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堕天使ちゃんは逃げ惑う  作者: 霞灯里
第1章 神都ニフル

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第12話 乙女の怒り

その声音はあまりに静謐で、あまりに神秘的で、

まるで光そのものが囁いたかのようだった。


《……あなたに、力を授けましょう》

「お前ぇ……俺たちをこんな目に合わせやがって!絶対に許さんからな!」


すると飛んでいる空より、さらにその遥か上。

星々すら霞む高天から、オーロラの帳がしずしずと垂れ落ちるように柔らかく、

眩いほどに輝きキラキラと降り注いだ。


やがてそれは一本の――いや、天へと帰る魂の道のような、

限りなく長い光の大路となって俺の前へ伸びる。


俺はオーロラの光の道を翔ける。

すると――天蓋の裂け目から、三柱の強烈な光が降り注いだ。


一つは、聖なる片手剣。

一つは、聖なる大盾。

一つは、聖なる鎧衣。


三つの神器は俺を見定めるようにしばらく宙に漂い、

やがて互いの輝きを絡め合いながら螺旋を描いて飛んできた。


光が爆ぜる。


右手に聖剣が、左手に聖盾が、身体には聖鎧衣が――

まるで光を着せられるように装着された。


聖剣(せいけん)星涙(せいるい)ルクスティア》

聖盾(せいじゅん)暁輪(ぎょうりん)アウロラリス》

聖鎧(せいがい)光衣(こうい)クラルエル》

《三つの神器です》


胸の上の中心――そこへ光が差し込み、眩い刻印が輝く。


《そして、あなた自身に刻まれた――“女神の加護”》


《今、あなたの力は、格段に上昇しました》

《それらすべてをもって、邪神を討つのです》


文句も泣き言も愚痴も、言いたいことは山ほどある。

だが今は……邪神がそこまで来ている。


本当に、アレと戦うの?

怖い。怖いに決まってる。

それでも――俺はこの運命から絶対に逃げきるんだ!




光り輝く聖剣を抜いた。

刀身は細く長く、揺らめく星雲のような光を内部から放つ。

聖なる盾の縁に環状の光が廻り、オーロラが揺れる星環のように輝く。

聖なる薄衣が淡く光を放ち、風に流れ星屑のように煌めいた。



夜空にかざし、祈るように、星光を映した瞳で静かに天を仰ぐ。

薄衣から光が星屑のように散り、剣がひとすじの光を描く。



堕天使は、舞い、謳う。



弧を描き――跳ね上がり――回転しながら光の輪を幾重にも刻む。

まるで夜空そのものを裁ち割り、そこへ新しい星座を描き直すかのような、剣舞――



「星のいのち――呼び醒ませ――闇を裂きて――天は開く――

わが剣よ――星の涙を抱き――いま――黎明を刻め――」



ゴォーン ゴォーン ゴォーン ゴォーン――。

リィイン リィイン リィイン リィイン――。



全身から、神力と魔力が泉のように溢れ上がる。



ポロォ―ン ポロォ―ン ポロォ――ン――。

ホォオ―ン ホォオ―ン ホォオ――ン――。

ラァー ララァ ラァーラララン ラァー ララァ ラァーラララン――。



どこからともなく鐘の音が、鈴の音が、ハープの音が、ラッパの音が。

遠い天使の讃歌が重なり合って響き渡る。



《……ね、ねぇ?》



堕天使は陶酔し、狂おしいほどに、美しく舞い、謳い続ける。



「星よ還れ――始まりの空へ――わたしは歌う―

終わりと――始まりのこえ――夜を渡れ――光の翼よ――

世界を照らす――ひとすじの――煌めきとなれ――」



剣は軌跡に星を散らし、舞いは神気を振り撒き、歌は大気を震わせていく。

神聖で、狂気的で、そして何より美しい――堕天使の聖なる剣舞。



――それは世界に響き渡る、終焉の讃美歌。



そして俺は迫る邪神をにらみつけ、極限まで高めきった力を、

上段に構えた聖剣へと収束させる。


《ちょ、ちょっと待っ――》

焦る女神の声が聞こえた気がする。


これは、神の裁き。

これは、今代勇者の全身全霊の一撃。

これは、全てを賭けた乙女の怒り。


宙に光が星座をなぞるように走り、夜を昼に変えた。




「邪神よ、塵と成れ。――――星裂天翔(スターレンドスカイ)!」

聖剣を振り下ろした。




世界を滅し得るほどの光の奔流が、邪神めがけて一直線に解き放たれた――――

この物語を読んで頂き有難うございます。

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