【御神木をキーワードに書いてみた話】
【御神木をキーワードに書いてみた話】
「あたしは……なんて無力なの……」
その小さな呟きは他の誰にも聞こえていない
聞こえているのは自分自身だけ
そんな想いに浸ってしまう私……
だから、こうして誰もいない神社のご神木に触れているのかもしれない
ご神木に触れてはいけないのはよくわかっている
だけど、無性に触れたくなった
その欲に任せてご神木に触れていたら、声が頭の中に聞こえてきた
“そなたはよくやっている”
その音なき声に私はこんなことを言っていた
「本当? 本当に……、そうなの? 私……ガンバれてるの?」
その音なき声は答えてくれない
だけど、何故だか私の問いに肯定を示してくれている気がした
だって、自然と、私の瞳から涙が自然とこぼれ落ちたから
しばらくそうしてボーッとしていた
すると、近くにある枝に気が付いた
その枝はご神木の幹の真ん中より下の位置から生えている
その枝はそこで蕾を付け、自分の生を一生懸命生きようとしている
それを見た私は何故だか勇気が沸いた
(よくやってるよね……、私)
“そうだ”
先程の声が肯定を示してくれた
「ありがとう」
“ワレはここから動けぬが、そなたを何時も見守っている”
その音なき声の返事に私は息が詰まった
そして、再び涙が溢れ出てきた
その涙が頬を伝う
それだけの事なのに、私は無性に嬉しくなった
私の中にもまだ感情があった
それが自分で確認できた事が嬉しくて、私は私自身の頬が本の少しだけど上がっていることに気が付いた
(あっ……、私……今、……笑ってる?)
鏡がないから自分の顔を見ることが出来ないからハッキリとはわからない
だけど、私の表情筋が少しだけ動いたのを自覚した
だから、私はご神木とご神木の幹の真ん中より下の位置から生えている枝に触れながら再びこう言っていた
「ありがとう。私にも出来ることは必ずある。それをやってみるね」
ご神木からの声なき声は聞こえなかったけど、「そなたなら出来る」といわれた気がした
読んで頂きありがとうございました。




