森での防衛戦 後編
ー 遅い、仕掛けるなら迅速にしろ。
そう言いながら振り下ろした大剣を肩に担ぎなおす。
大剣に激突し、爆散した土煙が徐々に視界を露わにしていく。
パラパラと土が降ってくる中、下に広がるは肉の塊
そして目の前に見えるのは驚愕に目を見開いた敵方2人。
その足は既に無様にも震えていた。
剣を両手で握り直し、大きく後ろに構える
そして引っ張る様に大きく弧を描き、全身の筋力と遠心力
腰の力を加え大剣を薙いだ。
「ッ!」
咄嗟に杖を翳し、高速演唱を行う
こいつ、”魔法使い か。
鉄の砲撃をも防ぐ魔力防壁、通常なら力技でどうこうできるものでは無いが・・・。
この程度、雷切を発動する価値も無し。
ーぬんッ!
左足を軸に、右足を前へ踏み出す
そして軸を失わぬよう全力で魔法陣に叩き込んだ。
魔力と鉄の塊が全力でぶつかる甲高い音
魔力粒子が勢いと重量、大剣の威力に耐え切れず防壁繊維が崩壊する
そして元々無かったかのように、魔法防壁は呆気なく”割れた 。
「嘘・・・ッ!」
魔力繊維で編まれた防壁が硝子の様に崩壊する
呆然とするのは一瞬、再び口を動かすが・・・遅い
返す手に持ち替え、大剣を逆手に一瞬で刃が戻って来る。
敵の瞳に驚愕の色が浮かんだ。
巨大剣は一度振れば次振るのに時間が掛かるって?
そんなの誰が決めた。
人外の筋力に、繊細な技量。
大剣は吸い込まれるように敵方の喉に喰らい付いた。
事実は一瞬の内に終わる。
大剣がまるで「喰い千切る」様に肉を裂き、骨を砕き、皮を削いだ。
そして首は空高く舞い上がる。
血を振りまき、芸術のように舞う。
「魔法使いッ!!」
後方の戦士と思しき女性敵が、抜刀し、走り込んでくる。
狙いは振り切った俺の脇腹。
考えは読める、さしずめ防御部分のない関節部位を狙う気だろう。
・・・だが。
ー 弱点をそのままにする武人が存在するかッ!
剣を手首で動かす
その僅差の動作で、剣士の刺突は呆気なく防がれた
分厚い刀身に、剣先がぶつかり火花が散る
力任せに押し込もうと、1ミリとも動かなかった。
「馬鹿なっ!?」
ー馬鹿は貴様だ
剣士が顔を上げたとき、目前には雷撃に包まれた拳があった。
硬い感触が額を撃ち抜く
首が別の生き物の様に暴れ狂い、骨が嘶き、血が逆流する。
同時に甘い痺れが全身を駆け抜け、50m程地面の上を転がり続け、停止した。
その体は何度も痙攣し、軈て止まった。
彼女の鼓動と共に。
振り抜いた拳を払い、剣を背中に担ぎなおす
そして一息吐いて、思い出したように振り返った。
ーおい、お前・・・怪我は・・・・。
振り返って見えたのは撓わな”胸。
白い人肌が一面に広がっていて・・・。
巨大なおっぱおが降ってきた。
「~~~~!騎士さまぁ~~~~!!」
ーどわっぷぁ!!!!
柔らかそうな胸が視界いっぱいに広がる
俺は鉄の塊を身につけているため、直には触れられず想像だけとなった
鎧を着けていたことが仇になったか・・・くッ!!!
一生の不覚だッ!!!!
いや、まて、今ならまだ間に合うやもしれん
今すぐ鎧を脱いでその豊満なバストを・・・・・・・って馬鹿か俺は!
だが女性特有の甘い匂いが密封された鎧の中に広がり、なんとも言えない気分に・・はっ、いけいない。俺は一体何を・・・アブナイアブナイ
ーこ、これは罠か!? 俺を篭絡するためのワナカ?!
あたふたしながらなんとか起き上がろうとする
だが理性で分かっていても本能で否定していた。
(何やってんだ俺は~~~~っ!!)
淡い青春に浸る勇者19歳の今日この頃。