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凍解氷釈(とうかいひょうしゃく):疑問や問題が氷が解けてなくなるように解決すること

 はるかさんが避妊をしていないと知ったあくる日、私は、寝物語にあっちゃんにおねだりをした。


「遥さんとは付けずにしてるんだよね。それってやっぱり気持ちいいのかな」


「んー、俺は別にどっちでも。女性がどうなのかは、俺、わかんないから、遥さんに聞いてみて」


「そんなこと私からは聞けないよ。ねえ、私、今日は絶対確実な安全日なの。一度だけ、いいでしょ」


 敦ちゃんは、最初は躊躇していたものの、結局私の懇願に負けた。



「敦ちゃんに嘘をついて、そのまましてもらったの。そしたら予定日になっても生理が来なくて。一回だけだったのに、まさかこんなことになるなんて」


 状況がはっきりするまで、遥さんや淳史にも伏せておいたほうがいいだろう。私は、ひなちゃんとだけ情報を共有した。


「もしも本当に妊娠だったら、淳史先生、どうするかな」とひなちゃん。

「子供を産ませて、美和ちんと結婚もするって言うんじゃないかな。あいつはそういうやつだよ」


「そうなったら、遥さんはどうするかな」

「彼女だったら、黙ってここを出ていくんじゃないかな」


「そしたら美和ちゃんはどうするかな」

「彼女の性格からして、自分を許せないだろうから、そのまま淳史と結婚ってことにはならないだろうね。でも、彼女に淳史の子は堕胎おろせない。ここを出て、一人で子供を育てようとするんじゃないかな」


「それじゃ、誰も幸せにならないじゃない。私、いやだよ、そんなの」

 ひなたは泣き出してしまった。


 翌日、美和ちんが泣きながら私の部屋に来た。

「来たの。出来てなかった」

 

 その日、遥さんは帰宅しなかった。部屋を訪ねると、彼女の旅行用の鞄と服がごっそりなくなっていた。彼女の携帯を鳴らしてみたものの応答はなし。私たちは、うかつにも、このシェアハウスの壁の薄さを忘れていた。



 結局、遥さんは、一日外泊しただけで翌日には何食わぬ顔で戻ってきていた。

 そして今、淳史との愛の営みの真っ最中である。

 

 先のことは分からない。遥さんは、今日妊娠するかもしれないし、しないまま出産可能な年齢を過ぎてしまうかもしれない。 

 私たち三人は、結局またしても懸念に蓋をし、問題を先送りにして、能天気にリビングでワインを飲んでいた。


「それにしても、何だったんだろうねー、このバタバタと怒涛の結果オーライは」とひなちゃん。


 おそらく淳史だ。彼は、美和ちんの嘘も、彼女の周期も把握していたのだろう。遥さんを探し連絡を取ったのも彼だ。

 エッチがうまいだけの男じゃない、惚れ直してしまいそう。


「それにしても今日の遥さん、いつにも増して激しいね」と美和ちん。


「それじゃ、乾杯しようか」と私がワイングラスを掲げる。


「何に乾杯するの?」とひなちゃん。


「遥さんの、旺盛な性欲と敏感な身体に?」と美和ちん。

「私たちのこのシェアハウスがずっと続きますように、でしょ」


「「「乾杯!」」」

ここまでに登場した、シェアハウスの住人以外の登場人物を紹介しておきます。


山上沙織≪やまがみさおり≫(21歳)

山上美和の妹。

姉と淳史の仲を確認するためにハウスに宿泊、二人の愛の儀式を見せられる。


八神広志≪やがみひろし≫(34歳)

金子ひなたが勤務する保育園の元園長。金子ひなたの策略にはまり、浦田郁美と関係を持ってしまう。


浦田郁美≪うらたいくみ≫(26歳)

金子ひなたが勤務する保育園の現園長。学校法人の御曹司の八神広志元園長と結婚。


二子神麗美≪にこがみれみ≫(30歳)⇒50話に登場予定

淳史のことが大好きなブラコン姉。海外赴任中。



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