台風襲来
敦ちゃんの5才年上の姉・麗美さんはすごい才女で、すごくマイペースの人だ。
私たちの大学の先輩で、大手商社に入社すると、その社内留学生制度を利用して米国へ。会社の経費で経営学修士≪MBA≫を取得するとちゃかり退職してインターナショナルバンクに転職した。
米国人の年下の彼がいて、結婚する予定だとか、そうでもないとか。
その御子神淳史くんの姉の麗美さんが、この度ニューヨークからシンガポールに転勤になり、これを機に一時帰国するとのこと。
この麗美姉さん、昔っから度を外れたブラザーコンプレックスで、とにかく弟のことが大好きだで大好きで仕方がない。
御子神、山上両家の家族で、敦ちゃんと私がお付き合いすることに反対している唯一の人でもある。ちなみに理由は「私が淳史のお嫁さんになるの」とのこと。
その麗美姉さんが突然私たちのハウスに現れた。
「転勤前の最後の一夜は淳史と二人っきりで過ごそうと思ったら、家にいないじゃない」とお冠である。
麗美さんは、私を見るなり、いきなりの宣戦布告だ。
「でたな、我が宿命のライバル。淳史が家を出たというから、こんなことになっているんじゃないかと思っていたのよ。私が来たからには、あんたの思い通りにはさせないわ」
麗美さんを交え、ハウスのメンバー全員で夕食の食卓を囲んだ。
「淳史、あなたの大好物の肉じゃが、これ、私が作ったのよ」と麗美さん。
「あ、これおいしい。お姉さま」とひなた。
「なんであんたらが食べてんのよ。それに、おまえごときにお姉さま呼ばわりされる筋合いはない!」
とにかく騒がしい麗美さんである。
「淳史、しばらくぶりに姉ちゃんと一緒にお風呂入ろうよ」
「入らねえ、それに一緒に入ってたの俺が小学生の頃だろ。誤解されるような言い方すんなよ」
「ちっ。仕方ない、美和、一緒にはいろう」
私は強引に風呂場に連れていかれた。
麗美さんは、風呂場で、私の身体のチェックし始めた。
「くそっ、すっかり大人の身体になりやがって。お前が淳史の童貞を奪っのか?」
「いえ、それは私じゃなくって、、、処女は奪われましたけど」
「くっ、それでどうだった?」
「すごくよかったです!」
お姉さんは湯船に私の顔をつけて、溺れさせようとした。
「今日は淳史の部屋に泊まるわよ」と麗美さん。
「でも、姉ちゃんの分の布団ないよ」
「いいわよ。一緒のベッドで」
「いいけど、素っ裸は止めてくれよ」
「えーなんで、姉ちゃん、裸じゃないと寝られないのよ」と、口を尖らせ、甘ったるい声で敦ちゃんに文句を言う麗美さんは、それでもめげない。
「淳史、溜まってない? その気になったら、しちゃってもいいのよ」と敦ちゃんの腕を自分の胸に押し付けながら部屋に入っていった。
「この姉弟、危ない!」
この夜、ハウスのメンバーは、よからぬことが始まったら直ちに全員で踏み込んで二人を引きはがすという厳戒警戒体制を敷き、敦ちゃんの部屋の前で、交代で不寝番をした。
「私、結婚するの」
翌朝、麗美ねえさんはこっそりと私に耳打ちした。
「その前に思いを遂げようと思ったんだけど、一晩中見張られちゃ仕方ないわね」
(この人、本気だったんだ!)
「ここの連中、みんなライバルなんでしょ。不本意だけど、断腸の思いで、淳史はあなたに任せるわ」
「他の女に寝取られるんじゃないよ」
そう言い残して、麗美お姉さんは嵐のように去っていった。




