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3章 第39話 奴隷オークション開催までの夜明けの朝(1/3)

「ここはどこだ?」


「ここはアリル殿の屋敷でござるよ」


八重の泣き顔が俺の瞳に映る。

俺が寝ているベットに近くにテーブルとイスが1つずつあり

窓には白いお花が飾られている普通の部屋だった。


「奈緒殿、良かったでござるよ、本当に良かったでござるよ」


「……八重、ありがとう。スニゲスさんは元気?」


スニゲスさんは「美女2人に心配されるとは幸せ者」だと

強がっていてけど意識を失ってもまだ手足がけいれんしていたんだ。

心配せずにはいられない。


「安心して下され、スニゲス殿は奈緒殿の隣の部屋でアリル殿が

 看病しているでござる。だいぶ前に意識も回復したってアリル殿が

 報告してくれたでござるよ」


「今はスニゲス殿よりも奈緒殿ご自身の心配をして下されでござる。

 高熱にうなされ続ける奈緒殿をそれがしは見届けるしか……」


「俺の命よりもスニゲスさんの命が無事で少し安心したよ。

 ありがとうな、八重」


「奈緒殿はまだ自分をないがしろなことは言ってはダメでござるよ。

 どれだけ皆が心配したか? 胸に手を当てて考えるでござる」


「……ごめん、悪かった俺がどうかしていたよ」


それにしても八重の桜を彩った着物姿はまたなんとも言えないぐらい

似合っていた。さすがの八重も外出以外は動きにくい戦国鎧は

どうやら着けていないみたい。


「まったくだ。ずいぶんと臆病者になったものだ、これからの使命を

 忘れて他人よりも自分の死を優先的に考えるなんて。

 そのまま熱にうなされて死ねばお笑いぐさだったのにな、なあ奈緒」


「さすがにそれは少し言いすぎだよ、お兄ちゃん。

 あんなに苦しい顔してお姉ちゃんはずっと熱と戦っていたんだよ」


俺がほっとしていたのもつかの間。

聞き覚えがある懐かしい皮肉な声が聞こえてくる。

一日も経っていないのに何だか俺の腹時計が狂ったように

ノスタルジックに感じてしまって……


「あゆむ、ありがとう。

 そしてふざけんなよ、アン……ごほごほ……」


アンシャと言いかけて慌てて咳き込んで八重にバレないように

カモフラージュする俺。

八重の前ではアンシャって単語は口がさけても言えない。

確か八重の悲願はアンシャを殺して一族の無念を

晴らすことだったはずだから……

今はこの2人を無意味に血肉の争いをさせてはいけない。


「……アン、アン、あんパンって餡子が詰まっていて

 美味しいよね、アンス」


アンスは俺が適当にアンシャの名前をもじって付けた偽名だ。

それに天界に通じている天使がニュートラルにいるかもしれないので

ここは慎重にアンシャの名前だけは隠さないと。


「奈緒はかわいそうに。元々少なかった脳細胞がまた死んでしまって

 更にバカになってしまったんだね」


「あんパンが美味しいとかってどんな流れでそんな脈絡のない言葉が

 出てくるんだ、お前は相変わらず頭の中までおチビちゃんだよ」


「急に脳裏に浮かんだから仕方ないだろっ。

 それにバカって言う方がバカなんだよ、アンスっ」


「あんな幼稚な言葉をお兄ちゃん言い返して。

 やっぱりお姉ちゃんはまだまだボクと一緒でお子様だぁ~ あはは」


怪我をしてもいつもと変わらないようにアンシャとあやむに

バカされてしまう俺。

でもこのいつもの何気ない光景がいとおしいと思ってしまう

情けない自分がいる。


「さっきから奈緒殿とアンス殿はののしり合っていますけど、

 もしかしたら2人は思い人同士でござるか?」


「はい?」


八重に唐突な質問に聞き返す俺。

思い人ってたぶん恋人の意味だと思うけど……


「思い人ってどんな意味なの? お姉ちゃん?」


「……ちょっと待っていろあゆむ。

 思い人って言うのはだなぁ……」


俺はあたりさわりない言葉に変えてあゆむに返事する方法を

考えていると。


「あゆむ、思い人は愛人いや恋人の方がしっくりとくるかな?

