天祐神助(てんゆうしんじょ):思いがけない偶然によって助けられること
遥さんと遊人にひなたがシッターとして付いてきて、向こうではかのんちゃんと合流するという、なんか妙な展開になってきたが、とにかく残るは金子真優と山下美和の二人だ。
ひなたとの翌日、俺は真優の部屋のベッドの中にいた。
真優は、ロスへ行く同僚を成田で見送った帰りに、アメ横のアダルトショップで俺が購入した、オープンクロッチのランジェリーを着用している。
「おー、それ、懐かしいなー」
「あの時は、アメ横でこれ買って、鶯谷のラブホで、滅茶苦茶燃えたよねー」
今日の真優は、大事な話そっちのけで、エッチの方にやけに積極的だ。
「もうすぐしばらくできなくなるんだから、今夜は張り切ってよね」
「え、もうすぐって、俺の出発はまだ数か月先だぜ」
「ううん、私が先にロスに行って、淳史たちが来るのを待ってるわ」
「え、どういうこと?」
「このランジェリーを買った日に見送った彼がいたでしょ」
真優が社内の留学生試験を二次面接で辞退し、一個下の男性の同僚がロスに旅立ったのは、半年ほど前だった。
その彼が地下鉄の車内で絡まれて、ケガさせられた上に有り金を盗られたらしい。
「それでね、彼ったら、パニック障害を起こして地下鉄に乗れなくなっちゃったの」
鬱症状も発症し、近々日本に送り返されてくるらしい。
「それで急遽私に交代の白羽の矢が立ったってわけよ。それが淳史の転職の話を聴いた翌日、もちろん、二つ返事で『是非私に行かせてください』って言ったわ」
グッドタイミングを通り越して、奇跡のような話もあるもんだ。
「来月には出発して、とりあえず彼の契約したアパートに住むけど、淳史たちが来たタイミングでそっちに引っ越すから、住まいを探すときは、私の部屋も確保できる物件をお願いね」
さあ、もうこの話はお終いと、真優は俺の腰の上に馬乗りになった。
真優もひなたもロスで同居! となると残るは美和だけだ。
「もしかして、美和ちんのことを考えてるのかな?」
まだ戦闘態勢にならない俺のものを握って、真優は不満気に言った。
「ま、彼女のことなら、あまり心配いらないんじゃない?」
真優の言う通り、心配無用なような気がする。
何しろ美和は、大学も一浪して俺を追いかけて来たし、同じ会社に就職してきたし、とにかく俺に対しては筋金入りのストーカーだ。
さらに「美和ねえさま」と彼女に懐いているかのんまで同居するとなったら、彼女は。必ず、どんな手段を使ってでもロスに来るに違いない。
そう思いなおすと、真優に握られていた俺のものが、ようやく鎌首をもたげた。




