第14話 女神は語る
女神アリエステルいわく──
先代の使徒で失敗した反省から、今代の俺は加護を限界まで強化し、三種の神器も鍛え抜いたらしい。そこに、俺が持つ“邪神”と“先代使徒”の血──特に邪神の莫大な力が噛み合い、結果、想定外の相乗効果で星を裂くほどの一撃になってしまったのだという。
しょうがないよね?星裂けても。
討てって言われたんだもん。ぼくのせいじゃないもん。
《あなたは誤解しています。先代もあなたも、生贄などではありません》
「え~、うさんくさ~い」
《……真面目に聞いていますか?》
「聞いてます~」
《先代は、まさかあのようなことになるとは思わず……申し訳ないことをしました》
「ほんとうにぃ?そう思ってるぅ?」
《本当に思っています、反省しかしてないの!》
「へぇ〜?」
《あの邪神を滅ぼすためだけに、女神の使徒の加護を与えていたのです》
「なんで俺を使徒にしたの?ほっといたら永遠に宮殿から出てこなかったでしょ」
《あなたは部屋にゴキブリがわいても、無視して放置できますか?》
「無理でぇ~す、滅っしま~す」
《そういうことです》
「すごいな、お前」
一瞬で納得させられたわ。
《だいたい、あなたが宮殿の柱であんな破廉恥な真似をしたから、出てきたんですよ》
「ぼくのせいでした~」
《使徒の素体は邪神と先代使徒の血を引く、堕天使一族から選びました》
「ふーん」
《しかし心が壊れていたので、魂を入れる必要がありました》
「ほーん」
《そして、邪神に対抗するには強靭な精神力が必要。そこで選んだ魂が……あなた》
「なるほどぉ」
《本来ならば事前にあなたと交信し、時間をかけて綿密に準備を始める予定でした》
「その前に宮殿の柱と綿密な関係に、なっちゃったんですねぇ~?」
《加護は体にも魂にも在り方が影響し、元になった私に容姿が似るのです》
「へぇ〜、私ってぇ、やっぱりぃ、女神にぃ、そっくりなのねぇ?」
ニヤニヤしながら、俺は自分の胸や体を揉み弄った。
《あっ、あなたっ!本っ当に性格が最低ねっ!?最ッ悪だわっ!》
「俺を転生させたやつが悪い!」
そんな感じに女神とぎゃあぎゃあ騒いでる間に、どうにかこうにか星は治っていった。光の大河のようなエネルギーが天界から降り注ぎ、それが地上の空でゆらりと揺れながら星を逆再生させていく。
海は津波を巻き戻し、大地はひび割れを吸い込み、空気は澄み渡り、空の裂け目は天界の力で自動的に縫合されていく。まるで、見えない神の職人集団が空の向こうでドタバタ働いているようだ。神都ニフルも、人間世界も、被害は最小限で済んだみたい。
こうして世界に、永遠の平和がもたらされたのだ。
ふふふ、勇者エリュシェルのお・か・げっ♡
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