 ちなみにござるの娘よ。僕とおチビちゃんとはその思い人ではないぞ。

 主と下僕の関係だ」


アンシャが俺のとの恋人関係を色んな意味で全面否定してくれるが、

もう八重の頭の中はいけない妄想が渦巻いているようでアンシャの

言葉が届いていないらしく……


「こんなあゆむ殿って可愛らしい愛の結晶までいて。

 それがしは奈緒殿に二股されて遊ばれていたとは……」


「何でそんな変な方向に脱線していくんだよ。

 誤解だって八重。アンスも八重に何か言ってくれよ~」


アンシャにすがる俺。


「僕たちがかりそめの翼の情報を集めているのにお前はまた

 知らない男(獣人)とその……やっていたそうじゃないか?

 僕たちを幻滅させるなよ、奈緒」


「紛らわしい言葉をあえて選択して使うんじゃない。

 しまいに殴るぞ、アンス……いてて」


拳を振り上げるだけで体が引きって痛い。


「奈緒殿はそれがしが知らないうちにまた知らない殿方と体を重ねて……」


「もう違うから、八重」


「ビッチ、ビッチのお姉ちゃん復活だぁ~」


「ビッチのお姉ちゃん?? もうそれがしの理性が

 崩壊する寸前でござるよ~」


八重の顔がだんだんと言葉を重ねるごとに赤面して

何だかまるでお湯が沸いているみたいに蒸発していき。


「もう、限界でござる。それがしは奈緒殿のふらちなおこないにはもう

 ついていけないでござるよ、あわわ……もうダメでござるぅ~」


よろよろと床に座り込んでしまう八重をとっさに支える俺。


「大丈夫か? 八重」


「うーーん、くーすか……奈緒殿、生きていてくれて

 ありがとうでござる~」


八重から鼻息あんど寝言が聞こえた。


「……八重」


「今はそっとしておいてやれ、お前が目覚めてほっとしたんだろう。

 八重と言う娘は僕たちが駆けた以前から一睡もしないでお前の看病を

 していたそうだ。ガルタのギルドの受付の娘から聞いた」


「……八重、ありがとうな。

 みんな、八重をそのベットに寝かせてやりたんだけど手伝ってくれる?

