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単純作業の反復

…グニュ、グニュ、モキュモキュ


ハァイ‼俺は今ゲーム内最弱と言われるあの魔物に生まれ変わり絶賛奮闘中なのさっ♪


。。。はぁ。。。


無駄にテンションぶち上げてDJ風にはしゃいでみたが反応がない、と言うのがこれほど精神を蝕んでいくとは思っていなかった


能動的には新しい発見が目白押しで獲得した能力も使う事によって精度は相当上がっているのは自覚出来ている


ナメクジの様な這行運動では速度が出ない事が判明し、ムカデの様な多足歩行をイメージして移動を試してみたのだが形状は似せられても強度が保てず失敗した


今は腹足歩行と多足歩行を組み合わせる事により接地面に対して無数の「瘤」を作りソレを進行方向の反対側に送る事によってかなりの速度を出す事に成功している


他の方法も可能だが平坦な地面ではないこの場所では恐らくこの方法が最適解だと思われる


体表が地面にベタ付きより抵抗が少ない上に凹凸にも対応が出来、尚且つ滑る様な場合にも瘤一つ一つがスパイクの役割を果たしているのかスリップする率が低減したのだ


補食に関しては未だ未知の部分が多い


あれから知覚出来る物質は全て補食を試み体内へ吸収される事は判明したのだがそれがエネルギーに変換されているか?の確認が出来ないのだ


兎に角少なくとも飢えは感じていない事から補食した物質の何かがこの体にとって栄養源になっているのだろう


…そうであって欲しい


補食吸収を繰り返す内に消化能力が向上した事も確認した


最初時間が掛かった水晶柱の補食も今では瞬時に補食可能となっている


それとこの体はやはり「呼吸」が必要ない事も分かった


肺がないから当然と言えば当然なのだがそれによりスポイルされた能力がある


声を発する事が不可能なのだ


空気を取り込む器官がないのもそうだがソレを利用して振動を生み発声する器官もないから当然と言えば当然だ


現状では不必要な能力だがもし第三者と遭遇した時、どうコミュニケーションを取るのだろうか?


(…ふふっ…)


そんな事を考えている自分に何だか笑えて来た


岩場から転落して恐らく死んだ俺が次に目覚めた草原で獣達に貪られ再び(?)死んで今度は人でもなくなって目覚めた


「まともな神経」ならとっくにおかしくなっていても良い筈だし実際最初は(早く楽になりたい)と思っていた


だが今俺の思考は破綻する事もなく会ってもいない相手とのコミュニケーション方法を模索していたのだ


意識的に行っていたとしたら称賛に値する程の適応力の高さだと今さらながらに気付いた時から自分自身が笑えて笑えて堪えきれなくなっていたのだった


それもこれも生前に見知った「転生モノ」の知識が無意識の内に今の状況を受け入れられる土台となっているのだろう


そんな他愛のない事を考えながらこの体で何が出来るかを模索している


残念ながら生前に見知った知識では当然(?)備わって転生者を主人公たらしめていたチート能力…は分からないが

兎に角初期チートである「異世界なのに言語ペラペラ」とか「何故か異世界の知識既に備わってます」的なモノが一切感じられないのだ


ほぼ確定している今のこの姿、「スライム」は生前の体とは全く異質の物体なのだ


体の動かし方も食の必要性の有無も何から何まで手探りで見当をつけていかないとならないとしたら

膨大な時間とそれ相応の労力が必要となるのは目に見えている


そもそもこの種族の平均寿命や行動原理等の情報も端からないのだから時間を費やして理解した所で寿命が尽きてしまう可能性もある


今のあがきも全て無駄になる事も考えられる中、何故か努力する事を諦めなかった

この体の生存本能がそうさせるのかそれとも無意識に何かを確信しているのか、それは正直分からない


けどこうしてあがく事は無駄にはならない筈だ

獣達に為す術もなく食われたあの絶望と悔しさが生きる事への原動力になっているのは間違いないだろう


さて、無駄な思考はここまでにして早速今のポテンシャルを探る努力に全力を傾けよう


体の動かし方は何となく様になってきた

補食方法も先程の経験で少し光明が見えた(ただそれが栄養として吸収されたのかは不明だが)


「衣」・「食」・「住」の内「衣」は関係ないとして「食」は切欠が掴めたので取り敢えず今度は「住」を模索してみよう


と言っても人間と違って家や何かを建てたり作ったりする気はない


今の状況(洞窟内)であれば最低雨風は防げているし暑さ寒さも一切感じていないので問題はないだろう


この場合の「住」とは同じ種族、つまりスライムの仲間を探して仲間にして貰うとか最低でも生態を観察出来れば…と思っている


考えるにスライム程の強さであれば恐らく実際は群れて生活していないと存在出来ないだろう


小動物(?)が外敵から身を守る為に群れて行動するのは例え異世界であっても共通な筈だ


そういう訳で今俺は思い付く限りの手段で移動の方法を試しながら洞窟内を進んでいる


ポヨンポヨンと飛び跳ねてみたりワームの様に体を伸縮させてみたり考えつく全ての動きを使って移動方法を探っていく


勿論補食される恐れもあるから外敵の気配は死ぬほどチェックしながらなので多分人間だった頃の歩行と比べたら相当遅いだろう


だがこの体になる前のあのトラウマは次の死を拒絶していたのだ


とまあこんな感じで誰にも認知されていないのに語り口調で独り言を述べ続けているのは

精神の安定を図る意図と思考の衰退を防ぐ意味合いがあるからだ


前世のスライムに高度な思考が宿っていた様な記憶がない

まぁ例外はあったが大半の同族は基本的に単純な行動原理と補食欲求を満たす為だけに存在していた記憶がある


それは架空の知識だったとしても脳細胞もないこの体で思考や記憶がある段階である意味チートなのかも知れない


兎に角俺は同族の仲間を探して道中にある草などを補食しながら慎重に突き進んでいったのだった

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