表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/43

3章 第43話 奴隷オークションの支度(2/2)

俺は着付けの準備があるってことで、一足早く八重と一緒に

お世話になったチャイルド服の専門店に来ていた。

もう奴隷オークションの開始の砂時計は落とされている。

今からでも取り返して時間に余裕も持って行動していかないと。

俺が買った服は特殊でバスト上げたりウェストを縮めたりと補正する下着が

メインであるために1人で装着するのにとても時間がかかった。

それもこれもアンシャたち男どもの力を借りることができなかったが

大きな原因の1つある。

そこで美に関して無頓着な八重だが同性と言う強い武器で

一緒に更衣室に入って、俺の体を完全にサポートしてくれていた。


俺は両腕を高くバンサイにして、


「わたしの力だけではもう胸に余計なお肉を押し入れることは限界なんだ。

 最後の仕上げは、お願いするね八重」


女の子同士だからこそ気兼ねなく頼める要望。

そして肌と肌の接触。


「もしかしてこんな豊胸などそれがしがさくらになるから

 無用になるのでは?」


俺の下乳に手を添えて言う八重。


「バカなことを言うんじゃない八重。

 女にはどうしても負けられない戦いがあるんだ」


とうぜん俺を落札使用と企んでいるメリナスを鼻を明かしたい気持ちもある。


それに控え室ではアイドル美少女コンテストようにギシギシとひしめく女の子の

嫉妬した中でずっと息を潜めないといけない。

春美を助け出すことが大前提だけど俺は女の子だけの閉鎖された空間に

行くのは正直まだ怖い。これも九条さんたちと出会ってしまって植え付けられた

呪いのようなものだと思う。

今でも集団でも集まる女性を見ていると鼓動がおかしくなってしまうことがある。


だからこそネガティブに思っている部分は全て切り落として、

生まれ変わった気持ちで控え室に挑まないと春美を助け出す前に

先に俺の心が押し潰れてしまうかもしれない。


しかも相手は集団の女の子以外にも値を付けられた金額で自分の価値が

数字と表示させるオークション特有のシステムがある。

これも最初は高い値段で俺を売ってかりそめの翼の資金に充てる話だったから

俺は気合いだけで覚悟を決めて九条さんたちの呪いを払拭していた。


それなのに途中から使えるご主人が決まるともれなく奴隷には

爆弾の首輪がプレゼントされる話を聞かさせてまた尻込みしてしまって

半信半疑だった自信がぶれていく。


だから俺は強引にかりそめの翼を強奪することに方向にシフトさせて

ありったけの勇気を振り絞ってできるだけ考えないようにしていたんだけど。

やっぱり強がりも混じっていたようで奴隷オークション開催の時間が

近づくにつれて精神と体のバランスがだんだんとおかしくなってくる。


結論から言えば俺のオークションでの価値は硬貨0枚でもいい。

奴隷オークションの控え室にのほほんと座って動く時期を見極めていたら

春美とかりそめの翼を奪取して逃げればいいだけのことなんだ。

でもそれだけでも難しいミッションなのに他のことも意識してしまう

俺がいて……


結局のところは落札金額が全ての俺の評価になってしまう。

自分を認めて欲しいアイドルを夢見る少女になるように

現実を逃避しているだけかもしれないけど低評価の烙印だけは押されたくない。

男の子も女の子もグループのセンターに憧れることは

生き物の本能として仕方ないことなんだ。

俺はバカだから、見栄でみんなに仲間外れにされることを見返してやりたい

ただみんなにちやほやさせたい気持ちが無意識に徐々に膨らんでいった

だけかもしれないけど。


「……俺はもうヒトに下げしむ目で見られるのは嫌なんだ。

 お願いわたしに協力してくれ、八重」


「奈緒殿……その心、しかと受け取ったでござる。ではお覚悟を」


「うん、ありがとう」


八重の手つきがまるでエステシャンのように俺が移民できなかった

お肉を胸にたぐり寄せていく。


「あ、ぎゃあーー痛いって、八重。そのもう少し優しく……」


「もう少しで余計なお肉が完全にブラに収まるから辛抱でござるよ」


脇や背肉と呼ばれた無駄なお肉たちが流れて集合して

俺の胸を巨乳へと成長させる。でも大きく胸が分だけ苦しい。

……でもここからが本当の戦いなんだ。


「……あともう少しだけパットの追加を頼む」


俺の欲望にまみれた一言。

ボクサーの階級制限の真逆でもしかもリミット制限はない。

例えると上限突破して食べるフードファイターに気持ちは似ているかもしれない。


「しかし奈緒殿、この分厚いパットが入ったブラに更にパットで

 水増しとはいくら何でも少し盛りすぎではござらんか?