 俺はまだ体が辛くて八重を1人でベットまで運べないんだ」


「意地を張ってかっこをつけないでお前のその特性をよく考えて見ろ。

 幸いにもお前は豆粒のように小さい。

 ござるの娘と一緒にベットに寝ればいいだけの話だろ?」


そう言ってアンシャは俺から八重を奪い

お姫様だっこの形にしてゆっくりと担ぎ上げる。


「そ、そんな破廉恥こと俺にできるわけないだろうにっ」


「同性同士でなに照れているんだ、お前はやっぱり脳まで

 おチビちゃんなのか?」


「あゆむも手伝いたいよ~、お兄ちゃん」


「なら、ござるの娘の両足を支えてくれるか? あゆむ」


「うん。分かったでござるよ、にんにん」


八重の真似をしてふざけるあゆむ。

わざわざ重心を低くしてあゆむが持ちやすくさせるアンシャの

気遣いに俺はつい見とれてしまい、八重が俺のベットへと

着々と運ばれていくのであった。


「それでかりそめの翼の件はどうなったんだ?」


八重が隣で寝ているから心臓の動くスピードがドキドキして何だか気持ちが

ふわ付いて落ち着かないけどアキエルを救い出す唯一無二の方法である

かりそめの翼のことが気になってしまい気が休めずにアンシャに質問する俺。


「それがかりそめの翼はレアにアイテムになってしまったみたいで

 一般流通は禁止されたそうだ。でも安心しろ奈緒」


「明日開かれる奴隷オークションの後で続いてアイテムオークションが

 開催されるそうだ。お前が春美を救出してついでにかりそめの翼も

 奪ってこい。それが1番に手っ取り早い」


「盗みとかは正直な気持ちしたくなかったんだけど背に腹はかえられないよね。

 お疲れ様、アンス。アンスたちも疲れただろ、あゆむと2人で

 席を外してくれてもいいよ。俺はもう大丈夫だからって痛てて……」


変にねじってしまっただけで体がじんじんする。


「今は無理をするな。お前は大事な商品なんだぞ」


「それは分かっているけど商品って言葉はちょっとさすがに

 酷いんじゃないかな? アンス」


「商品に商品って言って何が悪い、さっさとおとなしく物として

 おとなしく寝ていろ、奈緒」


「分かったよ、アンス。もう寝るよぉ」


「……さっきから気になっていたんだけどアンスって

 アンシャお兄ちゃんのことなの?」


あゆむの鋭いツッコミにさすがのアンシャも少し動揺したみたい。

アンシャお兄ちゃんの言葉をかき消すようにアンシャは……


「ニュートラルの間だけアンシャからアンスに改名したんだよ。

 そうだろ奈緒」


急にアンシャに振られてた俺も少しパニックになりながらも。


「俺もレオエルから奈緒に改名しているだろっそれと一緒だよ、あゆむ」


苦笑いながら強引に名前変更の話をまとめる俺とアンシャ。


「ならボクもニュートラルの間だけ名前を変える。

 そうだ、ボクはあゆあゆと名乗ろう。かっこいいでしょ、お姉ちゃん」


「かっこいいな、あゆむ」


「あゆむじゃないよ、あゆあゆだよ。ビッチなお姉ちゃん」


「ビッチは頭が悪いことには使わないんだよ。あゆあゆ」


「なら、どんな時に使うのが正しいの? お姉ちゃん?」


「それは……えっーとそうだ、アン、あんパンが食べたい」


「えぇ、またあんパンなの?」


俺の話の脈なくもない意表を突く言葉に2人は呆れて口を開きかけるが

そのまま言葉を続ける俺。


「ギルドの受付のアリルさんに頼んで一緒にあんパンを

 買ってきてくれないかな?

