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従妹謀略

 私、大学三年生の金子真優かねこまゆは、四歳年下のいとこの金子ひなたから恋愛相談を受けていた。

 なんでもカテキョがとにかく超かっこよくて、私の処女は絶対淳史あつし先生にもらってもらおうと思って、あの手この手で誘惑をしているのだが、全然相手にしてもらえないのだとか。


「私、処女だから、その辺の手練手管がよくわかんないんだよね。その点、真優まゆちゃんは百戦錬磨の淫乱女でしょ」


 年下のくせにとんでもなく失礼な言い草だが、まあ、当たらずとも遠からず、経験した男の数は足の指まで使わないと数えきれないし、セフレは二股はあっても切れたことはない。


「真優ちゃんならきっと淳史先生を落とせるよ。真優ちゃんのテクで骨抜きにして、そしたら私に回してよ」


 全く処女のJKとは思えない提案だが、私もかっこいい男には目がない。本当にひなたの言う通りの男なら、私のレパートリーに加えてもよいかなと、とにかくその淳史先生とやらとの出会いの場を設定してもらうことにした。


 ひなちゃんが今週末に彼のバレーの試合の応援に行くというので、それに同行することにした。

 

 初めて見るバレーの試合は、国立大学レベルとはいえ、かなりの迫力だった。


 試合はいよいよ大詰め、マッチポイント。

 大きな放物線を描いてボールがお目当ての彼の元へ。ダンッと床を蹴り、彼が宙に舞った。身体を鞭のようにしならせて強く叩かれたボールは、相手ブロックの手をはじき大きくコートの後方に跳ねた。

 追いすがる相手チームの選手の頭上を越えたボールが床に弾み、ゲームセットの笛が鳴る。 試合を決めるスパイクを打った彼がその拳を突き上げると、彼を中心にコートの中に歓喜の輪ができた。

 

 私は観客席で狂喜するひなちゃんと何度もハイタッチをした。

 かっこいい、確かにかっこいい。

 私の頭の中の雌の本能が、彼に抱かれたいと身もだえした。


 試合が終わった体育館で彼を出待ちした。ミーティングが終わって出てきた彼にひなちゃんが飛びつく。チームメートに冷やかされる彼。

 ひなちゃんは、彼に私を紹介すると、「なんか食べていこうよ」と、駅前のファーストフード店に彼を誘った。


 白を基調にしたノースリーブの花柄ワンピースにレモンイエローのカーディガンという清楚なコーデでまとめた私は、とりあえず爪を隠し、猫をかぶって聞き役に回った。

 やがて話題が彼の二十歳の誕生日に及んだ時、私はここぞと勝負をかけた。


「私は1歳年上なので、よくお友達と飲みに行ったりするんですよ。淳史さんの二十歳のお祝いにお酒を飲みに行きませんか。今日はとても感動させてもらったので、お礼にお祝いの乾杯をさせてください」


 彼の承諾の返事に、私たち二人はテーブルの下で彼に気づかれないよう小さくガッツポーズをした。


 ひなちゃんは三人で行くつもりだったみたいだけど、未成年だし、足手まといなので、悪いようにしないから私に任せなさいと説得した。

 

「一回で決めてやる」

 私はそう思っていた、この時点では。



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