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固有スキル【生成AI】で異世界全自動化 〜魔法陣はAIで組み、国はAIが建て、気づけば俺の仕事がなくなりました〜  作者: 歩人


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第65話: そういうところ

 朝の光が宿舎の窓から差し込んだ時、レンは丸太の椅子に座ったまま目を覚ました。


 いつ眠ったのかわからない。襲撃の後、交代で見張りを立てたはずだが、最後の当番の途中でうとうとしたらしい。


「あんた、首がすごい角度になってたよ」


 エルナの声で意識が完全に覚醒した。


 焚き火の跡。灰になった薪。夜明けの空気が冷たい。


 子供たちはまだ眠っていた。宿舎の中から、規則正しい寝息が聞こえる。昨夜あれだけのことがあったのに——いや、あれだけのことがあったからこそ、ぐっすり眠っている。


「……何時だ」


「日の出。カイルが見張りの最後を引き受けてくれたけど、あんたも一応起きてなさいよ。先生なんだから」


「すまん」


 レンは首を回した。ごきごき、と不吉な音がする。丸太の椅子で寝落ちしたのは前世でも今世でも最悪の睡眠体験だった。


 立ち上がって、宿舎の前に出た。


 朝靄あさもやの中に、昨夜の戦いの痕跡が残っている。倒された荷車。積み上げられた石のバリケード。地面に刻まれた影狼の爪痕。焦げた地面。


 そして——フィオが南東に動かした焚き火の跡。


 レンはその場にしゃがみ込んだ。焼け残った枝を拾い上げる。


「……これだ」


 呟いた。


「これが教育だ」


 答えを与えることじゃない。知識を詰め込むことじゃない。


 自分で考えて、自分で動く力を育てること。


 極限の状況で、子供たちはそれを証明した。AIが出す最適解ではなく、自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分の手で行動した。


 フィオは風を読んだ。鍛冶場で培った経験で。


 他の子供たちは火を運び、石を積み、傷の手当てをした。誰に言われたからじゃない。自分で「今、何が必要か」を判断した。


 それはAIにはできない。AIは最適解を出す。でも——この状況で何が必要かを、自分の身体で感じて決めること。それは人間にしかできない。


「答えじゃない。自分で動く力だ」


 焼けた枝を地面に置いた。


「レンさん」


 メイラが宿舎から出てきた。丸眼鏡が朝の光に反射している。髪が少し乱れていて、頬に枕の跡がついている。


「子供たち、まだ寝ています。カイルくんが見張りから戻ってきて、グレン師が代わりに村の外周を確認に行きました」


「そうか。……メイラ、昨夜はありがとう。防御魔法がなかったら——」


「わたしだけじゃありません。カイルくんが前衛で耐えてくれたから、グレン師が結界を張ってくれたから。それに——」


 メイラが微笑んだ。


「フィオちゃんが、すごかったです」


「ああ」


「あの子の観察力は、わたしの魔法理論とは全然違うアプローチです。数式やロジックじゃなくて、体験から直感的にパターンを読む。わたし、自分の教え方を見直さないといけないかもしれません」


「メイラの授業があったから、子供たちは『情報を疑う』って考え方を持てたんだ。フィオだって——」


「レンさん」


 メイラがレンの袖を軽く引いた。


「その……昨夜、わたし、途中で魔力が切れかけて。もし次があったら——もっとうまくできるように、防御魔法の効率化を研究したいんです。レンさんの魔法陣最適化の理論を応用すれば——」


「ああ、それなら夜に時間作るから。資料まとめておいて」


「はい! ありがとうございます、レンさん」


 メイラの頬がほんのり赤くなった。朝の冷気のせい——ではないだろうが、レンはそんなことに気づく男ではなかった。




 その会話を、宿舎の窓から見ていた人間がいた。


 エルナは窓枠に頬杖をついて、二人のやり取りを眺めていた。


 レンとメイラが並んで立っている。朝靄の中で、何やら真剣に話し込んでいる。メイラがレンの袖を引いた。レンが頷いた。メイラの顔が嬉しそうに輝いた。


 ——また。


 エルナの胸の奥で、小さな棘が刺さった。


 学舎の設立からずっとだ。レンとメイラの打ち合わせが深夜に及ぶ日々。教育方針の議論。カリキュラムの設計。子供たちの進捗確認。全部「仕事」だとわかっている。メイラは優秀な魔法師で、教育にはメイラの専門知識が不可欠だ。それは理解している。


