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13 暗殺者


 シェリーに魔女マイラの一族であると打ち明け、他国から見た魔女マイラの話を教えてもらい少し心が軽くなったローズは足取りも軽く帰途に着いた。


 商業ギルドを出た大通り。今日はマイラの屋敷跡へは寄らずまっすぐ買い物をして帰ろうと歩いていたが、向こうから見覚えのある人物が歩いて来た。

 …あれは……。

 

 ローズは少し顔を横に向け知らぬふりで通り過ぎた。

 …あの方は、レオンハルト王子、よね? どうして王族の方がこんなに普通に町をウロウロされているのかしら……。


 レオンハルト王子は、側近と思われるもう1人の人物と共に歩いて行った。もしかして、また『マイラの屋敷跡』に行くのかしら? もう何度見てもあの場所には何もありはしないのに……。そう思い道の端に寄り彼らを眺めていると、少し離れておかしな気配の男が2人歩いていた。


 あの後ろの男の人達は……、『魔法使い』ね。それにしても、気配を消したつもりでも殺意は消せていないわよ? あれは明らかにあの王子を狙っているのよね……。


 マイラであった時から、こういう暗殺などという卑怯な事は大っ嫌いなのよね……。というか、あの男達は王子よりも随分と魔力は下ね。護衛も付いているのにどうやって事を起こすつもりかしら……。


 ローズは壁に寄りかかりメモを見るフリをして、この辺り全体の気配を辿る。

 …ああ、なるほど。マイラの屋敷跡にあの暗殺者の仲間がいるのね。林に紛れ込んた仲間と挟み撃ちにする、ということ……。


 ローズはメモをカバンに入れ、素早く脇道に入った。更に奥まで入り、誰も見ていない事を確認してマイラの屋敷跡まで転移した。




 魔女の屋敷跡の林の陰に、1人の男が潜んでいた。

 ……もうすぐ。この国の王子レオンハルトがやってくる。王子がこの敷地に入った所で後ろから仲間が襲い掛かり、こちらに逃げ込んで来たところで挟み撃ちで仕留める。……作戦は完璧だ。

 少し気掛かりなのは、護衛が付いている事と王子の魔力の強さ。……そして、この場所。魔女の亡霊が出ると噂のこの場所で待っているのは暗殺者であっても少し気味が悪い。


 勿論、亡霊なんて嘘に決まっている。だが……。この場所は大昔から何か出ると噂されてきたそうだ。そしてこの屋敷の主の魔女が死んでから約200年も、この土地はそのままにされてきたのだ。ここが王都ルーアンの一等地であるにも関わらず、だ。今は王都の心霊スポットの一つとなっている。


 まあ、そんなものは伝説の悪女を恐れるあまりの世迷言に決まっているが……。

 男はそう思い直し、息を潜め気を取り直して改めて獲物が入って来るのを待った。


 ヒューー


 急に、風が出てきた。

 なんだ? さっきまでいい天気だったのに、雲も出てきたようだ。


 ヒューー………オ……オイ………


 風か……妙に生ぬるい風だな……。

 そう考えつつも何か嫌な感じがする。


 ヒューー……オイ…デ………オイデ……


「…え……?」


 男はゾクリ、と全身に鳥肌が立つ。


 ヒュー……オイデ……ソコノ…オマエ……コチラニ……オイデ……


「なっ……!? なんだ……」


 オイデ……コチラニ…クルノダ……


「な、なんだ!? なんなんだ!?」


 男が声のする方を見ると……。

 そこには金の髪の女が立っていた。


「ッ!! ま…魔女マイラ!? 嘘だろ、おい!」


 コチラニ……コイ……クルノダ……!


「ッヒッ!! ぅわあぁぁっ!! 魔女の亡霊だぁぁーーッ!!」


 男は堪らずに屋敷跡の入り口に向かって走って行った。



 残されたのは、風で乱れた髪を直しつつ、憮然とした表情のローズ。


「ちょっと……。失礼よねぇ。まあ風も呼んだから髪が乱れて余計に亡霊っぽく見えた、という事にしときましょ。

あとは、王子様と側近の方で実力的に大丈夫ね。頑張って暗殺者を撃退してくださいね」


 そう言うと、ローズはこの場から転移した。




 レオンハルトとパウロは不自然にならない程度に話をしながら、『魔女の邸跡』に向かっていた。…何故なら、明らかに何者かが後をつけてきていたからだ。


「殿下……。どの辺りで仕掛けて来ると思われますか?」


「それはやはり、屋敷跡に入った後だろう。まあこんな人の多い所で仕掛けられても迷惑だしね。…そして我らの行動を読んでいるのなら向こうにも仲間がいる可能性があるな」


「不意打ちは困りますがね。最初から分かっているならいけますね」


「油断は禁物だがな。出来れば捕らえて首謀者を明かしたいところだが」


 そう言い合っている内に、屋敷跡の前まで着いた。2人は目配せをして中に入った。するとその時。


「…ぅあああぁぁーーッ! ぼ…亡霊、魔女の亡霊だあぁぁぁーーッ! 助けてくれぇーッ!」


 屋敷跡の敷地の奥から黒っぽい服を着た男がこちらに向かって走ってきたのである。男の顔は恐怖で歪み、走りながらも必死過ぎて足元も悪いことからもつれてこけそうになっていた。


「『捕縛』」


 レオンハルトはその男を見て素早く魔法で捕縛した。恐怖に歪んだ男の顔は更に恐慌状態に陥っていたようなので、『捕縛』を口元にもかけて黙らせた。


 その間にパウロは後ろから今にも仕掛けようと体勢を取っていた男達を技で仕留め、すぐにレオンハルトが『捕縛』をかけて捕らえた。


「…えらくお粗末な刺客でしたね。殿下」


「……いや、我らは魔女に助けられたのかもしれないぞ」


「…は? なんですか、それ」


「こっちの屋敷から出てきた刺客に聞けば分かるだろう。…とりあえず騎士団を呼ぶか」


 2人は魔法鳩で騎士団を呼んだあと、取調べの為に城に戻った。



シェリーと話をして気分良く帰ったいたのに、思わぬ事件に関わり暗殺者に想像以上に怯えられて、若干複雑な気持ちのローズでした……。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 王家を恨んでるのかそうでないかよく伝わらない。助ける必要性ありますか?
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