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1 森林に現る

俺は、今までの記憶をなくしてしまった。しかし、過去を忘れてしまっても生きていける。過去を思い出すより、今を生きることが大切

 目が覚めると、見慣れぬ所にいた。


 そこは、みどり溢れた森の中に少し広い野原一面に白い花と黄色い花が咲き誇っていた。野原の中央には神木と言っても過言ではないぐらい大きな木が聳え立っていた。その神木の隣に一人ポツンと横に倒れていた。


風の囁き、鳥の鳴き声が心地よく聞こえる。長い時間眠っていたかのような頭痛をひどく感じる。頭はぼんやりするが、俺はなぜここにいるのか熟考する。

考える、考える。数分考える。ここまでの経緯を思い出そうとする。


しかし、とても大切なことがあった気がするが、記憶に靄がかかったように思い出すことができない。どうすることもできないので、現状を把握するために周りを眺める。


「一体、ここはどこなんだ?」


久々の光を目にしたように、世界が眩しく見える。少しずつ目が慣れていき辺りを見渡すと、広い花畑が太陽の光によって光輝いている。神木のような木の根本部分には一本の剣が柄を上にして突き刺さっていた。


その剣の刃は白銀のような光沢をし、とても鋭そうな見た目をしている。刃長は大体80センチぐらいのブロードソードだと思う。長い間放置されていたのか刃の半分ぐらいは草のツルに絡まっている。


剣の隣には親切に鞘が置いてあった。ピッタリ入るのだろうが、古くなっているのかところどころ穴が空いている。


俺はその剣に惹かれて、絡まっているツルを千切り両手で剣を持つ。ずっしりとした重みを両手に感じ、剣を振り回す。自分の手にとても馴染んでいる気がする。


5分ぐらい興奮しながら剣を振り回していた。剣を振り回していたせいか剣の振り方が少しわかった気がした。疲れたので、花の上に倒れ込む。太陽の光が目に入り眩しい。久々に体を動かしたことにより全身に少し痛みを感じる。


左手に違和感を感じたので左手を見ると、左手の薬指に指輪がピッタリと嵌っていた。その指輪は白と黒の螺旋を描き絡まっている。汚れているのかと思い、綺麗にするため外そうとするが外れない。黒い部分を服で拭いてみるが汚れは落ちない。


俺は体の大きさからしてたぶん18歳。いや、19かもしれない。おそらくそのぐらいの年だろう…だから成長期真っ只中だと思う。もう成長期は過ぎたのか?しかし指輪が外れないとなるといずれ指が太くなり、指先に血が通わなくなり、俺の薬指が窮屈して死んでしまう。大ピンチ。


最悪の場合薬指を切り落とせばいいだろう。薬指の一本ぐらい安い。左手がなくなるわけではない。だから薬指だけで済むだけマシだ。うん、そうだよマシだよ。


だけど、本当の本当に指は落としたくない。


怖い、とても怖い。


だけど一つだけ助かる方法がある。それは…体が成長しないことだ。体が成長しなければ指は太くならない。つまり切り落とさなくて済む。全人類は大人になるまでは成長したいと願っているだろう。だが、俺は違う。命と心の精神に関わる。本当に成長したくない。


「誰か頼むぅぅ」


と心の奥底から全身全霊で叫ぶ。


自分の声が木魂して虚広がる。


自分の声で花が揺れた気がした。多分ちょうど良いタイミングで風が吹いたんだろう。


剣に意識がいっていたので気づかなかったが、石板が倒れていた。なんだろうと思い、持ち上げてみると、とても古かったのか砕けてしまった。太陽の光により風化していたのだろう。


大小さまざまな石礫を眺めていると、歪な「ニ」という文字を見つけた。ただ、とても大切なことが書いてあったと思い、軽率な考えで手に持ったことを後悔した。


いつまでもここにいてはいけないと思い、木に別れを告げて右手には拾った剣、左手には謎に包まれた指輪が嵌まったまま、森の方に向かって歩いた。


森の中はさっきの場所と違い薄暗かった。

さっきの場所は太陽を燦々と浴びれたが、ここは木漏れ日程度だ。


「明るいうちに開けたところに行き、ここはどこなのか知りたい!欲を言えば人に会いたい!」


歩くだけでは退屈だったので、拾い物の剣を振り回していた。一喜一憂で剣術は上達しないと思うが、上達している感覚を感じる。剣の達人から教わったほうが良いだろう。または剣の達人の振り方を見様見真似して体の動かし方を真似したほうが上達するだろうが、興奮状態による錯覚で上達していると感じてしまう。


「俺、剣の才能あるのか?」


どのくらい歩いていたか分からない。しかし、遠くから


「キャーーーー」


という悲鳴が響いてきたので声がした方へ急いで向かった。








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