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関西出張

 俺、二子神淳史は、当社の最大顧客である大手家具チェーンの笹塚由美子ささづかゆみこ社長と関西出張に行くことになった。


 当社側は俺の直属の上司である小石川華乃こいしかわかの課長が同道、先方は社長室長の神鍋糺かんなべただしさんと社長秘書兼運転手の池澤晶いけざわあきらさんが同行する、計五名での三泊四日の出張である。

 

 笹島家具は、経営の多角化を目的に中堅のスポーツジムの経営権を|企業買収(M&A)で取得、社長の一人娘でアスリートの笹島かのんをイメージキャラクターとして経営の刷新を図っているところで、そのプロモーションに俺が外部スタッフとして参画している。

 

 今回の出張では、関西の拠点のジムの視察と現地のスタッフとの打合せを行った。

 出張三日目の夕刻までにあらかたの出張スケジュールは終了、最後の晩は「仕事抜きでゆっくりお食事でも」ということになった。


 午後五時半頃、五名が乗った車が課長と俺が宿泊するホテルに着いた。

 

「後ほどお向かえに上がりますので、それまではシャワーでも浴びておくつろぎください」と言われたので、課長と俺はいったん部屋に戻った。

 ところが部屋に入るなり池澤さんから電話があり、「至急チェックアウトしてください」とのことだった。


 フロントに課長の姿は見当たらない。どうやら呼び出されたのは俺だけのようだ。

 

 慌ただしく荷物をまとめてフロントでチェックアウトの手続きを終えると、すぐさま池澤さんに車に乗るように言われた。後部座席には笹塚社長が座っている。

「あの、小石川は同行しなくてよかったのでしょうか」と、念のため社長に確認する。

「あなたの上司は今夜は神鍋にアテンドさせます。二人でよろしくやるんじゃないかしら」


 俺を乗せると、池澤さんはすぐに車を出発させ、高速道路で神戸方面へ向かった。


「でも、二子神くんだけを拉致したのは、さすがにまずかったかな」と笹塚社長。

「ねえ、二子神くん、あの課長、あなたに気があるみたいだから、東京に戻ったらホテルに誘っちゃいなさいよ。そうすれば彼女の機嫌、きっと治るわよ」

 この社長、なんでもお見通しなんだよな。


 一時間ほどで、池澤さんの運転する車は有馬温泉の旅館に到着した。

 やはりというか、俺と社長の二人が同室で、池澤さんには別室が用意されているようだ。俺たちは母屋から独立した離れに案内された。広い畳の和室にツインのベッドルーム、ベランダには専用の露天風呂があった。ここなら有名人の社長も気兼ねなくくつろげるというものだ。


 二人きりになると、早速「お部屋で食事しましょう」ということになった.

「ここから先はプライベート、社長じゃなく、由美子さんって呼んでね」


 部屋に和食中心のコース料理が運ばれてきた。


「私はね、信頼できる人かどうかの人物判断を、こうやって一晩じっくりお付き合いして決めるの」

 酒菜、お造り、焼き魚、炊き合わせ、由美子さんは意外にもなかなかの健啖家で、出された料理を次々に平らげていった。


「今まではかのんのお気に入りだったから遠慮してたのよ」

 社長は俺のついだ日本酒を豪快に飲み干した。


 「かのんは陸上に打ち込むってことで、もう問題はないわ。早速今夜はいろいろ試させてもらうわね」

 天ぷら、そして洋皿は神戸牛のサーロイン、ご飯にデザート、フルコースの食事が終了した。

 


 食事が片付けられると、由美子さんは、部屋付きの露天風呂に俺を誘った。

「せっかく温泉に来たんだもの。一緒にお風呂に入りましょ」



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