帯同依願
会社の方は何とか一件落着しそうだ。
俺はいよいよハウスのメンバー一人一人と向き合って話し合うことにした。
まずは、二つ返事でついてきてくれると思っていた遥さんからだ。
遊人を寝かしつけた後、いざとなったら身体で実力行使もするつもりで、彼女の部屋のベッドの中で話を切り出した。
「ロス行きの件だけど、俺と一緒に行くの、いやなの?」
「そんなわけないでしょ、嬉しいわよ、嬉しいに決まってるじゃない。だから割り切れないのよ」
「割り切れないって、どういうこと?」
「淳史くん、何にもわかってない。みんなのことは家族同様に思っているから、後からここに来た私が、一人だけ一緒にロスに行けるのが、心苦しいんじゃない」
「でも、だからって、遥さんが遊人と日本に残り、俺が単身赴任ってことになったところで、誰も喜ばないと思うけど。それとも海外で生活することに不安があるとかかな?」
「そんなのないよ。ねえ、知ってた? 私、帰国子女なんだよ」
知らなかった。親の仕事の都合で彼女は米国の高校を卒業したそうで、英語も堪能、米国での生活は何の抵抗もないとのことだ。
「きっと、淳史くんのサポートも、かのんちゃんもフォローもできるわ。できれば向こうで医者の仕事を探してみたいとも思っているの」
急に随分と前向きなことを言い出して、どういう魂胆なのかなと思ったところで、彼女が本題を切り出した。
「ねえ、私、ロスに行ったらすごく忙しくなりそうなんだけど、ひなたちゃんを遊人のシッターとして連れて行っていいかな」
なるほど、そういうことかい! それが目的か!
「彼女は保育園でクラスの担任だから、遊人も私以上になついているし、本人も海外で生活してみたいって言っているの」
どうやら、ひなたともすっかり打合せ済みのようだ。知らぬは俺だけってことか。
「でもさ、そんなことしたら、俺とひなたの関係、きっとあっちでも続いちゃうよ」
「なにを今更。私にプロポーズしときながら、みんなとずっとしてきたくせに」と彼女は笑った。
「淳史くんを私一人で受け止めるのは荷が重いし、アメリカ人の彼女でも作られたら、そっちの方がかなわないわよ。それに、いつ二人目ができるかわからないでしょ」
彼女の手がするすると俺のパジャマの中に侵入し、俺の敏感な部分を刺激した。
「でも、ひなたちゃんより、私とを多くしてくれなきゃ嫌よ」
そもそも俺は遥さんに手ほどきを受けたのだった。俺が彼女の身体を熟知している以上に、彼女も俺の身体を熟知している。
いざとなったら身体を使ってでも、ロス行をYESと言わせるつもりだったが、逆になってしまった。
俺はもう我慢ならずに、「分かった」と一言告げると、パジャマを脱ぎ捨て、彼女と繋がった。
話し合う前から外堀はもうすっかり埋められていた。俺は遥さんと遊人の同行と引き換えに、ひなたの帯同を認めるしかなかった。




