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3 彼女を知る

俺はミドリと言う黒髪の犬耳少女に出会った。


ミドリという名前なのにどこにも緑要素がないが。


彼女はとても不思議だ。初めて会ったはずなのに前にどこかで会った気がする。


「なぁ、ミドリ。俺たちどこかで会ったことある?」


「そんなはずないですよ。私ずっと一人孤独に森の中で生きてきたので…」


どうやって彼女は森の中で生きてきたんだ?獣が勝手に肉になると言っていたが何年森の中で過ごしてきたんだ?彼女は一人どうやって過ごしてきたのか?


「家族はどうしたんだ?」


「家族?家族は誰のことですか?あなたが家族なんですか?」


なんで彼女は家族という存在を知らない?この子は教養を知らないというのか?この子小さい頃から一人なのか?だとしたらどうして言葉が話せるんだ?


何故だろう彼女からは疑問しか思いつかない。彼女の存在が謎だ。


「家族っていうのは一緒に暮らしたり過ごしたりする人たちのこと。助け合い、支え合う集団組織。」


「家族…家族いました。私が小さい頃育ててくれた人。……そういや、家族が初めてあった人に神創期1147と伝えてと言っていました。」


「神創期1147?なんだそれ、暗号?」


「いえ、私の誕生日です。絶対の絶対覚えていて下さいね。これを伝えておかないと私が死ぬと家族が言っていました。最大のピンチです。」


ミドリの誕生日を覚えておかないと死ぬ?どう言うことだ?どんなカラクリだ?


っていうか、俺に彼女を救う力は今あるんだろうか?


「わかった。絶対の絶対覚えておく。それは置いておいて、今は神創期何年なんだ?」


「わかんない」


キッパリと彼女は答える。とても大切なことでしょ今が何年か数えること。そっか…ミドリ教養なかったんだ…教養を教えないとな…そもそも一年は何日だ?俺も知らねー


太陽が天高く登っていたのが少し傾き出した。


早く森を出ないと夜になってしまう。明かりを持っていないのでなんとかしないと。


持っていないと思うけど、一応ミドリに明かりになる物を持っているか聞いてみる。


「明かり持っている?」


「明かりは家族ですか?私の家族はすでにいないので持っていませんね。」


知ってた。だろうと思った。彼女はぶっちゃけ教養がないバカだもん。もしかすると、知識があったら案外頭良かったり。


しかし、夜暗い中どうしてたんだ?暗くなったら寝て、明るくなったら起きる生活を送っていたんだろうか?彼女の小さい頃の思い出とか聞いてみるか。


「そういやミドリ、家族はどうしたんだ?」


死んでしまったのか?とは流石に言えない。だが、ミドリの心にズカズカと入るような質問を突然したことに後悔した。


もう少し仲が良くなってからプライベートのことを聞くものだよな。普通は。それで…


「小さい頃に突然いなくなりました…死んでいないと私は思います。家族がいなくなる前は家族が獣を狩っていたんですが、家族がいなくなるといつの間にか獣が肉の塊になる力を手に入れていました…もう一度私は家族に会って私を育てて下さった恩返しをしたいんです。家族が私を救って下さりました。なので今度は私が一生をかけて家族のおそばで暮らしたいです。なので家族が見つかるまで私をそばに置かせて下さい。」


元気揚々と答える。よかった。家族が死んでいなくて。嫌われなくて。女の子は繊細なんだから。それにしても家族はどこにいるんだろうか?


可愛い彼女を拾って育てていたはずなのに、突然育児放棄をするだと言語道断。見つけたらそいつの顔面を一発殴ってやる。彼女を捨てたことを後悔させてやる。


「じゃあ、俺が家族だと思って恩返ししてくれ」


まぁ、見つかるまでミドリの面倒を見るとするか。


近くで葉が擦れる音がした。


驚いたので音がした方を向く。剣を鞘から抜こうとするが剣がなかった。


「あっ…剣はまだ地面に刺さったままだった。」


ミドリと話していたことで殺した狼の存在を忘れていた。そして狼を殺すために投げた剣の存在も忘れていた。


どうすることもできないので拳で戦おうとするため、ファイティングポーズをとる。さっきの狼の仲間が襲ってくるかと思うと緊張する。


「さぁ、何がくるか分からんが何が来ようが拳で殺してやる。俺を殺そうとしたことを後悔させてやる!」


元気満々に答えたがいくら経ってもでてこなかった。


「心配しただけ損した。」


小さくため息をつく。だが、何もこなくて安心した。


「いえいえ、そんな心配しなくていいんですよ。私の後ろで指を咥えているだけでいいんです。拳を構える必要もないんですよ。忘れていませんか、私の力。私の力は獣殺しなんですよ…これで、恩返しは済みましたか?」


「え?まぁ、その、あなたの力が本当にあるならば狼に襲われそうになって逃げる必要がなかったんじゃないの?」


疑問と呆れと驚きが混じった声で答える。彼女の顔が藪から棒に赤くなり当分の間口をきかなくなってしまった。


いくら経ってもやってこないので急いで剣を取りに走って剣を回収し、音がした方へ走った。話を聞いてくれなくなった彼女をおいて。


だが音がした方へ行っても肉は落ちていなかった。だから、彼女の力は嘘だ。あんな力あるはずない。


もしくは彼女の力は本当で、狼は本当にいたが俺の存在にに恐れてどっかに行ったってことだ。ぐはははは。


まぁ、ミドリの力が本当かどうかわからないがミドリに肉がないと伝えておこう。ミドリはさぞ悔しがるぞ。


「おーい!ミドリ、肉落ちてなかったぞ?」


「……」


ミドリの顔の前で手を左右に動かす。反応なし。そっぽ向かれた。まだ根に持っているようだ。


「そうそう、ミドリ。狼かどうかわからないが足跡あったぞ。俺と同じ大きさの足跡が。多分人間だと思う。もしかすると家族がずっと近くで見守っていたのかもしれないな。俺がくるまで。」





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