表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/65

呉越同舟(ごえつどうしゅう):仲の悪い者同士や敵味方が、同じ場所や境遇にいること。

「特別に、一緒に淳史の部屋に泊まらせてあげるわ」


 ここはかのんちゃんの申し出にありがたく従うことにした。


「かのん、こういうの、初めて!」

 かのんちゃんを真ん中に、三人で淳ちゃんのベッドに入る。さすがに狭いけど、彼女はとても嬉しそうだ。


「私、父親の記憶はないし、兄妹もいないし、マミーは仕事で忙しいし、そりゃ家にはお手伝いさんがいるし、学校の友達もたくさんいるけど、夜はいつも一人で寂しかったわ」


「俺がかのんちゃんの弟か妹を作ってあげようか」と敦ちゃん。

 本当にやりそうで怖いわ。


「だめよ。淳史はね、私と子どもを作るの」

 やはり油断ならないガキだ。


「私はね、子供たちが寂しい思いをしないように、にぎやかな家族を作りたいの。淳史、協力してよね」


「それまでは、俺たちみんなが、かのんちゃんの家族の代わりをしてあげるよ」と敦ちゃん。


「ホント? かのんは、昔からお姉さまが欲しかったのよ」

 

 かのんちゃんは私に方に寝返りを打ち、息がかかるくらいの距離まで顔を近づけてきた。


「ねえ、美和さん、あなたのこと、ねえさまって呼んでいい?」

「うん、もちろんよ」


 かのんちゃんが私の腕をつかんで胸に顔を埋めてくる。

「美和ねえさまっ!」

 なに、この子、やっぱりかわいいじゃない。


 翌朝、私たちはかのんちゃんと一緒に朝食を取った。私の隣で、にぎやかに話しながらトーストを頬張るかのんちゃん。かなりご機嫌の様子だ。


 この後は、お迎えの車に乗り込もうとする彼女を、「また来てね」と皆でもみくちゃにして送り出して、それで一見落着、そう思っていた。


 ところが、朝食が終わると、かのんちゃんは、打って変わって、りんとした態度でこう言い放った。

「あなたたちの生活を見せてもらったけど、その乱脈ぶりにはあきれるばかりだったわ」


 そしてこの爆弾発言だ。

「今後は私がオーナー兼管理人としてここに住みこみ、あなたたちを監督することにします」


「でも、かのんちゃん、部屋はどうする? このハウス、個室が5部屋しかないけど」と敦ちゃん。

 

 元社員寮だったこの建物は、1階はリビング、キッチン、トイレ、浴室、2階に寝室が5部屋という間取りになっている。


「はぁ? 何が悲しくて私とあろうものがこんなぼろ家に住まなきゃならないのよ」


 数日後、ハウスの隣の高級マンションにかのんちゃんが引っ越してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