 これはあゆあゆにしか頼めない任務なんだ。お願いできる?」


「うん、任せてお姉ちゃん。精が付くような餡子がたっぷり入った

 あんパンを探してくるよ。早く元気になってね、お姉ちゃん」


そう言って元気よく扉に向かって駆けていくあゆむ。

あゆむが精って言うのは活力をつけて元気になってくれって意味なのに

変な意味で性的に捉えてしまう俺。


「こんな深夜にあゆむに頼むなんて、気でも狂ったか? 奈緒。

 それにしてもいやらしいヤツだな。精って言葉に反応してまったく。

 顔が徐々に赤くなってきているぞ」


「これは少し熱が上がっただけだよ。アンシャ。

 もう深夜だったの? 何だかあゆむことがだんだんと心配になってきた。

 俺、ちょっとやっぱりあゆむを止めてくるよ」


そう言って俺は布団から飛び起きる。


「痛てて、動けよ。俺の体っ」


自分の体に気合いの言葉を命じるが奈緒の体は主の言うこと

まったく聞かずに俺は壁に持たれながらも足が絡まって止まってしまう。


「僕の名はアンスだろ。心まで動揺までして確実に疲労しているなお前。

 僕たちに晩ご飯をご馳走してくれたアリルならパンも焼けるみたいだから

 最悪自分で器用に作るだろう。だから今は寝ておけ、奈緒」


アンシャに強引に布団に戻される俺。


「あゆむたちのことを信じてお前は全力で休んでおくがいい」


「……そうなんだ。アンスはご飯を食べさてくれるヒトには

 いつも優しいね。やっぱり食いしん坊さんだったの?」


「僕のことをバカにする力はだけはまだ残っているようだな。

 どうやらお前は永遠の眠りにつかせて欲しいのが望みだようだ。

 女の体でも容赦しないぞ、レオエルっ」


「きゃ、怖い。わたしももう寝るよ。おやすみなさーい、アンス」


布団の中に潜り込む俺。


「おーい、ビッチな奈緒ちゃん。ござる娘に変ないたずらをするなよ。

 ここにいる僕が目のやり場に困るんだ」


「誰がするかっ! アンス」


アンシャの言葉に耐えきれずに俺は直ぐさま布団から顔出す。

今の挙動はタートスの爺さんに似ていて少し情けなく思う俺。


「あはは、そうだった、そうだった。

 お前のバカな醜態に心を踊らせて肝心なことを言うのをすっかりと

 忘れていた。朗報だ奈緒。アキエルの死刑の日が決まったぞ」


次のアンシャの予想外の言葉に背筋が完全に凍り付くと

同時に俺の心がお湯のように煮え上がってくる。


「今なんて、言った答えろよ、アンシャ」


俺は上半身を起こして、アンシャの首筋を掴む。


「完全に血が昇っているな。少しは冷静なれ、奈緒」


「俺は冷静だ。何が朗報だ、お前には関係ない存在かもしれないけど

 アキエルはアキエルは……」


「アキエルは何だ僕に答えてみろよ、レオエル」


「アキエルは……そう友達、友達なんだ」


「友達って言うのはとても便利な言葉だな」


アンシャが何だか寂しげに見えてくる。

俺のように孤独を愛して生きてきたアンシャが俺そしてあゆむと

出会い変わって行っているのかもしれない。


「僕の朗報って意味はアキエルの死刑の日が奴隷オークションの日

 と重ならないで良かったって意味も込められている」


「アキエルの死刑は今から一週間後だ。それまでタイムリミットがあるなら

 春美もアキエルも2人とも助けられるかもしれない」


「……アンシャいやアンス、ごめん。俺が勝手に熱くなりすぎたようだ」


アンシャを掴んでいた手を離す俺。


「弱気になるな、お前らしくないぞ。レオエル。

 仲間を思うことに熱くなることはお前の唯一の取り柄なんだ」


「……アンシャ、お前の言葉からそんなことを聞くとは

 正直少し驚いたよ」


アンシャの中に捕らわれている奈緒を救い出しにくくなってしまった。

これは賢いアンシャの魔神の策略だと思わないと俺の身の心が持たない。


「お前には早く元気になって貰わないとな。

 今の傷だらけのお前だと奴隷オークションの受付で門前払いされる

 恐れがある」


「それだと春美が死ぬリスクを不本意にも結果上げてしまうことにも

 繋がってしまう。それだけは避けたいんだ」


「そこで僕は嫌だがお前の治療力を活性化させる手段がある。

 耐えられるか? 奈緒の体と特に僕への負担がかなり大きいんだが……」


これまでとは違い真剣なアンシャの瞳に俺は……


「どんな苦しい試練でも俺はやるよ。こんな体になったのも

 俺に全ての原因があるわけだしね」


ごめんよ、奈緒。またお前の体を酷使するかもしれない。