 理解しているのに——面白くない。


 自分はパン屋だ。魔法なんて使えない。教育理論もわからない。カリキュラムの設計なんて手伝えない。自分にできるのは食料を届けることと、怪我をした子供に包帯を巻くことくらいだ。


 昨夜だって——レンは子供たちに指示を出し、メイラは防御魔法を張り、カイルは前線で戦った。自分がやったのは、包帯を巻いて、水を汲んで、「大丈夫」と声をかけただけだ。


 ——あたしの出番なんて、最初からないんだ。


「おい、エルナちゃん。何難しい顔してんだ」


 窓の下から声がした。カイルが見張りから戻ってきたところだった。大剣を背に担いで、いつもの能天気な笑顔を浮かべている。腕には昨夜の傷に巻いた包帯が巻かれている——エルナが巻いた包帯だ。


「別に。何でもない」


「嘘つけ。顔に全部書いてあるぞ」


 カイルは窓枠に肘をかけて、エルナの視線の先を追った。朝靄の中で並ぶレンとメイラ。


「ああ——なるほど」


「なるほどじゃないし」


「わかりやすいなあ、お前」


「うるさいっ」


 エルナは窓から身を引いた。顔が熱い。




 朝食の準備を始めた。


 残りの食料で粥を作る。子供たちがぽつぽつと起き出してきて、焚き火の周りに集まった。昨夜の戦いの興奮が残っているのか、いつもより口数が多い。


「ねえねえ、あたしが石運んだのすごくなかった?」


「俺の方がすごい! 火の枝を三本持ったんだぜ!」


「フィオ姉ちゃんの風の作戦が一番すごかったよ!」


 フィオが粥を啜りながら、目を逸らした。


「……普通のことじゃん。風向き見るなんて、鍛冶場じゃ当たり前だし」


「当たり前じゃないって! 先生もそう言ってたじゃん!」


「先生は大げさなんだよ。あと泣き虫だし」


「泣いてねえっつの」


 レンが粥の鍋を持ったまま反論した。子供たちが笑う。


 その笑い声の中に——エルナは混ざれなかった。


 椅子に座って、粥を配る手を動かしながら。子供たちの笑顔を見ながら。でも、胸の棘は抜けないまま。


 レンが粥を配り終えて、エルナの隣に座った。


「エルナも食えよ」


「食べてるし」


「一口も食べてないだろ」


 エルナは匙を動かした。粥は温かかったが、味がしなかった。


「……なあ」


「何」


「昨夜、包帯巻いてくれたの——助かった。子供たちの手当て、俺には無理だったから」


「……別に。あれくらい誰でもできるし」


「誰でもはできないだろ。メイラは防御魔法で手一杯だったし、カイルは前衛で——」


「メイラさん」


 エルナの声が、少し低くなった。


「……何?」


「あんた、最近メイラさんとばっかりじゃない」


 レンが匙を止めた。


「ばっかりって……仕事だろ? 教育方針の設計とか、カリキュラムの——」


「仕事仕事って。朝から二人で何話してたの。メイラさん、あんたの袖引っ張ってたけど」


「防御魔法の効率化の話だよ。昨夜の反省で——」


「反省は昼にすればいいじゃない。何で朝一番から二人きりで——」


「二人きりじゃねえだろ。外だし」


「……そういうところ!」


 エルナが立ち上がった。匙が鍋に当たって鳴った。


 子供たちの会話が止まった。全員がエルナの方を見ている。


 エルナは——自分でも何に怒っているのかわからなかった。いや、わかっている。わかっているのに、うまく言葉にできない。


 魔法が使えない自分。教育を手伝えない自分。レンの隣にいる理由が見つからない自分。


 メイラは優秀だ。美人で、知的で、レンの仕事を理解できて、一緒にいて楽しそうで——


「エルナ」


「もういい」


 エルナは粥の器を置いて、歩き出した。宿舎の裏手に。


 レンが困惑した顔で立ち上がりかけた。


「おい、ちょっと——」


 カイルの大きな手が、レンの肩を押さえた。


「座ってろ」


「でも——」


「今追いかけたら火に油だ。俺に任せろ」




 宿舎の裏手に、小さな井戸があった。


 エルナはそこに座って、足元の草を千切っていた。朝の空気が冷たくて、鼻の先が赤い。


「よう」


 カイルが隣に座った。大きな体で井戸の縁がきしむ。


「カイルまで来ないでよ」


「まあまあ。俺のことは置物だと思え」


「置物にしてはうるさいんだけど」


 カイルは笑った。それから——少し真面目な顔になった。


「エルナちゃん」


「何」


「素直になれよ」


 エルナの手が止まった。


「あいつは鈍感なんだから。言わなきゃわかんねえ」


「……何の話」


「お前がレンのこと好きだって話」


「はぁ!? 誰がいつそんなこと——」


「見りゃわかる」


 カイルの声は、いつもの豪快さとは少し違った。穏やかで、まっすぐで。脳筋のくせに——こういう時だけ、妙に核心を突く。


「あいつは、悪気はねえんだよ。仕事の話になると周りが見えなくなるのは昔からだ。メイラとの打ち合わせも、お前に対しても、全部同じ感覚で接してる。——だからこそ、言わなきゃわかんねえ」


