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プロローグ 名無しの神様

「おかえりなさいませ。創造主様。」


目をゆっくりと開く。死からの目覚め。要するに転生。

前世のことはぼんやりと覚えている。

でも、正直前世の知識は何一つ覚えていない。

そもそもこの声だって何らかの知識の一つで構成された言語だろう。声が聞こえる、ということそのものに…いつも通り違和感を抱く。

でも、とりあえずそんな理屈を放って言葉を発する。


「お前は誰だ。」


無意味な質問だ。無価値な質問だ。

この場において何一つ意味を成さない。こいつにも私にもやるべき使命など、あってたまるかと皮肉を込めた質問を最初から投げかける。

八方塞がりの質問に、君はどう答える。

思考するフリルのメイド服を着た白髪の少女は、解答に少々の時間を用し口を走らせる。


メイド「私の名はありません。

貴方様がそう認識したその時から私の名は消滅いたしました。

私の絶対命令は、貴方様に上位神からの要望をお伝えすること。

貴方様は人の身で神域の思考に至りました。その後、人として楽をして生きるという法則を気にせず過ごしていた様子だったため、死亡時にはこうして最下位神としての地位を最高神はお与えになりました。」


「人違いじゃないかな?

私が楽をして生きてないとでも?

私は「気に食わない」って言う理由を元に楽をして生きてきた。

人ってのはいつでも「楽」の為に生きているものだろう?」


思考することは楽だ。思考しないことはもっと楽だ。

知っている。人は「楽」な方にしか生きれない。苦しいことを抱え込むことが自分にとっての「楽」だ。抱え込んで不幸になってもそれは結果で、無実の証拠だ。

人は何一つ頑張っていないというつもりは無いが、私にとっては誰一人、「楽」からは抜け出せない。


はぁ、と目の前のメイド少女は溜息をつきジト目をし、私を睨んでくる


メイド「言葉は本当に面倒くさい。貴方に拒否権はございません。さっさと仕事をしてください。…人違いだったとしても、貴方様が……いえ、なんでもありません。」


「やだ。仕事したくない。怒りっぽいメイドの傍で仕事するなんて地獄だろ。」


ゲームをしたいと考えたら手元に某会社が作ったSwotchが手元に現れ、ポチポチと1人ゲーをして目の前のメイドから目を背ける。

夢なら覚めろ。死後の世界だろうが異世界だろうが、私には理解できない。言葉を発する時点で私の敵であることには変わりない。


意味で遊ぶことはあっても、意味で殺すことは許されない。

それが私が最初に「この世界を離れる」ことにした時の唯一の枷で、誰一人として犯してはいけない禁忌だった。

例え、それがなんの効力も無い禁忌だったとしても。

どうせ神の世界だって同じもんだ。どうせ、新しい知識なんてものは…手に入らないのだから




メイド「…主様。」



ご主人様「……何。」


メイド「人間は愚かです。などと言えばあなたの気は晴れますか?」


カンに障った。その言葉は私が抱くことを嫌悪していた言葉だ。


ご主人様「…二度と言うなそんな言葉!」

メイド「でしたら、まずはご自身が私たちを信じてください。」


至近距離で息がかかる距離に心配そうな無表情な顔を寄せられ、近ぁっ!とゲーム機を間に挟む


ご主人様「わかった、わかったから…とりあえず人間とは別視点で見ておくことにするから…」


及第点、ですか。まぁそれでもいい。

神にとって、知識(ほうそく)は大前提。ご主人様は既に全ての知識を得ている。探究していたことの終点には既にたどり着いているのですから。

それでも、人間として「それが終点」と分からないゆえに悩み続ける結果になった。

それが別の分野に向けられたものだったのなら新たな創造にはなったでしょうが、彼女はそれを用い人を救おうとした。


上位神は彼女に神託(おみくじ)として人の冗長を押さえ、人々の群の意識が離れ、群として生きる、人々を滅ぼそうとする者たちを鎮める巫女として、それは正しい行為だと言い自信を持たせようとしたが、ただでさえ神は空想とされつつある時代。曖昧な紙という接触方法では何一つ信じては貰えなかった。神だけに。


彼女は勇者や率いる者として重圧に耐えれる魂ではない。

カリスマ性や直感性には優れているため、影で導く方が彼女には合う。そうなると神官等に転生させるのが無難かと上位神会議で上がったが、

「私のご主人様の仕事を決めるのは私です。

ご主人様の自由に寄生する小童共の小細工に振り回されるご主人様などもう見たくありません」

と、脅しをかけ、無事ご主人様を人間の悪意もとい、別の神のワガママな欲望から守ることが出来ました。


心の中でガッツポーズをして無知な状態のご主人様がこちらをゲーム機越しにジト目を向けてきて


ご主人様「それで仕事って何をすればいいの?」


メイド「まずはとあるお方との面会がございます。」

ご主人様「えっ、早速嫌な仕事なんだけど」

メイド「こればかりはご容赦を。ご主人様が生前御籤を無視し続けたために起こったちょっとした拗ねでございます。」


あったなぁ。神様とか信じないから…自信持てなかった。でも、例え自信を持ってても、私は絶対に同じ行動を取ったんだろうけど、途中で挫折することは無かったんだろうな。


ご主人様「他の仕事は支度しながら聞くよ。」

メイド「わかりました。」


執務机から降りクローゼットを見に行く。

どんな服があるかと思ったら、ヒラヒラのピンクの可愛らしいネグリジェしかなく、なぜこんな服しかないのだろうと3秒ほど宇宙に意識を飛ばす。

意識を戻し、メイドの方に向き直り、これでいいのか聞くことにした。


ご主人様「もっとこう、礼服の方がいいんじゃないの?」

メイド「大丈夫です。あの親バカには喜ばれますよ。」

ご主人様「いや、親とか関係なく一応上司なんだよね?」

メイド「でしたら皆を半殺しにして貴方様に限りどんな服装でも礼服ということにさせます。」

ご主人様「そんなことしたら即解雇するからね。」

メイド「そんなことしないため早く着替えてください。」


はぁ疲れた、とネグリジェに腕を通し着替えると共に、あれ、何も問題解決してなくない?と気がついたのはつかの間、メイドに腕を引かれ、執務室から出て星の廊下を歩いていく。

