断章1
大いなる支配者──すでに旧ではない──は、長い微睡の中にいた。
彼が眠る、ルルイエの都は今や地上にその存在を主張し続けている。深奥の玉座では、眷属と信者が奏でる非常に古い時代の楽器の冒涜的な音楽が奏でられていた。
この星をしばしの間貸し与えられていた民族、その中で一握りの、目覚めの前にその神々を崇拝してきた一族は、存在を許され、祖先の大願を叶えた彼らは、歓喜に打ち震えながら冒涜的な讃美歌を合唱している。支配者は、井戸の奥底から掬ってきた汚泥のようなゼリー状の肉体は時折、ブヨブヨと蠢いている。烏賊とも蛸ともとれる頭部が、触手を揺らめかせ、その中からは粘着質の膿んだ唾液が垂れ流され、地球と呼ばれていた星を陵辱していた。
前触れもなく、支配者はその六眼を開いた。それだけで、信者のうちの数名が倒れ、短い痙攣の後、口から臓物を吐き出した。
山のような巨体が何事か呟くと、恐るべきことに、腐肉が中空に集まり、不定形の塊を成形し始めた。次第にそれは、生成者である邪神とよく似た姿をとった。邪神と比較するとひと回り小さいが、落とし子の姿はそれでも山をゆうに超えている。怪物という他なかった。魚類と人のあいのこのような眷属も、合唱を止め、推移を固唾をのんで見ていた。
巨躯が山をも容易に割く鉤爪を振り下ろす。恐るべきことだが。、甲高い音を上げ、空間がひび割れた。文字の通り、何も無い空間が割れたのである。
何度か打ち付けると、巨大な穴が開いた。
邪神はそこに落とし子が入ったのを見届けた。
そして、再び六つ目を閉じ、長い眠りにつく。
冒涜的な賛美歌は止まることはない。