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駅伝快走

 毎年一月に京都市で開催される「皇后杯全国都道府県対抗女子駅伝」という駅伝大会がある。西京極陸上競技場をスタートし、国立京都国際会館前で折返して再び競技場に戻る42.195kmのコースに、各都道府県の選抜47チームが九人でたすきを繋ぐ大会だ。

 オリンピックや世界陸上の日本代表に選出されるようなトップクラスの選手も出場し、TV中継もされる高名な駅伝大会だが、三区と八区は、中学二,三年生が走る区間と定められている。


 私たちのハウスの管理人、笹塚かのんちゃんは東京チームの一員として、その三区を走ることになった。

 私、山上美和は、シェアハウスの主の二子神淳史、かのんちゃんの友人の左右田彩夏ちゃんと三人で、かのんちゃんの応援に京都に駆け付けた。


 彩夏ちゃんは、一時は、私たちやシェアハウスに懐疑的な態度を取っていたが、かのんちゃんがお泊りに誘って、私とかのんちゃんで、一晩じっくりと、くんずほぐれつの親睦を深めた結果、すっかり私たちのシンパになった。

 今ではお風呂を上がると一緒にすっぽんぽんで過ごすくらいに、私たちのハウスの生活スタイルにもなじんでいる。


 かのんちゃんの走る三区は、烏丸鞍馬口からすまくらまぐちから丸太町河原町まるたまちかわらまちまでの3kmだ。

 私たちは京都御所前の沿道に陣取って、スマホで2区から3区への襷わたしのTV映像を観ていた。

 中学生ながら164㎝と長身のかのんちゃん、20位でたすきを受け取ると、ストライドの大きい、美しいフォームでぐんぐん加速し、他の選手とは段違いのスピードで前を行く選手を次々と抜き去っていた。

 

 沿道から声援を送る私たちの目の前を、かのんちゃんはあっという間にかけ抜けていった。

 

 彼女のことだから、沿道で応援する私たちを見つけたら手でも振ってくれるんじゃないかと期待したが、そんな雰囲気は微塵もなかった。

 ちらっとこちらを見たので、私たちが応援しているのは気が付いたと思う。でも、真剣な表情の中にも薄く笑みを浮かべて、前のランナーを追いかけるかのんちゃんは、まるで獲物を追いかけるチーターのようだった。

 

 そして、かのんちゃんは前を行く選手15人をごぼう抜きにし、この区間を区間賞を獲得、なんと9分01秒の区間新記録まで打ち立ててしまった。


 沿道の応援を終え、私たちが丸太町河原町近くの中継所に駆け付けると、かのんちゃんは区間賞のインタビューを受けている最中だった。


 かのんちゃんは、私たちを見つけると、レース中のあの真剣な態度とは打って変わって、インタビュー中にも関わらず手を振っている。


 インタビューを終えると、かのんちゃんは一目散に走ってきて、私に抱きついた。

「ねえさまっ、私、頑張ったんだよっ、観ててくれたよね!」


 亜麻色の髪、とび色の目の美少女ランナーの快走は、その日のスポーツニュースでも再三映像が流され、彼女は一躍全国区の有名人になった。


 かのんちゃんと私の抱擁シーンは、さすがにTV中継では流れなかったものの、誰が撮影していたのか、SNSで画像が拡散され、天才美少女ランナーの百合ねえさまとして、私まで全国区となってしまった。


2023年のこの大会の三区で、岡山県代表のドルーリー 朱瑛里しぇり選手が9分2秒の区間新記録で17人をごぼう抜きしたので、かれんちゃんには9分1秒で走ってもらいました。

偶然ですが、今年の皇后杯女子駅伝は明日(1月12日)開催されます。かれん選手より速い中学生はいるのか、興味があればご注目ください。


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