火曜日 朝
作者がもだもだしちゃう高校生の初恋的なのが好きなので書こうと思った次第です。
小説のようなものを書くのは初めてなので、生暖かい目で読んでいただけたら、と思います。
ここら辺が読みにくい、わかりにくいなどありましたら、教えていただけると嬉しいです。
今後に生かしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
『今日の放課後、屋上に来てください。
待っています。』
今日、いつも通りの時間に学校に来ると、下駄箱には封筒が入っていた。表面には私の名前。
淡いオレンジのそれをなんの疑いもせずに開けると、同じ色の便箋がのぞく。そしてそこにはさっきの文面。
一瞬理解できなくて、便箋にならんだ男の子っぽい字をじっと見つめる。少ししてからやっとこの手紙の意味が理解できた気がして、恥ずかしくなる。
手紙をカバンに入れて、なんとなく教室に急いで行く。
誰の字かも私にはわからなかったけど、多分クラスの男の子の字だと思った。
「ゆっちゃんおはよ!」
教室に入って席に着くと、みーちゃんが一番に挨拶をしてくれた。みーちゃんは私の左側の席だ。
吉野美佳ちゃん。小学生のときに習い事先で知り合ってから、中学に高校と同じ学校。
噂とかお洒落とかが大好きで、一緒にいると楽しい女の子。私とは絶対に違うなにかを持っている彼女に私は激しく惹かれて、彼女もきっと私との違いに惹かれて、今ここまで仲良くなっている。
ハデというわけでもないけど、華やかでかわいいみーちゃんは女子にも男子にも人気がある。
私みたいな地味なのと仲良くしてくれていていいのかと思うほど、ずっと一緒にいる。喧嘩とかもしたけど、小さいときからのずっと大切な友達。
「お、おはよ!」
「あれ? ゆっちゃんなんかあったの?」
「ん? あ、あぁ、あのね……」
カバンからさっきの手紙を出してみーちゃんにこっそり渡す。手紙が目に入った瞬間にみーちゃんの顔に広がった表情を見て、やっぱりそういう用件のものかとなんともいえない気持ちになる。
「ゆっちゃん、これ、さぁ!」
にやにやしながら私の顔をじろじろ見るみーちゃん。
「や、やっぱりそういうことなのかな……?」
「そりゃそうでしょ! ……ね、これ誰の字かわかってる?」
まったく検討もつかないので私は素直に首を横にふる。
「えっ、ほんとに? 心当たりもない?」
「う、うん。みーちゃん、これ誰の字かわかるの?」
まだ8時になっていないこともあって学校の中に人も少ない。
来ている人も大体が部活の朝練なので、クラスの机に荷物がおいてあるだけで人は数人ほど。
私たちの会話がほぼ聞こえていることは私もわかっていた。みーちゃんも聞こえていることは十分わかっていただろう。それでも一応、声をひそめてみーちゃんは言う。
「園田蓮!」
「えっ?」
教室にいるクラスメイト数人のしゃべる声が一瞬止まる。すぐにそのあと話しはじめるが、こっちを気にしていることは私も感じられた。
園田蓮くん。中学のときからの知り合い。とくに仲が良いってほどでもなかったけど、なにか機会があれば普通に話すし、別に嫌いじゃない。
私は転校生の○○くんがかっこいいだとか、○○くんが○○ちゃんに告白しただとかそういうのには疎いからあまりよくわからない。
けど、園田くんは中学に入学したときからわりと話題になっていたらしくて、園田くんを好きな子も多いらしい。
特別かっこいいとかそういうんじゃないみたいだけど、スポーツはなんでもできるし、勉強もそれなりに。顔も女の子好みではあるみたいだし。
誰とでも分け隔てなく接して、さりげない気遣いもできる。などなどなどなど。
みーちゃんから少し聞いただけでもこれくらいの情報が入ってくる。とにかく人気者らしい。そんな人が私に、ねぇ。
「絶対にそうだって! これ園田の字だよ。ゆっちゃんそんなに仲良かった?」
「でも、私なんかに園田くんが? ないでしょ〜。すごい仲良いわけでもないしさぁ。ないない!」
「えー、でもこれ園田の字だもん。あいつ罰ゲームでこういうことするのは嫌いなやつだし、本気の本気なんじゃなーい? 便箋までまぁ、あんた好みにしちゃってさ。気合い入ってるね〜」
「び、便箋は確かに好きな雰囲気だけど……そんなの関係ないじゃん。……園田くん、かぁ」
なんとなく違和感があってぽそっともらすと、こんな一言でも聞き逃さないみーちゃん。
「ん、なぁに、みんなの人気者、園田くんはご不満なわけ?」
「そ、そんなんじゃないよ! なんか園田くんみたいな人が私にっていうのが違和感あって……」
「そう? 地味でもなく派手でもなく、ちょうどよく可愛いあんたのこと好きなやつは多いんじゃないの」
「なにそれ。誉めてるの? そんなことないって。こんな手紙なんてもらったの初めてだし、それに……」
「それに?」
それに……なんだろう? なんで今それに、なんて言っちゃったんだろう?
「な、なんでもない!」
「ちぇ、つまんないの。ちょっと、今日絶対メールしてよ! 待ってるから!」
「気が向いたら、ね?」
だんだん教室にも人が集まってきて、賑やかになっていった。時計を見るともう8時を過ぎていた。
園田くんもいつのまにか来て自分の席に座って友達と話している。今日は放課後まで園田くんが気になっているに違いない。
そんなことを悶々と考えていたら、右隣の席の本村くんが来た。
「崎川。おはよう」
別に普段と変わらないのに、なぜか名前を呼ばれてどきっとした。
「あ、おはよう、本村くん」
あれ、なんでどきっとしたんだろう。なんかあったっけ。いや、昨日もいつもと同じだったはず。
じゃあなんでかな。やっぱり、今朝の手紙、かな……。
「……崎川、大丈夫? なんかあった?」
「ううん、なんでもない! 大丈夫大丈夫。平気。ありがとう」
「そう? なんかあったらいつでも言ってな。俺ができる限りは相談乗るし」
「うん。ありがとう。なんか、朝からごめんね!」
「いや、気にしないで。だって友達だろ!」
「あはは、そうだね! じゃあ、なんかあったら、そのときはよろしくね?」
「おう!」
私と本村くんを見てにやにやしているみーちゃんは放っておいて、一時限目の授業の支度をする。
もうすぐ先生も来る頃だろう。ちらほらと席が空いているのはいつもの遅刻組かな。
その中のひとり、秋原くんもいつも通りまだいない。たまには早く来ればいいのに。
先生が来るまでとくになにかすることはない。席に座ったままぼんやりとしていて、気づいたら園田くんのことを考えていた。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
気ままに更新したいと思います。楽しみにしていただけることほど嬉しいことはありません。
ダメ出しや感想なども、よろしければお願いします。今後に生かしたいと思いますので。
本当にありがとうございました!