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前途洋々

 真優の言った通り、翌日、ベッドの中で、筋金入りの俺のストーカー、山上美和は、こともなげに俺に告げた。

「今日、会社に辞表を出してきた」


「そ、そう、それで、どうするつもりなの?」


「米国に留学することにした」

 米国のどこに、は聞くまでもないだろう。


「遥さんが帰国子女で、向こうの学校を出ているから、いろいろと相談に乗ってもらっているんだよ」

 こっちもすっかり裏でつながっているということか。


「幸い、就職してからずっとシェアハウス住まいで、私、家賃とか払ってなかったから、これでも結構貯金あるんだよ。だから二年くらい、向こうで勉強しなおすのもいいかなと思って。あ、でも、なるべく生活費は抑えたいから、同居はさせてよね」


 やれやれ、結局、高田馬場からロサンゼルスにシェアハウスごと引越しするだけってことか。


 いくら他のメンバーに対する配慮と言ったところで、我が子と同居しているのに認知もしないなんてありえない。遊人が物心つく前に、遥さんと遊人のことをちゃんとしなくっちゃと思っていた。


 それに真優も二十代後半に差し掛かる。この辺が潮時かなと思って、自らハウスの幕引きを画策してみたのだけど、大失敗だ。


 このハウス、女性が合議制で仕切っているようで、実際は俺がコントロールしている、そう自負していた。

 でも、実際は、そうではなかった。俺なんぞの思い通りにはならない。

 ちゃんとメンバーの総意という力学が働いて、シェアハウス全体を動かしている。そんな感じだ。


 「「「「どう? 分かった? ハウスの絆はそんなやわなもんじゃないのよ」」」」

 俺の頭の中で、四人の声が聞こえた。



 さてさて、あちらでは、どんな生活が待っているのだろうか。自分の思い通りにならなかったにもかかわらず、かなりワクワクしている俺だった。



(完)


ご愛読いただいた方、ありがとうございました。

ロス編も書いてみたい気持ちはあるのですが、情報収集とかに時間がかかりそうなので、一旦ここで(完)とします。

この話を書くにあたり、私が意識したのは「源氏物語」の現代・ラブコメ版でした。でも、読み返してみると、中身スカスカで薄っぺらで、自分の筆力のなさを痛感しています。

また、これっぽいものをぼちぼち書いてみようと思っているので、よろしくお願いします。

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