第二話プレアティ
プレアティは、本来僧でないのか、破門されたからなのか、頭頂部にも髪の毛が生え揃っていた。彼は、堀の深いラテン系の顔立ちのハンサムな男だ。明るい茶色の瞳に親近感を潤ませて、見つめられるカルロは、この男に悪魔がとり憑いているとしたら、知恵と名のある悪魔にちがいないと感じた。
悪魔憑き…にも、大きく分けて二つある。
下等な悪魔にとり憑かれれば、動物のように考えなしに悪さを繰り返すが、
階級が上の知恵のある悪魔がとり憑いている場合は、清潔で気さくな人好きするタイプが多く、なかなか自分の犯罪の証拠を残したりはしないのだ。
「私も会えて嬉しいよ。プレアティ。」
カルロは、プレアティが話しやすいように穏やかに彼の名前を呼んだ。
プレアティは、名前を呼ばれたことを喜び、握手のために右手をカルロに差し出したが、後ろで睨み付けるアンドレと目があって、手を引っ込めた。
「嬉しいですね。私の人生最大のハレの日を貴方が見届けてくれるなんて!なんと言っても、貴方の著書『魔物の系譜』は、素晴らしい出来でした。あれを読んだ時、私の最後の祈りを聞いてくれるなら、貴方しかいないと決めていたのです。」
プレアティは、聖書の暗唱の評価を聞くように期待を込めてカルロに聞いた。
「で、私にはどんな悪魔がとり憑いているのでしょうか?」
カルロは、一瞬、返答に困る。悪魔にとり憑かれて浮かれている人物を初めての見たからだ。
21世紀のなろう小説とはいえ、作中は中世。カルロの著作の悪魔は、ゴジック風味の固い感じの世界観で繰り広げられているので、いや、当時のヨーロッパでは、悪魔は怪獣のような恐ろしく醜いイメージなので、魔王サタンですら、課金してまで欲しくなるようなキャラではない。
「初対面で見たくらいでは、悪魔を見つけることは出来ません。彼らは狡猾で、位の高い頭の良い奴ほど、闇に隠れるのが上手いのです。」
カルロは、プレアティの気を悪くさせないように、言葉を選んで話した。
プレアティは、カルロの穏やかな表情を疑わしそうに見つめて、
「では、ジャンヌダルクはどうでしたか?」
と、意地悪な質問をした。
1431年。カルロは、確かにジャンヌダルクの処刑の様子を目撃していた




