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episode2 入学式1

  春休みも終わり入学式の今日さっそく寝坊から始まる学校生活だが。春とは言えどまだまだ寒い季節。


 そんな季節の中で時速30キロは出ているんじゃないだろうかと思えるほど猛スピードで自転車を漕ぎながらこんにちは久我幸人です。


 ショウガナイヨネまだ春休みだと勘違いしていて二度寝しようとしたなんてみんなにもある経験だよね?ね?


 だったらいっその事欠席でもいいかなんて思いもしたけれど、だがそこは妹の晴れ舞台入学式だ。始業式だけなら休んでいたかもしれないが妹の入学式も一緒にやるとなったら行くしかない。


 自慢じゃないが俺は良い生徒ではない。遅刻欠席は当たり前なのだ。だけど不良なわけでもない。


 別に先生からの評判もものすごく悪いわけではない。遅刻しまくってるからよく怒られはするが。


 欠席は、行事的に俺には絶対・・にできないものだから最初から来なくてもいいと言われている。


 クビになる時の君明日から来なくていいから見たいなノリではない。ただ単に、普通に俺に気遣ってくれているだけなのだ。


 俺的にはみんなが学校で苦しんでいる中一人堂々と休んでゴロゴロしたりゲームしたりできるから有り難いのだけれど。


 これからは、そんな事もしにくく成ってしまうのだろうか。


「こらー久我ああああ何度言ったらわかるんだあああああ」

「ほあっ!警察のおっちゃん急に飛び出たら轢くだろ!」


 俺が学校行事について真剣に考えているところに警察のおっちゃんが飛び出てきた。飛び出しダメ、絶対。約30キロ出ている自転車は急には止まれない。


 ま、俺の場合おっちゃんにぶつかる直前に前後輪のブレークをフルでかけつつおっちゃんいぶつかることによって無事に止まることができるのだ。


「無事じゃねーし既に轢いてるっていつも言ってるだろ」

「知らんな」

「この野郎」


 しかしこればかりは俺は悪くないと思うのだ。

 また、と言っているように俺はよく自転車で爆走する。この駐在の前ですら爆走するため目をつけられている。

 俺が自転車をこいでいる=爆走しているなんて方程式ができているらしく自転車に乗ってるとこうして止められるのだ。


 嫌あってるんだけどねその方程式。


 合ってるからこそ飛び出すなよと。轢かれるに決まってるだろと。


「なぁ毎回言ってるだろ?自転車は急には止まれないんだ。飛び出したら轢いてしまう。いつもそういってる筈だろう?なぜ辞めないんだ」

「ああ、ああそうだな。急には止まれないな。知ってるよ知りまくってるよ轢かれまくってるよ!でもな、そもそもテメーが爆走しなけりゃいい話だと、その倍以上言ってきてんだこっちはよぉ」

「てへ」

「ぶち犯す」

「!?」


 犯される!?


 初めてが奪われる!

 レイプで奪われる!

 おっさんに!


 い、嫌だ。そんなことは断じて許されない。許してはいけない!


 俺の初めては奇麗な年上のお姉さんだと決まっているんだ。こんなところでこんなおっさんに奪われるわけにはいかないんだあああああああああああああ。


「逃げるが勝ちってな!今日は妹の入学式なんだ、こんなところで犯されてる暇はねーんだよばーーーかばーーーか」

「こら待て久我!まだ説教は終わってn・・・・」


 待てと言われて待つ犯罪者は少ししかいないんですよ。

 俺は待たない。待ったら捕まるから。


 警察から逃げるように自転車を爆走させ何とか学校に到着。

 国立魔術高等学校。


 魔法が使えるこの世界の人間にとって魔法を学ぶことは基本だ。国語、数学などと同様どの学校にもある。

 農業高校には農業の授業が、工業高校には工業……まぁ溶接とか電気とかがあるのと同時に魔法の授業がある。


 このことに誰も疑問を抱く事は無い。何せ全員、俺を除いての全員が得意、不得意はあれど魔法が使えるのだから。


 生活の手助けになる魔法から戦闘用の魔法まで、ありとあらゆる魔法が存在する中で俺は、魔法が使えない。


 その昔、まだ生まれたての頃には俺も使えたらしいが……ま、今の俺にとって関係ない話だ。


 さてさて、自転車を指定されている駐輪場に置き速攻で教室に走りだす。


 時間は8:05、よし!なんだかんだ言って大分早く着いた。いやーまさか警察から逃げるために近道裏道使いまくったら早く着いちゃったぜ。参ったな~HAHAHAHA☆


「皆のモノー元気だったk「久我!?無事だったか!」うぼああああああああああ」


 教室の扉を開けて春休みぶりの学友たちに元気よく挨拶をしているときにイケメンが俺に突っ込んできた。


 そのままの勢いで俺に抱き着き締めあげてくる。


 ゴリゴリゴリゴリ


 ほ、骨が!骨が削れる!