 後から強烈な肩こりに襲われても知らないでござるよ」


俺は自分の汗だくの胸と八重の胸元をまじまじと比べて、


「それは実体験かな? 八重はいいよね。こんなにパットを入れなくても

 大きな胸に恵まれて育つなんて、本当にうらやましいよ。

 今わたしは胸元が変に重くて、暑苦しくしかたないんだけど」


パットの重なったミルフィーユ状の胸。

湧き出る汗が何だか生クリームの役目を果たしているみたいで

肌まで浸食してきてベタベタしてきて気持ち悪い。


「それは奈緒殿が極端に胸を盛るからでござるよ。

 それがしは自由に動きやすい小ぶりの胸を持つ奈緒殿が

 どれだけうらやましいと思ったことでござるか」


むか。


「わたしが胸の谷間を作るためにどんな大変な思いをしているか

 一緒に手伝って身に染みて分かるよね? 八重」


「……しかし奈緒殿、大きい胸などしょせんは脂肪の塊で……」


むか、むか。


「それがしも奈緒殿と同じで貧乳で産まれたかったござるよ」


「まだその口が言うのか? 八重。

 それは贅沢な悩みなのっ。大は小を兼ねるが、小は大を兼ねられないの」


「それとわたしはまだ伸びしろある成長途中の胸で、

 八重も越える逸材になるかもしれないんだよ~」


俺は傲慢な八重の口を知らず知らずに両手で掴んでいた。


「それがしが悪かったでござるよぉ~ 奈緒殿」


泣き目になっている八重にはちと可愛そうなことをしたがこれも

女の子には避けられない宿命だ。

余計なお世話かもしれないけど言ってやったぞ奈緒。

お前の気持ちを全て代弁してやったぞ。

女の子にはそれぞれの特有の胸の悩みがあると分かったところで、

俺は続きのステップに気持ちよく進む。


「次はこれを力一杯に引っ張ってくれる?」


姿勢矯正腰のコルセットみたいな補正下着をお腹に巻く俺。


「了解したでござる奈緒殿」


俺のお腹ある余分なお肉が下着により締められていく。

八重のイメージで表現すると、すのこです巻きにされて海に流されるて

しまう土左衛門のイメージである。


「これでもか、これでもかでござる」


胃が締め付けられ過ぎてウェストが細くなる分だけ

だんだんとお腹痛くなってくる。しかし八重の目つきが怖いんだけど。

もしかして胸の恨みをここで返そうとしているんじゃ……


「うぅ、八重これ以上は無理だって……」


「女の意地でもう少し頑張るでござるよ。西洋の貴婦人はあばらの骨を

 切除してまで腰を細くしたって聞いたことがあるでござる。

 何も奈緒殿の胴は首周りの細さまでは何も求めていないでござるよ」


ギューーーー……

八重のコルセットを引っ張る手が何かに取り憑かれたようで

止まらない。


「あぁー、八重さん、ここは現代なんですが……痛い、痛いってもう」


「……あ、すまないでござる。それがしとしたことが

 つい意地を張ってしまって」


どうやら八重は西洋にはどこか負けたくないところがあるようで、

ちょっとヒートアップしてしまうらしい。

これも密室の更衣室で八重との裸の付き合いをして分かったことだ。

まぁ、八重はずっと服を着ているけどそれは気分の問題である。


「でも美は女性の我慢の上で成り立つものでござるよ。

 もう少し頑張って下されでござる」


「だからもうだめ、もう限界なのっ。ふぅふぅ」


余りにの腹痛に耐えきれないで床に膝をついてしまう俺。


「大丈夫か? 奈緒殿。

 またもやそれがしは西洋文化に敗北してしまったでござる」


八重は悲しそうに天を見上げる。

いったい八重はどこへ向かって戦っていたんだろうか?


