2 運命の人に会う
叫び声が聞こえたので、急いで向かった。
そこには、白い服を着た15,6歳ぐらいの女の子が木を背にして後退りをしている。彼女の服は所々薄汚れている。逃げ回っていたが、とうとう追い詰められてしまったのだろう。
彼女と同等の大きさをしている狼みたいな生き物が一匹彼女の目の前にいる。狼は今にも襲いかかろうとガウガウと吠えている。
狼との距離が遠くここからの距離からでは間に合わず彼女を守ることができない。
だからといって彼女を見捨てるといった選択肢はない。
「どうすれば、この状況を打破できる?」
頭を回す。今まで以上に回す。ふと、右手を見て思いつく。
「剣を投げる!これしかない!」
これ以上の良案を考える時間がない。行動するが吉。
初めて手に入れた剣を投げるために使うのはどうかと思うが、致し方ない。己を信じ全身全霊で狼に向けて投げる。
「いけぇーーー!貫けぇー!」
剣は勢いをまして空気を切り裂く音を出しながら直線に進み、狼の脳天を貫く。剣の勢いは衰えずついでに地面を抉る。
目の前にいた女の子は一瞬の出来事すぎて理解することができなかった。
一連の出来事を終え、彼女の所に駆け寄る。
彼女をよく見ると黒目黒髪の普通の女の子だ。しかし、彼女には犬の耳があり、尻尾があった。
「助けてくれてありがとう。あなた、私と同じ黒髪だね」
突然お礼を言われ困惑したが、一つ疑問を持ち彼女に質問をする。
「どうして、この森にいるの?」
「私はここしか知らない。小さい頃からずっとここで生きてきた。今までは私の近くに獣が表れてもいつの間にか死んでいたの。だから今日も獣は肉を運んできてくれると思っていたのに…だけど!、今日は何故か一匹だけ肉にならなかったの!」
「そ、そうっすかー」
かなり危険な思想をお持ちのようだ。だけど、彼女の容姿、言動に俺はとても懐かしさを感じ心が惹かれる。
「そうよ、私のよく分からない力すごいでしょ」
彼女はとても気分がよさそうだ。さっきまで狼に殺されそうになっていたのに。なんだ?この上機嫌っぷりは。
「そういや君の名前は?」
彼女の名前をまだ聞いていなかったので聞いてみる。
とても考えているみたい。名前わからないのかな?
「……そう!私の名前はミドリ、ミドリよ。そういうあなたこそ名前は何よ?」
盲点だった。自分の名前がわからない。なんて答えればよい?せっかくならカッコよく、クールな名がいいなと考えていると
「我の名はシヴァ」
という声が頭に力強く響く。
「お前の名はなんだ」
と頭の中で力強く叫んでも、
「我の名はシヴァ」
と同じ言葉が返ってきた。シヴァという名前はカッコイイと思った。厨二心がくすぐられる。この名前にしよう。
「俺の名はシヴァ!」
と目に手を当ててカッコよく言ってみたものの冷たい視線が返ってきた。第一印象が大切と思ったのに、つらい…
結局頭の中に響いた声はなんだったんだ?




