茶屋の娘が語るお話
わたしが作った 団子
お茶の葉を混ぜた 茶団子
どんな茶団子よりも小さくて やわらかい
わたしの 手と手のひらを合わせて作った
わたしの 茶団子
緑色をした まるい団子が
一 二 三
細い木の串 並んで くっついている
わたしが初めて作った 一串
それをあなたは喜んで食べてくれた
やさしい 暖かい笑顔で
おいしい
わたしの頭を やさしくなでてくれた
うれしくて うれしくて
その気持ちを ありのままに伝えたくて
またきてね!
大きな声で 笑顔で言った
そうですね また いつか
あなたも微笑む
でも その顔は 少しさびしそう
あなたは 自由気ままな旅人
わたしは 小さな茶屋の小さな子供
わたしは今日も団子を作る
今ではそこらの茶団子とあまり変わらない
わたしの手と手のひらを合わせて作った わたしの茶団子
団子を三つ 串に通して
微笑みながら お客さんに差し出す
お客さんは 見知らぬ旅人
わたしは 小さな茶屋の看板娘
そしてまた あの日の事を思い出す
それは 小さい頃の 私の思い出
初めて団子を握った あの日
やさしい旅人とおさない私の
ほんの一時の 大切な思い出