表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/65

密偵来訪

 遊人ゆうとを保育園に迎えに行った帰りに、ハウスの前でかのんちゃんのお友達と鉢合わせした。確か、先週末にお泊りに来ていた左右田彩夏そうだあやかちゃんだ。

 

 私は、午後四時までの軽勤務で、心療内科医の仕事を再開したところだ。時間が早いので他のハウスのメンバーはまだ仕事から帰宅していない。


 かのんちゃんにも連絡していない、抜き打ちアポなし訪問みたいだ。これはちょっと警戒した方が良いかも。

 

 ここじゃなんだから、まあ入ってということでリビングで話をした。


 彩夏ちゃんが遊人をあやしながら、不躾ぶしつけな質問を投げてきた。

「遥さん、シングルマザーなんですよね。この子のお父さんとは、その、別れちゃったんですか」

「いや、そもそも結婚していないのよ」


 話題が急に淳史くんに跳んだ。

「遥さんは、淳史さんとは昔っからの知り合いなんですか」

「うん。彼が、まだ高校生の頃、私が診察したのよ。その頃の彼、一途な高校生で、かわいかったんだから」


「淳史さんは、あんなに元気そうなのに、なんの病気だったんですか」

「あのね、医者には守秘義務というのがあるの。それは教えてあげられないな」


「それからずっとお付き合いを?」

「ううん、その時は患者と医者の関係でそれっきり。三年前、私の住まいが火事にあったときに偶然再会して、ここに住ませてもらえることになったの」


「ところで、遊人くん、なんか、目元とか、淳史さんに似ているような気がするんですけど」

「え、そ、そうかな。偶然じゃないかな」


「遊人くんのお父さんはどんな人なんですか?」

「え、え、誰だっけな。ほら、その頃、私、やんちゃしてて、色んな人と付き合ってたから」

(私ったら、とっさになんて下手な言い訳を、、、)


「え、女医さんが、三十代半ばになって、やんちゃですか」

「そう、私、遅咲きの男好きなのよ」

(いやああああ、私、何言ってんの!)




 遥さんは、遊人くんの父親が誰だかわからないと言ったけど、明らかに言い訳は不自然だった。遊人くんは、遥さんが淳史さんと不義密通してできた子に違いない。

 淳史さんったら、かのんちゃんという婚約者がありながら、あんな年増の女の人と!


 それにしても、私はとんでもないことに気が付いてしまった。これはとてもかのんちゃんには言えない。

 この秘密は墓場まで持って行こう、私はそう心に決めた。




 リビングで遊人のおむつを替えていると、かのんちゃんが話しかけて来た。

「ねえ、遥さんが最初に淳史と会った時って、いくつの時だったの?」


「淳史くんが十七歳で私が二十九歳の時。彼が私のクリニックに患者として来て、なんだかんだで、その時に最後までしちゃったの」


「ふーん、私と遊人くんの歳の差といっしょだね。ということは、私の相手、淳史じゃなくて遊人くんもありかな」


 かのんちゃんは遊人のおちんちんをつつきながら言った。

「遊人、お父さんみたく大きくなってね」


「でも、かのんちゃん、そうすると私が義母になっちゃうよ」

「遥さんがお母さん! それ、いいかも」


「そうなると、淳史は義理のお父さん、もし美和さんと淳史くんが籍を入れたら、美和さんは義理の継母かな」

「ややこしいなー。でも、みんな家族だと思っているから、細かいことはどうでもいいや」とかのんちゃん。


「そういえば、一昨日、彩夏ちゃんが来てたよ。何か、探りに来たって感じだったよ」

「彩夏ったら、私にも、このハウスのことで、いろいろ言ってくるのよね」


 かのんちゃんは冷たい笑みを浮かべながら言った。

「いいわ、そのうち、美和ねえさまと私で、あの子の身体によく言って聞かせるから」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