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episode3 入学式2

友達に読んで貰ったところ、もうちょっと想像しやすい方がいいかもと言われたのでちょっと書き方を注意して書いてみました。


若干説明すぎる気もしますが……どうでしょうかね

「さ、そろそろ始まるから体育館に移動しろ」


 堤下が俺たちに体育館に移動を促してくる。

 いつもなら何だかんだ少しだけ反抗するが今日ばかりは素直に従うことにする。


 だが鳴無はなぜか行きたくなさそうにしていた。


「鳴無、どうした?」

「う、む。俺にも妹が一人いるのだが今日ここに入学するのだがな」

「お、何だよお前の妹も入学するのか」


 めでたい事じゃないか。


 だが何だろうか、鳴無からはあまり歓迎ムードが感じられない。


 ハッハーン、分かりましたよ分かっちゃいましたよ!

指をパチーンと鳴らしながら思考する。ただちょっと力加減間違えて指が痛い。

 

 この名探偵久我君にかかればちょちょいのちょいと分かっちゃいましたよ。


 こいつ、妹と仲がよろしくないな。


目を瞑り鳴無の肩を乱暴に手を回す。


「鳴無よ、俺だから言えることだが妹とは仲良くしておくといいぞ」

「いや、本当にお前だから言えること過ぎて何も反論できないだよ」


 やめろよと続ける鳴無。


 そういえば、つるむ様になってから結構時間がたった気がすれけれどそんな話一回も聞いたことが無いな。


「なんだ?喧嘩でもしてんのか」

「喧嘩なんてしてないさ。俺が一方的に避けてるだけ」

「んあ?んでぇ?」

「嫌でもそのうち解るさ」


 もったいつけやがるぜ。


 さて、そろそろ移動しないと堤下の野郎が睡眠薬持ってきて飲ませに来るからな。


 …………


「新入生入場」


 体育館にて新入生の入学式がとり行われている。

 妹たちの大切な入学式である。


 本当は正座して待機しておきたいところだがご丁寧にパイプ椅子なんてものが用意されているためそこに座るしかない。


 ただし正座ではない。何故かって?止められたからだよ言わせんな恥しい。

 本当は正座が良かったのだが、周りからそんなことしたら妹たちが嫌うぞなんて脅してきやがるものだから、決してくっした訳ではないのだが、そう屈した訳ではない。←ここ重要


 しっかしあの壇上に上がって台に一礼する、降りるときも一礼する。あれは何なのだろうか?あそこには何かが宿っているのだろうか。気になるんだよなぁ。


 ま、今はそんなのはどうでもいい。


 俺の可愛い可愛い妹たちはどこにいらっしゃるのかな~。お、いたいた。


 美香ちゃんはいつもとは少し雰囲気が違うな。家に居るときは俺にべったりくっついてニコニコしているけれど、今の美香ちゃんからはそんなものは微塵も感じない。

凛々しい美香ちゃんもいいものだ。


 美咲ちゃんは。いつも通りですね。いつも通り可愛い。でもやっぱりちょっと緊張している?

 そんな美咲ちゃんもイイね。


「久我、お前そんなに語学力なかったか」

「俺の心を読むなよ朝元」


モブのくせに俺の心を読むとはいい度胸をしている。朝元のくせに朝元のくせに。

次回から絶対に出番無くしてやるからな。


「おいやめろよまだ2回しか出てないのに」


 こいつ本格的に俺の心を読みやがる。


「声出てんだよ」

「だったら早く言えよ恥しいだろぶっ殺すぞ」

「怖いな!恥ずかしがってるやつの発言じゃねーよ」


 くそっ、心を読んだわけではないのか。だとしたならば出番を無くすことができやしない!

 いや待てよ?俺に恥をかかせたという名目で……


「またロクでもないこと考えてるなぁ。言っとくが心を読んだわけでも声が出てたわけでもねーぞ。いやらしい顔をしていただけだ」

「チッ」


これだから朝元は嫌なのだ。俺をおちょくってきやがる。しかも全て俺が原因で反論ができなのだ。


 しかし校長の話は長いな。なんでこう校長の話って長いのだろうか。9割くらい関係ない話だろあんなの。


しかも結構な確率で俺と目が合う。注意するときにだ、まことに遺憾である。


「で、あるからして~新入生並びに、在校生には本学校の生徒であるという自覚をもって行動してもらいたい。特に久我幸人、鋪野基樹、二兎一久、鳴無卓二君」


 あいつ俺たちを名指しにしやっがたぞ!流石にこれは俺達も黙っていられない。


「は~い」

「ふん!言われなくても」

「ぼ、僕もかぁ」

「はっ二次元なぞどうでもいいだろ」


それぞれが、それぞれの返事をする。

俺は元気に手を挙げて返事をし、鋪野は右手を顔に当てて指と指の間から校長を見ながら。

二兎はなぜ自分もか分からないかのように下を向き、鳴無は腕を組みさらに足も組んで同意している。


完璧だね!


