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合格求婚

「せっかく温泉に来たんだもの。一緒にお風呂に入りましょ」


 社長はかけ湯で身体を流すと、前も隠さずに湯船に浸かった。 

「気持ちいいわよ。淳史くんも、早くおいでなさいな」

 

 俺も社長に倣って前を隠さずに社長の隣に身を沈めた。


 身体が十分に温まったところで、社長が洗い場に移動した。

「お背中お流ししましょうか」

「そうね、お願いするわ」


 俺は手ぬぐいにボディソープをつけて由美子さんの背中をこすった。普段は社長の威厳で大きく見えるけど、こうして裸になると意外に小さい。


「こっち側もお願いしていいかな」

 どうやら胸とか、身体の前面を洗えということらしい。例のピンクの霧は見えてないのでセクシャルな要求ではない。俺がおたおたするかどうか、単に試されているのだろう。

 変に敏感な部分を刺激しないよう気を付けながら、社長の横側から腹、太ももと洗っていく。


 俺に身体を洗わせながら、社長がぽつりと言った。

「私はさ、かのんと違って器量も人並みだし、歳だってあなたよりずっと上で、身体だって、ほら、この通り年相応だしさ」


「重力に少し負けちゃう乳房も、かのんちゃんを産んで少し弛んだお腹も、経験を重ねた女性の身体って、とっても愛おしいと僕は思いますよ」


「そんなこと言っちゃって、私の身体に興味なんてないくせに」


「いいえ、俺の身体、もうこんなに反応してますよ」

 俺は、椅子に座る由美子さんと向き合った。彼女の目線のすぐ先に、俺の股間がある。


「ふーん、かのんから聞いてはいたけど、なかなか立派な身体をしているのね」

 社長は俺のものを指先ではじいた。


「じゃ、どうして私を抱こうとしないのかな」

「由美子さんがその気になっていないからですよ。俺を試してるんでしょう」


「ふふん、なるほどね」

 社長は、もういいわと俺を制し、泡を流すと立ち上がった。


「上がってワインでも飲みましょうか」

 由美子さんは部屋の電話を取り、ルームサービスにコールした。


 少し肌寒かったけど、俺たちは浴衣姿でベランダに出て、早速届けられたワインで乾杯した。

 

 由美子さんがそっと俺の肩に頭を乗せた。

「なんか、かのんのパパのこと、思い出しちゃうわ。彼、いい男だったのよ」


 俺は、由美子さんの腰に手をまわし、彼女の腰回りの余った肉をつまみ、少し弛んだお尻を触った。彼女の身体からピンクの霧が舞った。


「んんっ、さっきから何よ、くすぐったいわね」

 彼女はワイングラスをテーブルに置くと、俺の方に顔を寄せて目をつぶり、俺は彼女を抱き寄せて唇を重ねた。


「由美子さん、そろそろ中に入りませんか」


「いいけど。でも、急にどうしたの?」

 俺は無言で彼女の浴衣をまくり、腿の間に手を滑り込ませた。


「あんっ! もう、女の身体のことはなんでもお見通しってわけ?」

 由美子さんは立ち上がると「行くわよ」とベッドルームに向かった。

 

「来なさい」

 彼女は下着毎浴衣を脱ぎ捨てると、ベッドに俺を誘った。

 

 俺はじっくりと時間をかけて彼女の敏感な部分を探り、刺激した。


「ねえ、もう、ちょうだい!」

 俺の愛撫にいよいよ切羽詰まった様子の由美子さん。それを無視して刺激を続けていると、頭をはたかれた。

「私をじらそうなんて百年早いわ! さっさと入れなさい!」



「昨夜はすごく気持ちよかったわ。淳史くん、ありがとね」

 昨夜はあんなに乱れたくせに、それを恥じらうこともなく、肩を揉んでもらったかのような軽いお礼をさらっと告げる由美子さん、こういうところが大物社長の風格なんだろう。


 豪華な朝食を平らげながら、彼女は俺にオファーをした。

「二子神くん、あなた、私の会社に来なさいな」


 これは想定内だったが、彼女はさらに大事なことをさらっと告げた。

「そして、将来はかのんと結婚して、私の息子になりなさい。さもなくば、」


「さもなくば、なんですか?」


「私の夫になりなさい。これ、ちゃんとしたプロポーズだからね。返事を待ってるわ」


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