第18話 堕天使は人間の国へと降り立つ
女神によると、人間の世界にはざっくり五種類の種族がいるらしい。
一番人口の多いヒューマン、プライドが高い森の国のエルフ、物造りに長けたドワーフ、様々な獣人が混在するフェリオン、そして竜の末裔リュクシアン。
五種族はそれぞれの土地や大陸を持っているみたい。五種族間で大きな争いはないようで、人の行き来は多く基本的に仲良く交流しているらしい。
意外と平和なのね~。
けど、それぞれの種族内の国々や一族同士で、権力争い、小競り合いや戦争もあるとか。
それと不穏な話も聞いた。どうやら天界の神々と敵対する、魔界の”悪魔”という者達がいるらしい。天界と魔界はずーっと争ってるそうだ。時々ちょっかい出してくるみたい。
《無いとは思うけど、もし悪魔とそれに与する者に出くわしたら倒してね》と言われた。弱かったら倒すかも~?
「エルフがいい!エルフの国に案内しろ!」と散々ごねたけど、女神にダメだと反対された。まずは一般常識を学ぶ為にも、一番無難にヒューマンの国に行けと薦められてしまった。解せぬ。
ヒューマンの大陸にはいくつか国があるようで、その中でも力を持つ大国は三つ。女神の提案で、距離的にも一番近い「カリオン王国」へ向かうことにした。
三つの大国の中では小さいみたいだけど、平原や牧場が多くて農業が盛んな、牧歌的で平和なお国柄だとか。冒険の入り口としては悪くないねぇ。
さらに女神は、冒険者ギルドでライセンスを作るように言ってた。元々行くつもりだったけど。冒険者ギルドと商人ギルドは人間世界を股にかけた組織で、ライセンスはどこに行っても使えて、身分証明書代わりになって便利みたい。諸々の手当や支援もあるんだとか。
そのほか一通り話を終えると、女神は《じゃあ、何かあれば呼んでちょうだい》と言い残し、どこかへと去ってしまった。お~い、保護者ぁ~?
――――そして。
翼をはためかせ空から見下ろすのは、カリオン王国の中央付近にある都市「フィオル」。
平原と牧草地に囲まれた大きな交易都市で、市場や冒険者ギルド、商人ギルドもちゃんとある、栄えた都みたい。ここからでも多くの人の往来が見える。
私は顔の斜め下から上まで、サラサラの長い髪をかきあげる。胸の前で腕をクロスし、片足を横にピンっと伸ばすと右手の人差し指で天を指し、劇的ポーズをビシッと決めた!
ここから私の冒険譚は始まっちゃうのよぉ!!
私は身も心も乙女になるのぉ。
もう二度と「俺」だなんて言いませんからねぇ!
そのあたり、お分かりかしらぁ?
オォーーホッホッホッ!
「さぁ、私が行きますわよぉ!!」
たいそう上機嫌で見下ろす視線の先は、その都市よりも光衣の胸当てに覆われた、全くもってけしからん真っ白でたわわな大きな果実と、その谷間のほうに目がいった。
「…………エッロッ」
周りを見渡すと、都市から少し離れたところに大きな森があった。
「……………………」
私は無言で、その森へと向かった。
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