか!」
大和はそれを、結界を張ることでやり過ごす。
同時に、
「風よ舞え!ウイング!」
大和が携帯を持つ手より、風が吹き出る。
相手の体に当たり、敵を吹き飛ばす。
近くにいる相手を巻き込み、気絶させる。
「余所見は厳禁だぜ!」
たった今やられた黒服の方を見る敵に、瞬一がそう話しかけながら、右手で相手の顔面に殴った。
同時に襲う、雷撃。
瞬一は、その右手の勢いを殺さず、体を回転させる。
すると、後ろから襲いかかろうとしていた黒服の男の顔に、驚愕の色が見えた。
「彼の者に雷撃を!ライトニング!」
右手の勢いを殺し、相手の正面を向く。
そして瞬一は、左手を突き出す。
瞬間。
「!?」
相手は感電して、倒れた。
「ふっ!」
大和は、相手からの攻撃を華麗に避けていく。
その内に、
「あっ!」
大和の持つ携帯が、黒服の攻撃を受けて壊れてしまった。
「……!!」
これを待っていましたと言わんばかりに、黒服達は攻撃を仕掛ける。
「や、大和!!」
瞬一は、思わず叫んでいた。
そして大和は、その攻撃のすべてを……。