第7話 堕天使は戦慄する
セラフィナに抱かれたまま、俺はカタカタカタと震え続けていた。
その笑みが、不気味に感じるからだ。
えっ、なぁに?どういうことぉ?
まだ怖いの終わってなかったのぉ?
「始祖さまと女神の使徒って…愛し合ってたの…?」
恐る恐る聞いてみると、セラフィナが答える。
「ううん、叩きのめして攫ったらしいわ~」
「ど、どうして…?」
「聖母さまはね、女神さまと容姿がそっくりだったのよ」
「……」
「それで、二人の最初の子が私だったの」
ええぇぇぇぇぇぇっ!?
セラフィナはちらりと大宮殿へ視線を向ける。
「私たち、しばらくはね、あの宮殿の中で始祖さまと聖母さまと暮らしてたわ」
「そ、そうなんだ…?」
「始祖さまは、ずーっと愛を叫んで、交わってたわね」
ヒュッッッ……
「そ、そ、それで聖母さまは?」
「泣き叫んでたわね、血の涙を流しながら」
さらっと言うんじゃない!
「聖母さまは眠りにつくまでに、十六人の子を産んだの」
「じゅ、十六……」
はぁああああぁぁぁ……
「聖母さまは、死んじゃったの……?」
「ううん、死んでも生き返らされたわ。心が壊れて眠りについたの」
し……死んでもぉ……、生き返らせてぇ……?
地獄のあらすじなんですけどぉ……!?
「堕天使の感情が薄いのは、聖母さまの“呪い”みたいなものよ」
「えっ」
「最初に産まれたから、わたしは少し感情が残ってるの。まだ聖母さまに心が残ってたからね」
「そ、そうだったの…」
「産まれてくる子はね、聖母さまの心の崩壊に合わせて、どんどん感情を失っていったわ」
な、なんていうか……。
やばい。やばすぎる。
そんな邪神に、俺さっき抱き寄せられたの?
ちょっと待って?
俺、狙われたの!?なんで!?どこが!?
全身が震え、歯がカチカチ鳴る。
もうやだあああああぁぁぁ!!!