完璧な返事過ぎて校長のこめかみに青筋が出来上がり眉をひくひくさせている。


「では次はPTA会長からのご挨拶です」


まだあるのか―。


「~私からの挨拶とさせていただきます」


やっと終わった。顔には出さないけれど相当ぐったりだ。


何故か舞台?から降りるときに俺の方を睨んでいた気がするけれど、ただ鋪野たちと会話していただけだ睨まれる筋合いはない。


校長と言いPTA会長と言い何故俺たちの事を目の敵にするのだろうか。

コレガワカラナイ。


だがそんな事は些細な事だ。これから始まろうとしている儀式に比べれば爺共の視線なんぞどうでもいいものなのだ。


「そ、それでは新入生は呼びますので返事をしてください」


そう!これだ。


このよくわからない新入生の名前を呼び返事をさせる、何故そんなものを認めたのかと問いただしたくなるものだが今回だけは許してやろう。

何せ俺の可愛い妹たちの元気な返事が聞けるのだから。


と、今回だけの感謝をしているうちにもう直ぐ美香ちゃんの番だ。


「久我美香」

「はい」

「美香ちゃん可愛いよおおおおおおおお」


思わず席を立って叫んでしまった。ショウガナイネ。


俺が叫ん瞬間美香ちゃんがビクンと体を震わせ、耳まで赤くした顔でこっちを睨みつけてきていた。ついでに美咲ちゃんも俺を睨んでいる。何故だ。


「んん、次。久我美咲」

「はい」

「いい返事だよおおおおおお」

「久我ア!五月蠅いぞ静かにしろ」

「なに!?妹たちの元気な声を聞いて静かにしてろだと?ふざけんるなよ?そんなのいい兄じゃない!ただの兄だ!」

「何わけわからんことを言ってんだ!おい、外に連れてけ!!」


生活指導の野郎が数人の先生にそう命じて、俺の近くにいた先生がぞろぞろとやってきた。


その顔は「何やってんだ馬鹿やろう」ってのと「面倒ごとふやしやがって」と言う顔だ。


面倒だと思うのなら放っておいてほしいものだ。


「ほら、いくぞ」

「辞めろぉその汚らしい手で俺に触るんじゃない!禿が移るだろ!」

「移るわけないだろ!本当に移すぞこんにゃろ」

「いやー禿にされるぅ!助けてぇ」


意外とノリのいい教師が来たものだ。頭を光らせ俺に禿を移そうとしている。外に連れ出すなんてことを忘れてるんじゃ?

それならその方がいいけど。


「その手を離さないか!」


そんな時大きな声でそう叫ぶ者がいた。


その者は右手を胸に当て左手を前に突き出し、手のひらを上に向けてこっちを向いている。さながらロミオとジュリエットのあのシーンを彷彿とさせる。

ここが劇場ならスポットライトがあたっていただろう。


その者の名前は鋪野基樹。通称・ホモ。


「久我君を汚していいのは僕だけだ!」

「先生!禿とか言って本当にすみませんでしただから一刻も早く僕を外に連れ出してくださいなるべくあいつから遠く離れたところに!早くしてください早くしないと僕がどうなっても知らんぞ!」


俺は今まで小競り合っいた先生に手のひらを180度回転させて、胸ぐらをつかみ前後に激しく振りながら一息で言い放つ。


アイツはだめだ。ヤると言ったら本当にヤる男なのだから。

見ろ、アイツ今も同じ体勢のまま腰だけ振ってやがる!アレは今からあなた様を犯しますからどうぞよろしくお願いしますというシグナルだ。


クソッどうしてこうなった!俺はただ美香ちゃんと美咲ちゃんのお兄ちゃんをしていただけなのに。


「さ、久我君行こうか?」


いつの間にか俺の真後ろまで来ていた鋪野は、俺の右肩にそっと手を置き、いい笑顔で死刑宣告をしてきた。

瞬間背筋が凍るような悪寒が走り、嫌な汗もだらだらと出て全身鳥肌だらけになる。

恐怖で声にならないが体だけは何とか動けるので、手を振りほどこうとするが痛くない程度に、だが決して離れることのないほどの力で俺の肩を掴んでいる。


ここまでなのか!希望はないのか?


助けになりそうなものを探して周りを見る。うちのクラスメート(男)は知らぬが仏とでもいうように皆異様なほど真顔で真っすぐ前を向いていやがる為使えない。


女どもは目を見開き鼻息を荒くしながら今か今かと待ち望んでいる。


絶望しかないのか俺の周りには!


どうする、前には禿げ後ろにはホモ。この状況から脱出するのに最適な答えは何だ?


