第三話真実
ジャンヌダルクが聖女かと問われたら、疑わしい点をあげることがカルロには出来る。
例えば、聖母マリアの受胎告知ですら、天使のガブリエルにメッセンジャーを頼んだのに、
なぜ、フランスのお家騒動レベルの話に、神が直々に、しかも、全くの無関係の少女にそんな話をするのか?
100年以上領地も王家も混在するイングランドとフランスなのに、なぜ、神がシャルル7世にだけ、贔屓をするのか?
投獄されてから、現在まで、なぜ、ジャンヌダルクを天使が助けようとしなかったのか?
しかし、悪魔がとり憑いていたかと問われたら、どう答えて良いのか分からなくなる。
確かにジャンヌと呼ばれた少女は気が強い一面があったようだが、話を聞く分には悪魔つきを疑うようなエピソードを見つけることは出来ないし、カルロの時代ですら、ジャンヌの異端審問には賛否が分かれるのだ。
「罪人の全てに悪魔が憑いているわけではありません。そして、ジャンヌは異端として裁かれたのであって、悪魔は関係ありません。」
カルロは穏やかに、それでいて、キッパリと言い切った。
「それでも、あの処刑から数年、増えてくる悪魔的な犯罪者がジャンヌに関係している事実を無視も出来ないでいる。」
プレアティは目を細めて、不安に思うカルロの表情を観察した。
「あなたが壊した、ジルのように、ですか?」
カルロは本題をついた。ジルが捕まった後、逃走したプレアティは、後に捕まって処刑されたが、彼を名乗る犯罪者は、気まぐれに現れて、人々を翻弄した。
彼らは、プレアティとして処刑される事も、また、別人として処刑される事もあった。
問題は、その不気味な現象に、よみがえり…などと囁く人間が現れた事だ。
魔術やら、悪魔崇拝を増やすような事は断じて止めなくてはいけない。
「私が?彼を壊した?」
プレアティは、驚きと失望の混ざった顔でカルロを見つめた。
「貴方にも…真実を、真の魔物を見ることは出来ないのか!」
プレアティは、破壊的な笑いを撒き散らして、絶望に沈み混んだ。