 エルナは草を千切る手を止めた。


「……あたしが言って、何が変わるの」


「さあな。変わるかもしれんし、変わらないかもしれん」


「何それ。アドバイスになってないんだけど」


「難しいことはわからん! でも——」


 カイルがエルナの方を見た。


「お前が黙ってモヤモヤしてんのは、見てて辛いんだよ」


 エルナは口を閉じた。


 井戸の水面に、朝の空が映っている。雲一つない青空。


「カイルって」


「おう」


「なんでそういうこと言えるの。恥ずかしくないの」


「恥ずかしいに決まってんだろ。でも思ったこと言わない方がもっと嫌だ」


 エルナは——小さく笑った。


「あんた、脳筋のくせに」


「褒め言葉として受け取っておく」


「褒めてないし」


 二人の間を朝風が通り過ぎた。宿舎の向こうから、子供たちの声が聞こえてくる。


「……ちょっとだけ、考える」


「おう。考えろ。でもあんまり考えすぎるなよ。レンじゃあるまいし」


「それは確かに」


 エルナが立ち上がった。スカートについた草を払う。


「カイル」


「おう」


「……ありがと」


「おう。——で、腹減ったから粥のおかわりくれ」


「自分でよそいなさい!」




 村からアルゴリズへの帰路は、静かだった。


 馬車に揺られながら、子供たちは疲れ切った体を寄せ合って眠っている。フィオだけが目を開けたまま、流れる景色を見ていた。


「先生」


「ん」


「あたし、昨日の夜——怖かった」


 レンはフィオの方を見た。赤銅色の髪の少女は、窓の外を見たまま言った。


「超怖かった。脚が震えて止まらなくて。でも——泣いてる子たちを見たら、もっと怖くなった。あたしまで泣いたら、みんなどうなるかと思って」


「……そうか」


「だから叫んだの。自分に言い聞かせるために。『泣いてる暇ない』って。——先生が教えたことなんて、あの瞬間は全然思い出してなかった。嘘ついてごめん」


 レンは——笑った。


「いい。それが正解だ」


「は?」


「教わったことを思い出して動いたんじゃなくて、自分で判断して動いた。それが一番大事なんだ。教育ってのは——忘れても残るものを植えることだから」


 フィオが眉をしかめた。


「また難しいこと言ってる」


「すまん。つまり——フィオはすごかったってことだ」


「……ふうん」


 フィオは窓の外に目を戻した。だが——頬がわずかに上気していた。




 アルゴリズに戻って三日後。卒業試験の準備が始まった。


 学舎の教室は、久しぶりのAI環境に子供たちが浮かれていた。一週間ぶりのAI接続に、あちこちで歓声が上がる。


「AIお帰りー!」


「待ってたよ!」


「ねえねえ、聞いて聞いて! あたしたち魔物と戦ったんだよ!」


 AIが淡々と応答する。


 ——『影狼の群れとの遭遇ですか。記録を——』


「記録はいいから聞いて! フィオ姉ちゃんが風を読んで——」


「ちょっと、あたしの名前出さないでよ!」


 教室が騒がしい。レンは教壇から見渡して、苦笑した。


「はいはい、落ち着け。卒業試験の説明するから」


