表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕天使ちゃんは逃げ惑う  作者: 霞灯里
第1章 神都ニフル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/43

第17話 深淵の光



沈む――――沈む――――沈む――――……



どこまでも……




底の見えない深海へ、深淵へ、ただただ沈んでいく。


封印の水晶と鎖は、邪神ルシフェルの身体を硬く縛りつけていた。


光の刃が貫いた胸は裂け、肌は業火に灼かれ、血が溶け出す。業火はなお残った翼に降り注ぎ、かつて天を染めた四枚の翼は黒く焦げ、破れ、ちぎれ落ちていく。


満身創痍。深海へ引きずられながら、彼は指すら動かすことさえできない。


――それでも。


全ての絶望を煮詰めたような淀みは消え、瞳は星空のように輝き美しく澄んでいた。その金色は今なお力強く、暗い海の底でなお燃えるように、切れ長の眼がひとりを映していた。


「ああっ、エリュシェル……!」


かすれた声が泡となって消える。封印も痛みも、大罪の重みすら貫いて、ただ一つの名を呼んでいた。


彼は大罪を犯した。決して許されない大罪。今なお存在しているのは、裁ける者がいないが故だ。






――――だがしかし、あえて語るならば。




エリュシェルも、女神も、天界の神々も、彼を誤解した。


彼はとうの昔に女神への愛など忘れている。


彼の心は、ただひとつ。

永遠の愛は、“聖母”――その一人の人間の少女だけに、全てが捧げられている。


あの日。

宮殿を出て、外の世界の光を久しぶりに受けた時。エリュシェル――愛する人と瓜二つの容姿をもつ、堕天使に出会ったとき。


何の因果か、二人目の”女神の使徒”も、再び彼に奇跡を起こした。



《あぁ……我が子だ、我が娘だ!》



聖母が眠ってから、ひび割れて白黒であった世界に、色が戻った。一気に花が咲くように、色鮮やかな世界が目の前に広がった。全ての堕天使たちが、宝石のように尊い存在へと変わった。


我が子。我が娘。我が家族たち。


愛する人との子供達。


大罪は消えない、赦されない――だが、それでも護らねばならない存在。


そう、彼は理解した。








これは――。

百合の花園と異世界を夢見る性格破綻したおっさん堕天使が、そんなの知るかと運命から逃げ惑う物語。


または――。

自己愛と保身にまみれた女神が、厄介者の己の使徒を、どうにか運命の輪に組み込み盾にしようと画策する物語。


あるいは――。

自らが犯した大罪を背負いし赦しを請う神が、それでもと、家出した娘の信用を得ようと命懸けで奮闘する物語。




一つでも厄介なこれらの物語は、どこまでも拗れ、奇妙に混じり合い、全てを巻き込み混沌の奈落へ叩き落す。


つまるところは、これは、そういう物語なのだ。


パンドラの箱は、開いてしまった。

どう決着するかは、神ですら解らない。





みんな逃げてぇ?







第一章 完


数多の物語の中から、「堕天使ちゃんは逃げ惑う」、をお読み下さり、ありがとうございます。


ストーリーは先まで考えてはいるのですが、ちょうど切りの良い所ですので、ここで充電を兼ねて一旦筆を置かせて頂きます。再開時期は未定ですが、皆様の応援を励みに、考えさせて頂こうと思います。


もしこの物語をお気に召して頂ければ、評価、F/Bの方、是非よろしくお願いします!


霞灯里

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