 ミシミシミシミシ


 背骨が悲鳴をあげている。


「鋪野ぉ貴様随分なご挨拶だなこの野郎」

「よかった、本当に良かった」


 こいつ泣いてやがる!?ガチ泣きしてるぞ。


「久我よ、あまり鋪野を責めてやるな」

「そ、そうだよ久我君。ほ、鋪野君は久我君の身に何か起こっているって心配してたんだから」

「何だよ。鳴無、二兎お前らそんなところで突っ立てないで早くこいつを何とかしてくれよ」


 ただちょっと警察のおっちゃんに犯されそうになっただけで何もなかったのだ。


 俺としては野郎、しかもイケメンにこんなに長く抱きしめられていたくないので、鳴無と二兎にそれとなくヘルプを出す。


 しかし無視されてしまった。後で覚えとけよ。


「僕のレーダーがムクムクと反応したんだ。僕の久我君がどこの馬の骨ともわからない奴に犯されそうになっているって。だがしばらくしたら収まったんだ。それが意味するところは、久我君が無事に逃げたか犯されてしまったかのどちらかだ。だから久我君がここに来てくれて本当に良かった」


「鋪野……」


 ああ、そうだな。確かに心配かけた。そしてお前のそのレーダーとやらが反応したのは間違いなく正しい。

 本当かどうかは分からないが犯されそうにはなった。


 そんな心配してくれる友を持てて俺は嬉しい。


 俺たち二人を見てクラスの女子共は目に涙を浮かべ(´ー`*)ウンウンと頷いている。

 倉橋に至っては「尊い」と言いながら机に突っ伏してしまっている。


 こんな魔法も使えない俺をこんなにも温かく、分け隔てなく接してくれるクラスメートたち。


 本当に幸せだ。





 鋪野がホモで女子共が腐ってなければの話しだが。


「鋪野、お前のそのレーダーとやらはどこにあるんだ」

「何を言っているんだ久我君。僕の中心についているじゃないか」


 ふっ


「去勢してやる!」


 俺は思わずそう叫んでしまった。


 だって仕方ないだろ?


 必死の思いで逃げてきた先でまた犯される可能性が待っていたんだから。


 しかしそんな行動は女子陣によってできなくなってしまう。


「何言ってるの久我!それを去勢するなんてとんでもない」「そうよ!むしろそこはお礼に体を差し出すところでしょ!」「恥しいの?まだ体を預けるのは不安?」「だったらお礼に頬へのキスくらいしなさいよ」


 こいつら、言いたい放題言いやがって


「俺がそんなことしてお前らに何のメリットがあるってんだ」

「「「おかずになるのよ!」」」


 逞しいなぁ。


 堂々とおかず宣言しましたよこの子ら。もれなく全員だぜ?


 いやしかしこの子らもㇱてるんだなぁと思うとちょっとドキドキするね。


 鋪野とのカップリングでじゃなければだが。


「久我君」

「何だよ倉橋。復活したのか」


 さっきまで机でビクンビクンしていた倉橋が俺に声をかけてくる。

 こいつも奴らと同じ。昔はそうでもなかったらしいが。


 毒されたようだ。


「いつ鋪野君と付き合うの?」


 毒され過ぎだろうよ。


 何だよ何で俺が鋪野と付き合うことが前提何だよ。俺はノーマルなんだよ。男は恋愛対象には入らねーよ。


「いいか倉橋、いつも言っていることだが俺はノーマルなんだ。男に興味はない、だから鋪野と付き合うこともない。分かってくれるか?」

「……うん、わかった」


 よしよし分かってくれたか。

 倉橋は話が分かる奴でよかった。もしここで反論でもされたらどうしようかと思ったぜ。


「で、いつ結婚するの?」


 何も分かってなかったよド畜生。


 しかも付き合うからランクアップして結婚になってんだが、倉橋は一体何が分かったんだ?


「く、倉橋?お前今分かったって言ったよな?」

「うん」

「そうだよな、俺の聞き間違いじゃないよな」

「既に付き合ってるから今更付き合うのは無理、だから結婚」

「貴様の脳みそはどんな構造になっているんだ!」


 もうダメかもしれない。


 こうして俺は外堀から埋められて鋪野と付き合わされていくんだぁ。

 もうダメだぁお終いだぁ。


「ところで久我よ、今日はなぜギリギリだったのだ?」


 俺が鋪野に今だ締めあげられながら倉橋に絶望の底へと突き落とされているところに鳴無が聞いてきた。


 ふむ


 抱き着かれながら答えるのも難しいのでちょろっと腕に力を入れて反抗し開いたところで一気に力を抜いてできた少しの隙間で鋪野の腕から脱出する。


 え、最初からやれって?疲れるんだよ。


 脱出したと同時に女子共から落胆の声が聞こえてきた。ハハ


「まだ春休み中だと思って二度寝しようとした」

「久我らしいな」

「そう褒めるな」

「褒めてはいないのだがな」


 何だ褒めていないのか


 褒められた方が俺は成長するんだがな。


「ま、まぁ久我君が遅刻してこなかっただけましだよ」

「ハッハー二兎ぉテメー言うようになったじゃねーか」


 昔はきょどきょどしてうまく話すこともできていなかった奴が今じゃこんな嫌味も言うようになりやがって。


 ま、そうさせたのは俺たちなのだが。


「お前らーいつまで喋ってるんだ席につけ、全員遅刻にするぞ」


 いつの間にか来ていた担任、この担任が某芸能人に似ている。

 睡眠薬飲んで運転して2回事故った奴だ。名前が全く一緒でもある。


 やはり本人なのでは?


「おお、久我珍しいなお前が遅刻しないなんて」

「ま、たまにはね。そういう堤下こそ今日は顔色いいじゃねーか」

「いつもいいわアホンダラァ」


 いつもの挨拶を組みかわし俺は席に着席する。


 何と今日は全員遅刻もせずに出席しているようだ、珍しいな。


「め、珍しくしてるのは久我君だけどね」


 二兎ぉ本当に言うようになったなこの野郎。

 喋り方がまだ若干どもってるからさらに煽られてる感があってヤバい。


「さて、今日は入学式と始業式を兼ねている。最初に入学式で新入生の紹介と代表が挨拶をする。入学式が終わり次第そのまま始業式を開始する」


 思うのだがこれおかしいよな。なんで入学式と始業式を一緒にやるんだろうか。


 いいか、そんなことも妹たちの入学にとっては些細な事でしかないからな。

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