「そこまでの覚悟があるなら僕も度胸を決めてその苦痛に耐えおうとしよう」


そう言ってアンシャは上半身の着ている服を脱いで

四つんばいになって俺の寝ている布団に侵入してくる。


「はい? これはいったい何の真似ですか? アンスさん」


俺はてっきり格闘アニメのように猛毒の水を飲んで、過去の自分と戦い

目覚めるとパワーアップする展開に期待をしていたんだが……


「お前と戦った時にレオエルと奈緒が近づくと肉体が

 回復していたことはもう僕はお見通しなんだよ」


「それって……まさか……きぁーーやめろよ、アンシャ」


「暴れるな、レオエル。八重が起きてしまう。

 僕も嫌々お前の近くに行くんだ。

 それと回復力が上がるかもしれないがお前は服を抜かなくていい」


「お前の汚い肌に触れると僕の体が汚れてしまう。

 緩衝材の寝間着はあった方がいい。それはお互いの命のためだ」


「……アンシャ」


アンシャは少し照れながらもの両手が俺を優しく包み込んでいく。

アンシャの鼓動そして俺自身の男だった頃の鼓動が聞こえる。

元は俺の体だけに何だか母に抱かれたような気がして安心してしまう俺。

俺の赤ん坊の時はこうやって母に抱かれていたのかもしれない。


「それにしても近くに行くと体臭が臭いな、奈緒。

 ちゃんとお風呂で体を洗っているのか?」


アンシャの発言で俺の淡い全ての思い出が

木っ端みじんに吹き飛んでしまう。


「女の子に臭いって酷いなぁ、アンス。くんくん、へぇ何だこの匂い?


自分では分からなかったけど改めて自分の体を匂ってみると

石けんのいい香りが消えて香草のような薬剤の匂いが漂っている。


「それにお前の体も何だかベタベタするぞ、体に分泌した油が

 浮き出てくるなんて想像以上に気色悪いなぁ。

 奈緒の両親はガマガエルか何かなのか?」


「……ガマガエル?」


アンシャのガマガエルの響きに俺の直ぐに横でのんきによだれを垂らして

寝ている八重の姿を目視する俺。

きっと八重秘伝のガマの油でも俺の体中に濡れてくられているのでは

ないだろうか?


「違うに決まってだろっ、わたしは普通の人間だって」


「なら、もうちょっと僕から距離を開けてくれ、奈緒。

 お前の体は臭うしかベタベタするし、僕の予想を遙かに

 越えて鼻に届くんだ、臭い、臭い、とっととあっちいけっ」


「またわたしを臭いって失礼しちゃうな、もう。

 もっと俺に遠慮しないでしっかり抱きしめないと

 八重がベットから落ちてしまうだろっ」


意地悪も込めて俺の方からアンシャを抱きしめていく。


「僕に抱きついて鼻の下を長く伸ばさないでくれ、レオエル」


「誰がお前ごときで鼻の下を長く伸ばすかよ。

 奈緒の体よりもグラマーな春美の体方がいいのかな? 

 むっつりスケベなアンスちゃん」


「僕は別にお前の布団から出て行ってもいいんだぞ。

 遠回りしないでニュートラルを火の海に変えて春美を

 助けてやればいい話だけのことだからな」


またアンシャに暴走されると俺の手ではおえない。

もうこのニュートラルには俺と関わってくれた大事な友達がいるんだ。


「……ごめんさい。アンス様。どうかわたし目の体を好きにして下さい」


「従順な振りをしてまた僕に近づくな。臭いのもぬるぬるも

 我慢してお前の傍にいてやっているんだぞ。

 気色悪いことを言っているとしまいに蹴り飛ばすぞ」


「もう酷いなぁ、アンスは」


「もう奴隷オークション開催まで時間ない。早く寝てくれ。

 お前に付き合って僕までだんだんと何だか頭がおかしくなってくる」


「分かったよ、アンシャ。もう羊さんを数えて寝るよ。

 アンシャが1匹、アンシャが2匹……」


「僕を羊にしてバカにしてやっぱりお前は永遠の眠りと心の奥底で

 願っているようだな、レオエル」


「時折と言いますか? ほとんどレオエルって言っているよ、

 アンス」


「それはお前もお互い様だろっ、レオエル」


バシッ、バシッ……


「きゃー、痛いって。

 怪我人のお尻に膝蹴りするじゃないって」


「ズボンを貫通してお前のキモさが僕の全身に伝わってくるぞ。

 それにしても臭い、臭い鼻が曲がりそうだ」


「なにおぅ~、女の子に向かって臭いとはなんだよぉ~」


俺たちはその後、布団の中で長いプチ戦争が行われたみたいだけど

両者白旗をあげて疲れ果てて少しだけ仮眠できたようで……

起きると顔を真っ赤している八重に苦笑いする俺たちだった。

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