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42 雨上がり

現代のローズ編です。昨夜は前回までの200年前のマイラの時のことを思い出していました。



 昨夜降り続いた雨は朝にはやんでいた。

 ローズはほぼ一晩泣き明かし、その後少しうつらうつらと眠れた時にはラインハルトの夢まで見てしまった。


 窓から差し込む光にローズは気持ちを新たにキッチンに向かったのだが……。


「お姉様? もう大丈夫なの? 昨夜は話を聞いて欲しかったのにー。実は昨日の帰りにオスカー殿下にー……、ッ!?」


 階段からまだ眠そうに欠伸をしながら降りてきたリアムは、ローズの顔を見た途端に驚いて言葉を詰まらせた。


「……んー、ちょっと、ね……。レディには色々あるものなのよ……。……? なぁに? どうしたの?」


 リアムがこちらを見たまま固まっているので、ローズはどうしたのかとリアムを見て首を傾げる。


 ガタンッ!


「ロ、ローズ……! どうしたのだ、その顔は……!」


 後ろから入ってきた父がローズを見て叫んだ。


「え。顔??」


 ローズの顔は泣き腫らして目が腫れあがっていた。


「お、お姉様! どうしたの、何があったの! ああ、ごめん。言わなくていいよ。……何か辛い目にあったんだね。大丈夫! 僕達はお姉様といつも一緒だから!」


「そ、そうだぞ、ローズ! 私とリアムはいつもお前の味方だからな! 安心するといい。そして……、そうだな、今日は学園は休んでおくか。たまには休養も必要だからね」


「そうだね! お父様。うん、それがいいよ! 心が弱っている時はゆっくりするのが1番……」


「ゥオッホン! ローズ。お前は疲れているんだ。今日は休みなさい。分かったね?」


 なんだか2人が凄い勢いでそう言うものだから、ローズは内心首を傾げながらとりあえず頷き、今日は学園を休むことにしたのだった。

 そして2人が出かけた後で鏡を見ると……。


「うわっ! コレは酷いわね……。2人共驚くはずだわ。……『治療ヒール』」


 ローズは自分に治療魔法をかける。うん。顔色もバッチリ。今朝は起きてから慌てて鏡も見ずにキッチンへ行ってしまったのだ。2人には心配をかけて悪いことをした、と反省した。


 昨日はマイラだった時の事を思い出して、その思いを吐き出すように泣いてしまった。……マイラはずっと泣けなかったから、多分あの気持ちを処理する為には必要なことだったんだと思う。……今もラインハルトの事を思い出すと胸がキュッとなる。……コレは、仕方がないわよね。


 ローズは改めて気持ちを切り替えようと大きく深呼吸をした。


 ローズは少し仮眠を取ったあと、身体は全く悪くないしせっかくの休みなのだからと、お手伝いのドリーに出かけると伝え外へ出た。そして教会の『聖女』の部屋に転移し、ひたすら無心に『御守り』を作り続けるのだった……。




 この部屋に、誰かが近付いてくる。

 ……うん。大司教様ね。


 そしてすぐに扉がノックされる。

 「どうぞ」と魔法で鍵を開けると、大司教様が食事のトレーの載ったカートを押して入って来た。


「今日は朝からおいでのようだとお聞きしまして。あまり根を詰められてはいけませんぞ。そろそろお昼時ですからな。どうぞお召し上がりください」


 ローズは慌てて大司教からトレーを受け取る。


「まあ、大司教様にこのような事をさせてしまい、誠に申し訳ございません。……あの、大司教様。後でお話があるのですがよろしいでしょうか?」


「それはもちろんかまいません。それでは、小一時間程しましたらまたお部屋をお訪ねすることと致しましょう」


 

 そして1時間後に大司教は再び部屋を訪れ、ローズは大量の『御守り』を渡し2人はテーブルにつく。


「本日も『御守り』を、ありがとうございます。……これ程の量を作るのに大量の魔力を使われるでしょうに、本当にお身体は大丈夫なのですか?」


「ええ。全く問題はございませんわ。

……大司教様。話というのは……、実は昨日、あの『御守り』が発動し『魅了』の術を弾き飛ばしたようなのです」


「ッ! なんと……! それは……、いったいどなたがあの術を……!?」


 『魅了』を扱えるのは王家の人間だけ。大司教は初めからどの王子がということを聞いてきた。


「第3王子オスカー殿下です。彼は私の弟に術をかけようとしてきたようなのです。

……大司教様、本当にありがとうございます。大司教様があの日この『御守り』と『魅了』の事を教えてくださらなければ、弟は『魅了』にかかっていたことでしょう。これのお陰で弟は『魅了』にかからずに済んだのです」


「おお……なんと。これもきっと神のお導きでありましょう」


 大司教はそう言って神に祈ってから、「……そうですか、オスカー殿下が……」と唸った。


「……本当に、神のお導きですわ。あの……、大司教様から見てオスカー殿下はどのようなお方なのですか? ……私はあの『御守り』の反応に気付き、すぐに彼らの様子を『遠視』したのです。私はその時オスカー殿下を初めて見たのですが、それは恐ろしげなお顔をされていました。レオンハルト殿下はアレが弟の本当の姿なのかとかなりショックを受けていらっしゃって……」


 聞き捨てならない言葉を聞いて、大司教は待ったをかけた。





お読みいただき、ありがとうございます。


ローズは攻撃魔法も使えますが、魔石の加工や色んな魔法を開発する事の方が得意です。今回は『治療ヒール』も使いました。

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