考えろ、考えろ、考えろ、考えろ。


ふっなんだ簡単なことじゃないか。


分かってしまえば簡単なこと。むしろどうして今までその答えにたどり着けなかったのかと問いたくなるほどだ。


俺は体から力を抜き一息つく。


「おーけー分かった落ち着こう。俺はもう叫ばない。なにせ妹達の出番はもう終わったからな。大人しく最後まで見届けると約束しよう」

「それを信じろと?」


疑いの目で俺を見てくる禿。今までの行動が行動だっただけに疑われるのは仕方が無い。だからこその鋪野だ。


「もし次俺が叫んだらこいつと一緒に外に出よう」

「お前正気か?ついにホモになったのか?」

「やめろよ」


流石に真顔で答えてしまった。


違う俺は決してホモになんてなっていない。いわば保険だ。もし何かあっても、こいつが俺のケツを狙っている状況でなら叫ばないで居られる自信がある。自信しかない。


そうだな、お金が無い状態で店に入ってしまったとして、いざお会計のときにお金が無い事に気がついたとしよう。

一歩外に出ればATMもあるためお金を下ろす事は安易だ。だが正直に言って信じてもらえるだろうか?


その店が個人店で常連だったならむしろ付けにして貰えるかもしれないがチェーン店で初めての場所だ。

だったらば、貴重品等全てカバンに入れてATMのカードだけ持ちカバンを置いていく事により逃げないと約束するのと同じ。


え?何言ってるかわからない?最初から金を確認してから入れ?


うるせえ!今はそんな正論はいらないんだよ。


つまり俺にとって鋪野はこのときのカバンなのだ。俺が約束を破れば俺の初めてが奪われる。そんなものは当然いやなので俺は黙るしかない。


「……どうします?」

「本当に黙ってるんだな?」

「はい」

「はぁ、だったら早く席に戻れ」


生活指導の先生の号令の下俺はいそいそと自分の席へと戻っていく。

そのとき鋪野や女どもの表情を見たががっかりしている者と睨んでいるものが居た。鋪野はもちろんがっかりしていたが何故君達ががっかりしたり、睨んでいたりするのかな?

そんなに俺が襲われたほうがいいのだろうか。次の日から学校こなくなるぞ?


「んん、えー大変お騒がせいたしまして真に申し訳ございません。では続きまして」


 こうして俺の初めてはくしくも守られ無事に入学式が進めれるのであった。


「それでは新入生代表久我美咲さん」

「はい」

「F……」


 あぶなーもうちょっとで叫ぶ所だった。不意をつくのはやめて欲しい。咄嗟に口を手で押さえなかったら叫んでた


「チッ」


誰ですかね?舌打ちしたの。女の声でしたよ?聞き逃さないからね。


そんな事よりもだ、え?何になに?美咲ちゃん新入生代表なの?そんなに頭いいのあの子。さっすが俺の妹だ。


美咲ちゃんは決して大きな声とは言わないけれどしっかりと聞き取れる声で返事をした後スッと立ち上がり壇上へと向かっていく。


とてもいい笑顔で。


知らない人が見ればほぅと見とれてしまいそうな程可愛く微笑んでいる。しかし俺はその笑顔に恐怖しか感じない。


あれは機嫌がいいときのものではない。本気で切れているときの顔だ。美咲ちゃんは本気で怒れば怒るほどいい笑顔になるのが特徴なのだがそれを知るのは久我家だけである。


「暖かな春の光に誘われて桜のつぼみも膨らみ始めた今日の良き日、私たちは 国立魔術高等学校の入学式を迎えることとなりました。本日はこのような立派な入学式を行っていただき大変感謝しています。

どんな生活が待っているのだろうと不安と期待が入り混じった複雑な気持ちです。


授業について行けるのか、部活動はきつくないか、友達とうまくやっていけるのか、不安は尽きません。しかし、この不安も楽しみながら一歩一歩確実に国立魔術高等学校生として頑張っていけるよう努力してまいります。


先生方、並びに来賓の方々、御面倒をおかけすることがあるかもしれません。優しく、時に厳しくご指導していただけると嬉しいです。

建国381年4月6日新入生代表久我美咲」


 美咲ちゃんの挨拶が終わり一礼すると一斉に拍手が巻き起こる。あるものは感動しあるものは色めきたつ。

しかしそんな中で俺はカタカタと震える事しかできないでいた。


家に帰ってからのことを思うとどうしてもそうなってしまうのであった。




・・・・・・


無事とは言いがたいが入学式も終わり始業式はささっと終わった。式とは名ばかりの先生からの連絡事項だけで終わった。


退出の際は3年から順番に退出していく。1年はまだこの後学校での細かなルール等教えられるためこのまま体育館に残る。


「久我、行くぞ」

「ういっす」


鳴無に促されていすから立ち上がり教室へと向かう。その間必死に一年の方を向かないようにしていた。恥ずかしいとかそんなものは微塵も感じないが美咲ちゃんと目が合うのはとても不味い。


壇上からでも十分に伝わってきていた。家に帰ったら覚えて置いてくださいねと目で訴えていた。


俺は今日死ぬかもしれんな。

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