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堕天使ちゃんは逃げ惑う  作者: 霞灯里
第2章 カリオン王国

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第40話 交易都市フィオルの英雄

領主レオンは熱く語り始めた。


「クロウリー商会が闇ギルド“黒冠(ブラッククラウン)”と結託し、大量の偽金貨を国中に流通させていた件――」


……んっ?


「貴女は街に持ち込まれた偽金貨に気付き、単独でそれを押収。更に違法な借金を背負わされた友人を救うため、借金を偽金貨で帳消しにすると同時にクロウリー商会へ送り返す事で、連中を大胆に挑発した」


……んんっ??


「う~ん?……もう一回言って?」

「貴女は街に持ち込まれた偽金貨に気付き、単独でそれを押収。更に違法な借金を背負わされた友人を救うため、借金を偽金貨で帳消しにすると同時にクロウリー商会へ送り返す事で、連中を大胆に挑発した」


……えっ??

……に、に、偽金貨ァ……!!?


なんかヤバそうな単語が聞こえたぞ!マジかよ、やべぇもん掴ませやがったな、あの豚野郎!街中で沢山使っちゃったぞ!


体中から冷や汗がタラタラと流れる。ああこれ、処されるぅ?許されなぁい?……まぁ逃げるけどぉ!


「偽金貨が露見し混乱と憤怒に陥ったクロウリー商会の眼前にて――貴女は商店街の中で堂々と偽金貨を使い更に奴らを煽った。そして焦った連中は下策を取り貴女を捕えるため大きく動いてしまった」


……んんっ?おおっ??


なんか良い方向に勘違いしてなぁい?そんな高度な作戦してませんけどぉ?


レオンは興奮するように身を乗り出した。


「――ここからが貴女の真骨頂だ。襲撃してきたクロウリー商会の二十名もの構成員を、白昼堂々と人目のある街中で返り討ちにし、しかも素手で無力化。更には”黒冠(ブラッククラウン)”の暗殺者三名までも即座に返り討ちにし、そして追い詰められ毒で自害を図った三名を解毒、制止すると生け捕りにした」


……えー?


ちょっと待って、なんか英雄譚ぽくなってなぁい?


「結果として瞬く間にこの話は街中に伝わり、クロウリー商会の悪事は暴挙と共に白日の下に晒され、更にはあの闇ギルド“黒冠(ブラッククラウン)”との結託も、一気に炙り出された」


そこで一拍置き、レオンは静かに、しかし強く言い切った。


「貴女の判断と行動が、この街と、国を救ったのです」

「そっ、そうね、そうかもねっ」


冷や汗を搔きながら泳ぐ目で素っ気なく答えると、領主に熱を帯びた瞳で見つめられた。


室内が、しんと静まり返る。


「――エリュシェル殿、貴女は無償で市井の民を守り、悪を討ち、なお驕らぬ……まさに、理想の英雄だ」


彼は立ち上がり、胸に手を当てて、騎士としての最敬礼を深く捧げた。


「貴方はとても美しく、まるで女神様のようだ。そして、その行いは勇気と誇りに満ちている。私は……貴女を、心の底から尊敬し感謝致します」


取り巻きたちも一斉に深く頭を下げた。


な、なにこれぇ……?でも……悪くない!全く身に覚えないけど、ちょっと気分がいいじゃない!?


「大活躍じゃったのう!エリュちゃん!!」


最後にギルマスが大きな拍手をすると、その場に大きな拍手の音が鳴り響いた。私は戸惑いつつも、胸を張ると「フフッ」と得意げに笑ってやった。


言ってることさっぱり分からないけど、結果オーライよね!そう思っとくことにした。




どうやら領主一同は、街の人達や捕らえたゴロツキ共から事情聴取をしたっぽい。感極まった様子でさらに語り続ける領主を横目に、うんざりしながら心の中で呟いた。


男に口説かれてもぉ……、帰ってもいいでしょうかぁ……?


「押収した偽金貨を見せて頂けないでしょうか?」


そう思ってた時、領主に言われた。


この金貨は使えねーゴミだと分かったので、ちょろまかしていた黒箱をまるごと一つ、空間収納(マジックストレージ)から取り出した。


「マ、空間収納(マジックストレージ)!?」


一斉に上がるどよめき。あれ?珍しいのかな?


ドスンと、重たい音を立てて黒箱がテーブルの上に置かれた。その表面には、金色に輝く王冠の紋章――いやでも目を引く、あからさまに胡散臭い意匠が施されていた。


「……こ、これは間違いない!」


領主は箱を開き中身を確認した瞬間、喉を鳴らしてゴクリと唾を飲み込んだ。


「同じ黒箱が、あと四個あるわ。偽金貨は全部あなたに献上する――ちょっと使っちゃったけど。それと、あの屋敷には最低でも黒箱が五十個程度はあると思うわよ」


その言葉に、領主は感極まったように顔を上げ再び深々と頭を下げると、息つく暇もなく感謝と称賛の言葉を浴びせてきた。


……男にぃ、そんなにぃ、褒められてもぉ……、ほんとうにぃ、そろそろ帰らせてぇ?




そんなやり取りが続いていた、その時。詰め所の外がにわかに騒がしくなり、切羽詰まった大きな声が響いてきた。


「エリュシェルさん! エリュシェルさんは居るかい!?」


……!!?


聞き覚えのある声に、はっとする。これは――ミィちゃんのお母さん!


私は即座に立ち上がり、取り巻きを押しのけるようにして応接室を飛び出すと、そのまま詰め所の入口へと駆け出した。

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