お仲間発見!
こちらも二話どうぞ
正直時間の感覚がないのでどの位経ったのかは分からないが体感的には3日程洞窟内を移動した
この3日間で現状最も早く移動が可能な方法は飛び跳ねて前進する事が良いと判明したので今はポヨンポヨンと飛び跳ねて移動している
その間何度か他の魔物に遭遇したお陰で外敵‘の気配を早目に察知するという能力(?)も備わった
最初の頃はエコー画像の様な視界に目を凝らして危険がないか判断しながら進んでいたのだ
それから比べたら気配を察知出来る様になっただけでもかなりの進歩ではある
遭遇した外敵は生前何かで見かけた事のある魔物達だったのでそのおおよその能力や危険度は想像がついた
トロールやウサギの魔物、虫系統の魔物など架空の話だった筈のあのキャラクターが今は実在して闊歩していたのだ
と言うかそれ自体も俺の白黒の視界から得られた情報が何処にあるのか分からないスライムの脳細胞に投影されそれを自己解釈でトロール等と判断しているだけに過ぎないのかも知れない
そもそも視界と言っても眼球はなく単に体内から発した何かが物体に当たって跳ね返ってくるその違いを脳内処理して映像化していらだけなので
実際目視したら全く違う形だった!という事も十分あり得る
何回か補食の危険を回避している内にもう1つ習得したと思われる
それは生物を察知した瞬間から対象物の体から発生しているオーラの様なモノが認識出来る様になった事だ
そのオーラ状のモノだけは色として識別が出来る様で数度の遭遇経験からやはり赤い色になるに従い警戒色となっているのが分かった
一度真っ赤なオーラを纏ったゴブリンに出会ったのだがそのゴブリンは空腹だったらしく隣のゴブリンを撲殺して食んでいた
その光景を見せられた仲間のゴブリンも途中から赤いオーラを纏わせてそのまま食い散らかされた元仲間に群がって食べ出したのだ
この能力を発現してから少なくとも命の危険に直面する事態だけは何とか事前に回避出来る様になっていた
出会う魔物の中には青いオーラを纏ったモノや淡い色を纏ったモノもいたがその違いを体当たりで確認する気持ちは毛頭起きなかった
だが気付かれていないという前提であればこれらの色を纏った魔物達は他に比べても大人しい状態ではあったので心のメモ帳に記録しておいた
(999。。。1000!っと)
今数を数えているのは回避行動だけでは脳内が衰えそうなので飛び跳ねた回数を数える事で今の脳内レベルを維持しているつもりなのだ
ポヨンポヨンと飛び跳ねる度に何となくバカになっていく気がして怖かった、というのが切欠だ
千の数を無数に数え恐らく十万に届きそうな時間を費やして俺はとうとうアイツ等に出会った
初めは気配だけが岩陰や天井、壁の裂け目に感じられただけだったが近付いて来た生物が自分と同族だと分かったのか次第にあちこちから姿を現したのだ
白黒の視界に現れた同族の姿はまさしくスライムだった
水滴を太らせた様なそのボディーは生前の漫画家はもしかして見て描いたのか?と思う位見事な一致を見せていた
(…取り敢えず先ずは挨拶かな?)
警戒を解いて姿を現した同族達に挨拶をしようと試みたがソコで再び虚をつかれた思いを味わった
(そもそも挨拶するのか?)
俺が思考出来るからと言って相手(同族)が出来るとは限らない
その事を裏付ける様にポヨンポヨンと現れた同族達は俺という存在が危険性がないのは認識した様だが未だに知的接触をして来ないのだ
そうなると今俺が持っている知恵は逆に足枷となる
もし仮に知恵があったとしても共通言語や思考がないのならどうコミュニケーションを展開していくのかも分からない
少し考えたら分かる事実にショックを受けて固まっていた俺に彼ら側からコンタクトを取ってくれたのは不幸中の幸いだった
ポヨン、ポヨン…ポヨヨ~ン‼
(っ⁉)
それが彼らの挨拶なのかは正直分からない
だが警戒色を発していない彼らの一体が俺に向かって飛び跳ねて来て体当たりをしたのだ
体と体が接触した瞬間、それが攻撃ではなく彼らなりの挨拶だと言う事が本能的に理解「させられた」
それは同時に新たな絶望への幕開けとなったのだ
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ポヨン、ポヨン、グニュ~…
(。。。)
懸念していた同族達とのコンタクトに成功した俺は目の前で飛び跳ねたりグネったりしている仲間達を呆然と眺めていた
(…こりゃ対話とか無理筋じゃね?)
エコーによってこの辺にいるお仲間さん達の動きはほぼ把握出来てはいるがどう見ても意思がある行動に見えない
どちらかと言うと動きたいから動いているというより何となく動けるから動いている感じなのだ
しかもこの辺に密集しているのも外的から身を守る為に固まっているんじゃなくて
単に「湧いた」場所が此処だから、みたいな雰囲気を感じている
ポヨン、ポヨン、ボヨヨヨ⁉
(えっ?何?)
彼等は今までのふんわりした動きから急に素早い動きに変化して途端に岩陰などに隠れ出した
…グオォォォウ…
地の底から響く様な声で俺の体表が共振してプルプルしている
(…あ。)
気付いた時は既に手遅れだった
(多分)背後から濃厚な殺気が漂い振り向いたらソコにいたのは口を大きく開けてヨダレを垂らしたヒュドラだった
お、終わったぁぁぁ~っ‼