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奇策発動

 我がシェアハウスの隣のマンションにかのんちゃんが引っ越してきた。

 

 学校があるのでさすがに常駐というわけにはいかなかったが、それでもかのんちゃんは週末になるとやってきて、ハウスで私たちと過ごすようになった。


 夜、かのんちゃんがマンションの自室に帰ってしまえば問題はないのだが、彼女は、しばしば「ねえさま」と慕う私の部屋にお泊まりするようになった。


 壁が薄く声が筒抜けになる我がハウスである。彼女が私の部屋にお泊りしている日は、敦ちゃんとの愛の行為は原則自粛していただくようにお願いした。

 さりとて一緒のベッドに入って何もしないというのは、若い男女にとってなかなかに酷な注文である。さすれば声を出さずにということになるのだが、これまた淳史がお相手では至難の業である。

 

 この日も、隣室では、折悪しく真優ちゃんが愛の営みを開始したところ、嬌声を必死にこらえようとする彼女のくぐもった声が壁越しに聞こえてきた。


「ねえさま、隣の部屋から変な唸り声みたいなのが聞こえるんだけど?」

「自殺した人の地縛霊かしらね」

「ここは元うちの会社の社宅よ。自殺者なんて出てませんけど!」


 それならポルターガイストかしらね、とか、適当な言葉を連ねて、確かめに行こうとするかのんちゃんをかろうじて押しとどめた。


 翌日、不完全燃焼に終わりフラストレーションを抱えた真優ちゃんが全員に召集をかけ、かのんちゃんのお泊りについての対策会議が行われた。

「土曜日一日のことだし、シフトから外して休養日にする?」と提案してみたが、

「せっかくの週末に何で?」「これ以上回数が減らされるのいや」と他の女性三名に一蹴されてしまった。本音を言えば、私もイヤである。


 その時、敦ちゃんがとんでもない提案をした。

「隠そうとするから難しいんだよ。いっそ全部オープンにしちゃわない?」


「そんなことしたら、私たちみんな害虫扱いされて、追い出されちゃうんじゃない?」と真優ちゃん。


「彼女は実際の行為がどんなものか知らない。こんなこととても自分にはできないと分かれば、納得して黙認してくれるんじゃないかな」


「そんなことが社長に伝わったらもっとやばくない?」

「由美子さんにはざっくり説明しておくよ」

 どんな説明をするつもりなんだ?


「となると、かのんちゃんが、とても自分には無理と思えるような、凄いのを見せられるかどうかね。で、誰がそれをやってみせるの?」と遥さん。


「私がやるわ」

 私は彼女のねえさまだもの、この役目ばかりは他の人に任せるわけにはいかない。



 その週末、かのんちゃんが私の部屋にお泊りに来た時に、手はず通り敦ちゃんが部屋にやってきた。

「俺も仲間に入れてもらってもいい?」


 ベッドに入ると、敦ちゃんと談笑するかのんちゃんを横目に。私はパジャマと下着を脱いで、生まれたままの姿になった。


「ん、ねえさま? すっぽんぽんになったりして、何をしているの?」


「かのんちゃんが淳ちゃんのことを好きなように、私も彼が好き。大人の女が好きな人と何をするのか、今夜、かのんちゃんに見てもらいたいの」

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