懐柔作戦
「先手を打ってこちら側に巻き取るしかないわね」
私たちは、この幼いオーナーを、徹底的に懐柔することにした。
淳あっちゃんとの打合せを終えたかのんちゃんは、私たちに向かって言い放った。
「この状況では未来のお婿さんが心配だわ。今夜はここに泊まって、あなたたちの暮らしぶりを見極めることにするわ」
かのんちゃんのお泊り宣言に、私たちは、歓声をあげて彼女に飛びついた。
「やったー、今夜は歓迎会だ!」
「一緒にお風呂、入ろうね」
「たくさんお話ししましょうね」
「それじゃ夕食の支度をするから、かのんちゃんも手伝ってくれる?」と、まず遥さんがキッチンに誘った。
「なんでオーナーの私が、あんたたちの夕食の準備なんか手伝わなきゃいけないのよ」
「ははん、さてはお料理をしたことがないのね。よし、私が淳史くんの大好物の作り方、教えちゃう。彼、きっと喜ぶよ」
「淳史くん、この肉じゃが、かのんちゃんが手伝ってくれたんだよ」
「本当に! すごくおいしいよ。ありがとう、かのんちゃん」
「えへへ」
かのんちゃんはデレた。
「あ、かのんちゃん、肉じゃがのニンジン残してる。おこちゃまだ!」とひなたちゃんが突っ込む。
「うるさいわね、子ども扱いしないでよ。初潮もあったし、胸だって膨らみ始めたし、下の毛も、って何を言わせるのよ!」
「えー、じゃ、かのんちゃん、一緒にお風呂はいろうよ」
食事が終わると、かのんちゃんは早速ひなたと真優にお風呂場に連れていかれた。
お風呂場から三人のにぎやかな声が聞こえてくる。
「あ、ほんとだ、かのんちゃんの胸、ふくらみ始めてる」
「でもこっちの方はまだつるつるだよ」
「よく見なさいよ。足を閉じると見えないけど、ほら、この辺りにちゃんと生えてるでしょ。あんっ、触るんじゃないっ!」
いよいよ就寝のという時に、遥さんが尋ねた。
「オーナーさんなんだから知っていると思うけど、寝室は五室、空いている部屋はないわ。かのんさんは誰の部屋にお泊りするのかな」
「淳史の部屋に決まってるじゃない、彼は私のお婿さんになるんだから」
「かのんちゃんは、大人の男と女が夜一緒に寝て何をするか、知ってるのかな」と、真優ちゃんがからかう。
「うっ、そんなの知ってるわよ、子供を作るために、男と女がおしべとめしべをくっつける、あれのことでしょ。保健体育の授業で習ったもん」
「そう、じゃ、今夜、かのんちゃんは淳史くんとあれしちゃうのかな」
「ふん、淳史がどうしてもしたいというんなら、構わなくてよ」
「わー、いいなー、今夜は、たっぷりかわいがってもらいなさいね」と女性4人で声を揃えてかのんちゃんを淳ちゃんの部屋へ送り出した。
私が自室に向かおうとすると、踵きびすを返して追いかけてきたかのんちゃんに、服の袖をつかまれた。
「あなた、美和さんといったわね。淳史と同じ会社の人でしょ。特別に、一緒に淳史の部屋に泊まらせてあげるわ」