 子供たちが渋々席に着く。


「卒業試験の内容は、前に説明した通りだ。AIが意図的に間違った情報を出す。それを見抜けるかどうか。——だが、まずは準備として自由にAIを使ってみろ。一週間ぶりだろ」


 子供たちが嬉々としてAIに質問を始めた。


 最初は普通の質問だった。「今日の天気は?」「アルゴリズの人口は?」


 だが——子供というものは、自由を与えると予想外の方向に走る。


「おしりは何でできてるの?」


 一人の男の子が、にやにやしながらAIに聞いた。


 ——『臀部は主に大殿筋、中殿筋、小殿筋の三層構造で構成されており、その上を皮下脂肪と——』


「やだー!」


「きゃー!」


「筋肉!? おしりって筋肉だったの!?」


 教室が爆笑に包まれた。


「次! 次! 鼻くそは食べていいの?」


 ——『鼻腔粘液に含まれる免疫グロブリンは、実は——』


「うわあああ!」


「先生、AIが鼻くその栄養素教えてくれるんだけど!」


 レンは額を押さえた。


「やめろ。ログが汚れる」


「ログって何?」


「記録だ。お前らの変な質問が全部記録されてんだよ。後で俺が見るんだからやめてくれ」


「えー! じゃあもっとすごいの聞こう! カイル先生のおなかの中には何が——」


「俺の腹ん中は根性だ!」


 カイルが教室の後ろから叫んだ。子供たちが笑い転げる。


「グレンじいちゃんのヒゲの長さは?」


 ——『データが不足しています。実測を推奨します』


「AIにも測れないのー!?」


「わしの髭は計測不能なのだ。畏れよ」


 グレンが胸を張った。白い髭が揺れる。


 メイラが丸眼鏡の奥で笑いを堪えている。


「みんな、そろそろ真面目な質問も——」


「メイラ先生! メイラ先生の好きな人は誰ですか?」


 メイラが固まった。


「え——そ、それは——AIに聞いても——」


 ——『メイラの好意の対象に関するデータはプライバシー保護の観点から——』


「AIが教えてくれないー!」


「当たり前です!」


 メイラの顔が真っ赤になった。レンは全く気づいていない。


 エルナは教室の隅で腕を組んで、その光景を見ていた。


 ——そういうところ。


 だが——今度は、怒りではなかった。


 呆れが半分。諦めが半分。そして、ほんの少しだけ——可笑しかった。


 子供たちがAIをおもちゃにしている。三日前に魔物と戦った子供たちが、今は「おしりの成分」を聞いて笑い転げている。


 これが、日常だ。


 怖い夜があっても、笑える朝が来る。


「はい! あたしも質問!」


 フィオが手を挙げた。


「先生の授業が下手な理由を、AIに分析させていい?」


「ダメに決まってんだろ!」


「えー。でもデータに基づく改善提案って、先生が教えたことじゃん」


「お前な……使い方が間違ってる……」


 教室がまた爆笑に包まれた。


 レンが頭を掻いて、困った顔をしている。メイラがまだ赤い顔のまま笑いを堪えている。カイルが腹を抱えて笑っている。グレンが「若い者は元気じゃのう」と白髭を撫でている。


