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73.神父とシスター

のんびり更新とさせていただきます。

「貴女様にそこまでして頂いて、私たちは充分に満たされました。リアラ・エステマリア様。貴女様が、親の業まで背負う必要はございません。貴女様が産まれる前の出来事は貴女様でも回避は出来ませぬ。因果は巡るとは言いますが、貴女様は、その因果を断ち切ろうと奮闘しているのは、このライラックの街を見ててもよく分かるのです。物価が上がっているのにしっかりと物が売れて生活ができているのは、それだけ街の皆の懐が潤っている証拠。この領地が回っている証拠です。数ヶ月前から出回っているお茶は人々の希望だと。働けるのに仕事に溢れたもの達が新しい仕事を手に入れたと聞きます。薬師様が増えたため、気楽に薬が手に入り始めたと聞きます。それは一重に貴女様の実績でございます。私どもは分かっております。貴女様に当たってしまうのはお門違いだと言うことを。それだと言うのに、このように思いをぶつけてしまい誠に申し訳ございませんでした」



 代わりに、神父様とシスターが私に深々頭を下げてきた。その様子に慌ててしまう。



「と、とんでもないことです。それこそ、おふた方は頭を上げてください」



 私が頭を下げるふたりを静止させると、ふたりは申し訳なさそうに顔を上げて私を真っ直ぐと見る。



「ご配慮ありがとうございます。貴女様はとても懐が広い方だと言うのは、先程までの内容だけでも充分と理解しております。ご提案頂きました支援の件は、ありがたく受け取らせて頂きます。その慈悲に感謝を申し上げます」


「いえ、私も伯爵邸に来て、勉強をしていたというのにご対応が遅くなってしまい誠に申し訳ありませんでした。是非、支援の件は受け取りください。後ほど書面にてお知らせさせていただきます」



 やっと場が落ち着いてきた。私の感情までも落ち着いてきたのでやっと穏やかな会話ができる。シスターさんも先程は感情的になったと謝罪をくださったので私はそれを受け入れると、なんだかシスターさんから憑き物が落ちたようなスッキリとした顔をした。



 お互いが顔を見合わせてやっとほっとした表情をしたのだった。



「こちらの自己紹介がまだでしたね。私はクランと申します。この教会で神父をしておりまして、隣の孤児院の管理人と兼用しております」


「私はアリアと言います。クラン神父とはともにこちらでシスターを長年しております」


「丁寧にありがとう、クラン様、アリア様。それでは、目的としたお仕事関連のお話をしたいのですがいいでしょうか」



 姿勢を正してまっすぐと向き合うと、クラン様も、アリア様も穏やかな笑みを向けてくれた。なので、私は今後の事業展開における人手不足の話と、それに携わる人たちの給料の話。寮の話もつけ、更にはまだ進行中ではあるが学校の話をする。働く相手が子どもたちであるからだ。そのため、学校には是非にも行ってほしい。まだすぐにできるものではないので、まずは薬草採取をお願いして、それを時給換算で給料が付き、プラス出来高制にして最低限の賃金と、それに頑張った分が追加される話をするとふたりの顔がぱっと顔を明るくする。



 どうやら破格の待遇らしい。一応ここの孤児院ではクラン様とアリア様は文字の読み書きができるので子どもたちに計算も含めて身につけさせているとのこと。その中でもっとも優秀なのが先ほど私を迎えに来てくれたハンスらしい。勉強に興味があるのならと私は、彼は薬草採取ではなく薬師たちの研究員たちの下につけるのもありだと思った。ハンスだけでなくたっていいのだ。二人から見た優秀だと思う子どもたちにその条件を話してほしいと伝える。薬師の手伝いはそれなりに給金も弾ませるが、その分過酷なことも多いし制約も多い。それをしっかりと守ってもらわないとならない。なにせ、担うのは今後の特産品だ。機密事項も多いので下手なことは話せなくなるのだ。そこを守れなくなると、もれなく全員が解雇となって厳重に罰を与えなくてはなくなるのだ。そこを重々に承知してもらうことを前提に話をすると、2人は真剣な面持ちで頷いたのだった。



 そうして、どれくらい喋ったかは覚えていないが随分と長い時間いたらしい気が付けば喉が渇いていることに気が付いた。外を見ると、日もかなり傾き始めている。



「随分と長く滞在しすぎた見たいです。そろそろお暇させていただきますわ」



 そういってソファーを立つとふたりは初めてはっとした顔になる。そうだ、お客様にお茶のひとつも出せていないことにふたりは一瞬で青くなったのだ。



「申し訳ございません、お茶のひとつもお出ししておらず」



 アリア様なんて顔を真っ青にしている。子ども達は大人の会話だと思って扉の前で伺ていただろうが呼ばれることもなかったので準備もままならなかったのだろう。



「大丈夫ですよ、あまりお気になさらないでください」



 低姿勢で謝り続けられてしまうと流石に罪悪感が増す。まだ陽が暑い日も続くので、喉も乾いてて私としては早く帰らせて頂きたい。



「いえ、こればかりは流石に許してはいけませんよ。貴女様はとても受け答えがしっかりしておいででした。年齢を感じさせないその姿勢に私たちはついつい忘れてしまっておりました。まだ幼いということを。なので、せめてお帰りの前にお水はお出しさせて頂きたいです。お茶は申し訳ございませんが、お出しできない御無礼を失礼致します。その変わり、ご安心ください、しっかりと冷えた井戸水を浄化しお出しさせていただきます」



 クラン様が人の良いとても優しいお顔をされたので、私はその申し出を素直に受け入れた。



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