「勝敗なんかどうでもいいって。日本にも良いところと悪いところがあるだろ。

 それと一緒だよ。それよりも今は変身したわたしの姿を見てよ」


俺は更衣室の鏡の前でくるくると回る。

少年誌でグラビアを飾っている女の子の体型にかなり近いんじゃないだろうか。

補正下着が見えるので水着になるのは無理だけどシルエットだけ見れば

世にいる男どもの視線は釘付けにできるんじゃないだろうか?


「それがしはもう自分の体で見飽きたでござるよ」


八重のため息交じりの言葉に俺は……


「はい? それって遠回しのスタイルがいいってわたしに自慢いしている?」


「滅相もないでござるよ、奈緒殿。ちょっと落ち着くでござるよ」


「わたしの苦労も知っているクセに、この八重のバカバカッ!」


ポコポコ、ポコポコ。


「それがしが悪かったでござるよ~」


そんな些細なケンカもあり、俺のオシャレは着々と進んでいく。

ピンク花柄のスリムなショートのワンピースを頭からかぶり、

白のストッキングに仕上げの目力アップの付けまつげを付けて

メイクアップ。


「奈緒殿~ お綺麗でござるよ。

 まるでお城に住んでいる姫君で別人みたいでござるよ」


「ありがとう、八重」


まだミニスカートのすうすうする感覚には慣れたていないが、

魔法少女に変身した思えばこの肉体を維持している苦痛にも何とか

耐えられるだろう。

でもお世辞でも八重に綺麗って言って貰えると何だか心が

うきうきして楽しい。俺はまた鏡の前で自分の姿をまじまじと見る。

もし俺が女の子の産まれ来ていたらこんなオシャレも

楽しんでいたかもしれないな。もちろん最初の肉体改造はなしで。


「鏡ばっかり見ていないで、もっと現実をみろ。

 そろそろ出発しないと奴隷オークション開催に間に合わないぞ」


痺れを切らせて更衣室のカーテンを開けて割り込んでくるアンシャ。


「アンシャくんもエッチだね。そんなにわたしの着替え

 覗きたかったのかな?」


おめかしすると変に自身が付くのがお約束の鉄板である。


「つけ上がるな、改造偽装戦士。自分の顔をよく鏡で見てから物事を言え。

 もう既に外には馬車を待機させてある」


「時間の関係とお前の偽装した胸がずり落ちるかもしれないから

 僕が手配した。そんなに不細工な顔が見たかったら、手持ちの鏡でも

 用意して永遠に見ていろ」


「それはさすがに酷いんじゃないかな? アンス。

 わたしがどれだけこのプロポーションの意地のために苦労したかっ」


「寝ぼけたことを言っていないでさあいくぞ、奈緒」


「きゃあ」


アンシャが強引に俺の手を握って走ろうとするが……


「それは心配無用でござるよ、アンス殿。

 それがしが徹底的に胸に余分な脂肪を隙間なくブラに限界まで

 パットを押し込んだからまず落ちることはないでござるよ」


何もアンシャとあゆむの前でそんないらない

情報は与えなくていいんだぞ八重。


「うん? なら、どうして、お姉ちゃんは八重にお姉ちゃんに

 胸の大きさが負けているの?

 お姉ちゃんは胸に詰め物したんじゃないの? 改造したんじゃないの?」


あゆむの無邪気な質問が俺の心臓にぐさりと突き刺さる。

しょせん子供の体を背伸びしても肉体改造してもやっぱり大人の色香ある

女性には勝てないのか?


「……それはそうは、奈緒殿は着やせするタイプでござるよ。

 肉体改造された奈緒殿がまたたき服を脱げば、それがしなど

 赤子同然でござるよ。そうであろう奈緒殿」


無茶ぶりで戸惑いながらも俺のフォローに入ってくれる八重。

アンシャが下を向いて口を押さえくすくすと笑っているが

とても何だか憎らしい。急に殴りたくなってくる。


「そうだよ、あゆむ。でもここから先の改造した肉体は

 もっと大人ならないと見せれないんだ。

 だからご飯を食べてもっと大きくなろうね」


「はーい、改造人間一号のお姉ちゃん」


何であゆむは一言余計な言葉が多いんだろう?