通行神?はあまりいない。50歩歩いたところで何も無かったところから神殿のような重そうな扉が構築され、

メイドが扉を踵落としでぶち壊し。常識外の行動に驚きつつも極めて冷静に


ご主人様「何やってんの?」

メイド「これが礼儀でございます。」

ご主人様「なわけないよね?」

メイド「…このお方が不躾にも、ご主人様に抱きつこうとしていらしたので埋めました。」

ご主人様「とりあえず扉治しなさい。」


扉もあの執務室同様星で生成されたものと分かっていたため、このくらいの修復は簡単に出来ると踏みメイドに修復を命じた。

が、元の神殿ぽい扉ではなく、廃れた迷宮の入口のような蔦が巻きついた柱になった。入口は蔦で塞がれているが、入ろうとすれば蔦が自ずと引いてくれる。

まぁ、この人とこのメイドは喧嘩するほど仲良しなのだろう。

部屋に入ったところで50段以上ある大階段の上の玉座にふんぞり返っている「あのお方」の前に跪き頭を垂れる。珍しくメイドも頭を下げている。と思ったら


メイド「ご冥福をお祈りします。」

親?「儂滅びてないんじゃけど!!!!」

メイド「滅びてくれても良かったんですよ?」

親?「娘に会う前に滅べれるか!!!!」

メイド「ついでに、そのままだとあなたの可愛い娘が首を痛めるので下に降りてきて貰えますか?」

上司「はい。」


すぐさま、部屋の構造が大階段ではなく王宮らしい3段階段式になる。大階段の数が3段になっただけである。

直後、椅子が落ちてくるが、すとん、と軽そうに、跳ねることもなく着地する。天界すごい。


上司「よく参ったな!我が娘よ!」

メイド「というわけで会ったのですから死んでください。」

ご主人様「話をさせろ。」

メイド「承知いたしました。」


待ち遠しかったと言わんばかりに意気揚々と声を上げた上司に対してメイドが首を落としにかかるのを止める。

私の上司は君の上司でもあるのだからちょっとくらいは融通を聞かせた方がいいと思うんだけど。

何故私<この人<メイド<私なんていう三竦みになっているのか全くわからない。


で、どういう言葉を言えばいいんだっけ。社不やってただけにどう切り口を入れればいいか分からない。

ええい、どうにかなれ


私「ご機嫌麗しゅう御座います。此度の徴集に馳せ参じました。」

親?「全く変わらんなぁ…我が愛娘はっ♡」

メイド「黙ってていただけますか?」

上司「あぁ、娘が真剣に話してくれているしな。茶化すのはよそう。


地球での任務、御苦労であった。結果は残念であったが、元々失敗するプランだったしな。気にするな。」


一息で空気が変わった。

灼けるほど熱く、中は熱を発する程に冷たい。

単なる感覚。そういう存在感を放っているだけの、

小物。

だが、その言葉を発した以上、誰一人として許しはしない。


一瞬で全ての星が砕け散る。

空間が壊れ、ただ目の前の正すべき者に■を向ける。


ご主人様「失敗するからと言って諦観しているのが悪いのだと思いますが?こんな力があるのなら回りくどいことをせずに人間界に干渉することだって出来るはず。」


娘の怒号に、楽しいと口角を上げ、娘の嫌がる言葉を口にする。


上司「ほう、それを許せと申すか。管理者たるこの儂に。」


言葉を詰まらせる。

分かってる。私はどんな人にも勝てないのだ。

力を持っても、何かを殺すことなんて許せない。

自己矛盾が、許せない。無責任だからこその責任。

責任に耐えきれず、膝をつく、息を整えながら言葉を紡ぐ。


私「ごめん、なさい……失言…でした。」


上司「…よい、疾く去れ!」


王が右手を振りかざし、扉に飛んでいく私をメイドがキャッチし、去り際にメイドが一瞬王を睨みつける。

歩けますか?と聞いてくるメイドに、無理、と返すと肩を貸してくれる。

たった50歩が遠い。死んだというのにここでも自分に悩まないといけない。また、結論を……探さないといけないのか


メイド「…ここには貴方様のやることを止めるモノなどいませんよ。

何かがなくて考えないといけないことなどありません。

誰も、貴方様も、責任を負うことなんてありません。

好きなようになさってください。」

ご主人様「……疲れたから帰ったら寝る。」

メイド「はい、承知いたしました。」


ご主人様は我儘だ。それは、人として生まれる前からも。

いつだって自由を守るこの人は、「他を変えること」が出来ない。

それは生み出す者として、無自覚にも「消滅」を意味することを知っていたからなのでしょう。

地球は失われることなどない。人間にとって不利益なことはあったとしても、それは循環の材料になり、別の栄養になり、完全消滅することなどない。


突然変異も、進化の過程も、「組み合わせ」なんて基準を作ったご主人様のおかげだ。

あの父だって、あの王だって、…ただ、ご主人様が「尊ぶべき、愛するべきもの」として認識しているから。

それはそれとして、ご主人様は、何故未だ「善を抱きたい」なんて自分でもわかっているまやかしを信じこもうとしているのだろう。人間としての手癖が染み付いているのかもしれない。

ひとまずは、ご主人様の傷の治療が先決ですね。

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