 エルナは——腕を解いた。


 小さく息をついて。


「ほら、おやつのパン配るから、一回座りなさい」


 子供たちが歓声を上げた。


「エルナ姉ちゃんのパンだ!」


「おかわりある?」


「一個ずつ! 取り合いしない!」


 パンを配るエルナの手を、レンが見ていた。


 包帯を巻く手と同じ手。パン生地を捏ねる手と同じ手。子供たちの頭を撫でる手。


「エルナ」


「何」


「お前さ——」


「何よ」


「……いや。パン、美味いな」


「知ってるし」


 エルナはそっぽを向いた。


 耳が——ほんの少しだけ、赤かった。


 カイルが教室の後ろで、腕を組んで頷いていた。


 ——まあ、こいつらはゆっくりでいいか。


 脳筋の戦士は、恋愛に関しては意外と達観していた。




 放課後。教室に残ったレンが、机に突っ伏していた。


「……ログが壊滅的に汚れた」


 AIの質問ログを確認していた。「おしりの成分」「鼻くその栄養素」「カイル先生の腹の中身」「グレンじいちゃんの髭の長さ」「メイラ先生の好きな人」。


「これ、卒業試験のデータに混ざったら最悪だな……」


「レンさん」


 メイラが教室のドアから顔を覗かせた。


「子供たちのログ、フィルタリングしましょうか。わたし、データ整理は——」


「いや、大丈夫。俺がやる。……っていうか、子供たちのログを整理するのも教育の一環だと思うことにする」


「前向きですね」


「前向きじゃなかったらやってられない」


 レンは椅子に背をもたれさせた。天井を見上げる。


「メイラ」


「はい」


「卒業試験、うまくいくかな」


「……子供たちは、自分で考える力を手に入れ始めています。あの夜が証明しました。大丈夫ですよ、レンさん」


「ああ。——そうだな」


 窓の外で、帰り道の子供たちの声が遠ざかっていく。フィオが誰かと言い争っている声。カイルが「走れー!」と叫ぶ声。グレンの「わしの時代は——」が途中で遮られる声。


 日常だ。


 AIがあっても、なくても。魔物が来ても、来なくても。


 子供たちは——自分で考えて、自分で笑って、自分で生きている。


 レンは立ち上がった。


「帰るか。——パン屋に寄ってから」


 メイラが小さく微笑んだ。


「エルナさんのパン屋ですね」


「ああ。差し入れの礼を言わないと」


「レンさん」


「ん?」


「……お礼だけじゃなくて、もう少しちゃんとお話しした方がいいと思いますよ。エルナさんと」


 レンが首を傾げた。


「ちゃんとって? いつもちゃんと話してるだろ」


 メイラは——少しだけ寂しそうに、少しだけ優しく、笑った。


「……そういうところですよ、レンさん」



最後まで読んでいただきありがとうございました。


第65話「そういうところ」。第5アーク「学ばない国」の第11話です。


タイトルの「そういうところ」は、エルナの台詞であり、最後にメイラが別の意味で繰り返す言葉です。レンの鈍感さを指す二人の女性の言葉が、立場は違えど同じ意味を持っている。書いていて一番好きな構造です。


前話のアクションから一転、今回は感情の回でした。緊張→感動→嫉妬→コメディ→ほんの少しの切なさ。この感情のジェットコースターが、Web小説の読み心地だと思っています。


カイルの「素直になれよ」は、脳筋のくせに核心を突く言葉です。難しいことはわからない。でも、人の気持ちだけはまっすぐに見える。カイルという男の一番いいところが出た場面だと思います。


そして「おしりの成分」。AIに変な質問をする子供たちは、書いていて一番楽しかったところです。三日前に魔物と戦った子供たちが、今は鼻くその栄養素で笑い転げている。人間ってそういうものだし、子供ってそういう生き物です。

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