「会場まで走って汗をかいてせっかくの服が汚れてもいけないし、

 せっかくだから馬車に乗せてもらうね、八重」


余り調子こいでしゃべっているとお腹が苦しくなってきたって

とても恥ずかしい言えない。

ここは上品にレディーに徹して誰にも気づかれないように振る舞わないと。


「では行きましょう、奈緒殿。

 それがしが奈緒殿の護衛をするでござるよ」


八重も俺の手を取って外に出て行こうとするがアンシャが

それを妨害して遮る。


「八重、悪いけどお前には馬車に乗せられない。

 関係者と思われたら、奈緒に入札することもできなくなくるからな。

 だからここでひとまずはお別れだ。その手を離してくれないか?」


元気だった八重の口先が震えている。八重とはお友達発言してから

何だかんだで俺はずっと一緒にいていたから。


「……それがしだけが1人だけがまた仲間外れでござるか?」


ここで突き放すのも小動物を山に捨てるようで何だか心苦しい。


「そうじゃない。八重はもうわたしのかけがえないお友達だよ。

 だから、その……」


例え言葉だけでも八重の心を安心させてやりたい。


「皆まで言わなくともそれがしは分かっているでござるよ」


「この単独任務は八重・レオンハイム・リータが絶対に成功させるから

 大船に乗ったつもりで行ってくるでござるよ。

 この場合は大船じゃなく馬車でござるかな? 奈緒殿」


八重がまた笑ってくれた、それでいい。


「もうそろそろ、時間じゃ。奈緒ちゃんたちは準備OKかのぅ。

 あれ? この美少女はお前さん方の知り合いかのぅ?」


服の整理していたドンダレフのおっさんが俺たちに声をかけてくる。

そう言えば八重とドンダレフのおっさんは初対面だっけ。


「ファッションセンスは最低クラスだが普通の服を着るだけで

 悪いがそこいる奈緒ちゃんよりも格段に光輝く原石じゃないだろうか?

 どうだ、わしの服屋の専属のモデルになってくれるかのぅ?」


「それがしがモデルでござるか? はわわ……」


あゆむの無邪気な質問にぐさぐさ刺された心臓にえぐって

塩を練り込んでくるようなドンダレフのおっさんの時間差攻撃の不意打ち。


「おい、現実を直視しろ、奈緒」


俺の思考回路がだんだんと停止していくのに対して

八重は混乱して動揺している。

俺の今も苦しんでいるお腹の痛みはいったい何だったのか?


「わたしはもうダメみたい、あとはよろしく頼むよ、みんな」


意識が消し飛んでいく。モザイクの掛かったようにみんなが見えて来て……

そう言えば無駄な抵抗と分かりながら朝ご飯は少しでもやせるために

抜いたんだっけ。あはは……


「また奈緒の傷口が開いたみたいだ。だがもう奈緒を休ませる時間はない。

 少し強引だがこのまま奈緒を連れて行く」


アンシャに俺は勢いよく足払いされ、


「……ぎゃふん」


倒され、強制的にお姫様抱っこされる俺。


「あゆむも付いてこい、後は任せたぞ八重」


そう言ってアンシャは外に向かって歩いて行く。


「それがしがモデル??」


だが八重はテンパっているようでアンシャの言葉は届かなかったみたい。


「待ってよ、お兄ちゃんぁ~~」


アンシャの後をあゆむが走って追っていく。


「それで、八重さんとやら。モデルの話じゃがのぅ?

 この水着なんか八重さんにぴったりと似合うと思うんじゃがのぅ?」


「薄い布地でこれではほとんど透けているでござらんか?」


「ではこっちの水着ではどうじゃ?」


「紐はいやでござるよ~」


八重の悲鳴だけが俺の脳内に響いてくる。

しょせん男など豊満なる胸の前ではあんなにも態度が分かるものだと

思い知らされる俺であった。今だけは心の傷が癒えるまでそっとして欲しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