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14 カルトゥール家の魔力継承


 暗殺者を驚かせた後、ローズは買い物を済ませダルトン子爵邸に帰った。すると何故か真剣な顔をした父と弟に応接間に連れて来られた。


「お姉様! 待ってたんだよ、お父様が気になる事を言い出すものだから」


「……? 気になること?」


 ダルトン子爵は焦りを抑えながら、少し早口で話し出した。


「いや、今の今まで失念していたんだが、我らの封印が解けたということは、うちから結婚や分家で離れた者達も封印が解けたということだろう?」


「騒ぎにはなっていないんだけど、お姉様が彼らの封印も掛け直したって事?」


 リアムも父からの話で心配になったのか、体を乗り出して聞いてきた。

 ローズはナルホドと頷き、2人にカルトゥール家の魔力継承の仕組みを話すことにした。


「……ああ、そのことね。……実はカルトゥール家には元々不思議な魔力継承の仕組みがあって、直系にしかその能力は正確には受け継がれないの」


「直系……? 確か封印の部屋に入ったり封印を解いたり出来るのも『直系』だけだったが」


 ダルトン子爵が考えながら言う。


「そうよ。マイラが『直系』に断定したのは、そもそもカルトゥール家に代々この継承の仕組みがあったからなんだけど……。

直系の子供には全員その能力は受け継がれるけれど、その子供の子は跡を継いだ長子の子にしか能力は受け継がれないのよ」


「直系の子供以外には受け継がれない……?」


 リアムも呟く。


「そう。例えば、お祖父様には妹、私達から見たら大叔母様がいらっしゃったわよね。もし大叔母様がご存命だったなら、大叔母様はあの時に封印が解けて騒ぎになっていたかもしれない。でも、大叔母様の家系は大叔母様でカルトゥール家の直系の能力継承は終わりなの。その息子であるお父様の従兄弟にはカルトゥール家の能力はほぼ受け継がれないわ。おそらく、2割程もないかしら? そして元からマイラのかけた封印にはかかっていないの。

だから、今まで封印がかかった状態のダルトン子爵家直系の者よりも、従兄弟の方や分家された方の方が魔力はずっと高かったと思う。でも、今は本来の3割程の能力しかないはずのお父様よりも魔力は少ないはずだわ」


「そうだったのか……。だから従兄弟のハリーは昔から魔力が強かったのか。そして、私には兄弟はいないから今のところ他には封印のかかっていた者はいない、ということだね」


 ダルトン子爵が安心したように言った。


「ちょっと待って。それじゃあ、今の僕達姉弟みたいに、一応嫡男の僕と長子であるお姉様だったら、やっぱり長子であるお姉様の方に能力は受け継がれるの?」


「ああそれ。私も昔不思議で聞いてみたのよね。一応嫁いだり養子に行ったりしたら、それはまた魔力継承から外れるみたい。そうでなかったら、ダルトン子爵の系図で嫁いだ姉がいた場合に、ダルトン家では魔力継承が終わっちゃってるわよね」


 「そうなんだ」と納得するリアム。確かにコレを確認しておかないと、これから誰がダルトン子爵家を継ぐかで困るわよね。


 そしてローズは、忘れたくとも忘れられないあの事実が胸に蘇った。


「……だけど、ひとつだけ特例があるの。それはたとえ嫁いでいても養子に行っていたとしても、万一直系の血が途絶えた場合にはそちらに次の直系の魔力が目覚める、ということ」


 急に雰囲気が変わったローズに、2人はどうしたのかとローズを見る。そんな2人にローズは気付き、困ったような顔をして答えた。


「……あの戦争の終盤。マイラが追い詰められていった時ね。マイラはカルトゥール家の一族に国外に逃げるように言う為にこの国に戻ったの。すると両親は既に亡くなり、一族はとっくに逃げていた。両親のことはとても残念だったけれど、一族が逃げられたことにはホッとしたわ。屋敷の宝物や魔導書などが一部持ち出されていたけれど、それも仕方ないしむしろ新たな地でカルトゥール家がまた輝きを持つ為、再興の為にも必要な事だと思った。

………屋敷の物置で震えて隠れていた、弟を見つけるまでは」


「「!?」」


 ローズは……いや、今この時彼女はマイラだったのだろう。彼女は泣きそうな顔で2人を見た。


「一族は……。叔父様と伯母様の一家は、カルトゥール家の能力を手に入れる為に、弟をわざと屋敷に残していったの。直系に直接手を下しても魔力継承からは外れてしまうから……。もうその頃マイラは悪女として処刑しかないと言われていたし、あとは弟さえ……直系の弟さえ居なければ、能力が手に入ると思ったのでしょう」


 ダルトン子爵とリアムは絶句した。


 そして、魔女マイラとはいったいどれほど辛い裏切りの人生を送ったのかと思わずにいられなかった。そしてそんな中でも弟をダルトン子爵に預けて守り抜いたその強さに感心したのだった。


「……では、その元一族とやらは外国へ逃げたのだね。まあもう我らには一切関係のない者達だが」


「……そうですわね。叔父様も伯母様もその後も子供に能力が目覚めず、思惑が外れて大変悔しい思いをされた事でしょうしね。今はもう世代も代わって、本当に今更で関係のないことですけれど。

……とりあえず、カルトゥール家の魔力継承の仕組みはこんなところですわ」


 2人はそうかそうかよく分かったと言いながら、ローズの、……マイラの辛い記憶を思い出させてしまったことを悔やんだ。そして今世では絶対にローズを守ると誓ったのだった。



お読みいただき、ありがとうございます。


ダルトン子爵と従兄弟のハリーは同い年。仲は良かったですが幼い頃から魔力の高い従兄弟の事はとても羨ましかったようです。ハリーは魔法省に勤めています。

勿論、ダルトン子爵は直系以外には封印やマイラの一族であることなどは話していません。

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