表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/103

48.王家へのご挨拶②

切りがいいので二話同日公開です



「さて、皆のところにお茶も渡ったことだし、そろそろ家族を紹介させていただこうかな。妻のエンデマリアだ」



 名前を呼ばれた王妃陛下は頭をそっと下げる。



「エンデマリアですわ。出自はリンドンベル家なのだけれどリアラ嬢はご存じかしら」


「はい、王妃様。わたくしの祖母、ミステリア・アルテンリヒト前侯爵夫人のご実家だとお伺いさせていただいております。政治界における重鎮で、現宰相閣下はリンドンベル公爵だともお聞きしておいますわ」



 私の返事に、満足そうに口紅で赤く染め上げた唇に弧を描く。なるほど、エイマー伯母様に似ている。主に、とても派手な顔。きりっとした目許に、利発そうな眉。小ぶりだが高く筋の通った鼻筋。赤い口紅がとても映える唇。そして、何より、ぼんきゅぼんな体つき。妊娠しているとは聞いたが、まだ安定期に入ったばかりなのかお腹は膨らんでいない。だが、コルセットは体の負担が激しいので、恐らく絞めていないだろう。それでも、そのナイスバディ。



 絶対に私が男だったらムラムラするし、彼女に微笑まれれば堕ちる。国王陛下とご結婚をされる前は父が婚約者だったはずだが、何をどうして彼女を振ろうと思ったのか。そんなにまで母が美しかったのだろうか。姿絵も見る気が起きずに、徹底して避けていたので、その容姿を確認するには私が鏡に立って自分と向き合うときだけだ。今では鏡も、身ぎれいにするとき以外は見たくない。



「ちゃんと勉強しておりますね、リアラ嬢はしっかりとされているのね」


「リドクリフ様がつけていただきました家庭教師の方々の教え方がとてもお上手なのです。私が分からないと思ったところはとても丁寧にかみ砕いて説明してくださるので、学ぶという行為がとても楽しいですわ」



 私の心からの言葉に、少しだけ鋭く感じる目許が丸くなる。そうして、数秒で穏やかな母親の顔をすると、



「そう」



 ただ一言、頷いた。



「所作もとても綺麗で、娘のエンネアよりもよく出来ているわ。貴女の家庭教師が満期を迎えましたら是非エンネアにつけさせていただきたいわね」


「義姉様からそのようにお言葉をいただけたと聞いてしまうと倒れられてしましますよ」


「そうかしら」



 冗談交じりに交わされる言葉に、笑顔で応えていく。それでも、見える言葉の端々に別段悪意は感じられない。一番、私の両親の被害を受けたであろうお方であるというのに、向けられる優しい笑みに言葉にとてもできた人だというのが感じられた。



「さて、私ばかり話してても面白くないわよね。エンネア、フランシスに会話をつなげてもらおうかしら」


「お母様、流石に雑過ぎますよ。エステマリア伯爵令嬢、初めまして。長男のフランシスです」


「長女のエンネアよ。本当に、悔しいくらいに綺麗な所作だったわ。何かコツがあるの?私、いつもマナーの先生に怒られてしまうの」



 同じ顔の男女がそれぞれに言葉を投げかけてくる。



 エンネア殿下は、ミルクティー色の長い髪をくるくると巻いて、父親似の目許をくるくるとまわして表情がとても変わる。それは、とても愛くるしくめでたく成る。



 そして、フランシス王子はエンネアお嬢様よりは口数が多くなくどこか表情も作っている。性格までも父親似なのだろうかと思うくらいには、完璧な笑顔を向けるので、彼の本心が良く見えない。言葉短く挨拶されたので、尚更。



 なので、コミュ力高いエンネア殿下と自然と会話することとなる。



「フランシス殿下、エンネア殿下、ご挨拶ありがとう存じます。リアラ・エステマリアでございます。ぜひ、リアラとお呼びください。マナーのコツとのことで、エンネア殿下。私がしている事ですね。それは、きっちりかっちりではなく、ある程度雑にするようしていることです」


「え、それしたら怒られない?」


「雑にしても、綺麗に見せるようにしています。これが私の日常なのだと、体にしみこませているのです。マナーと意識してしまうと、力が入って逆に不自然になるので、ある程度力を抜いてでも、相対しました相手がすごいと言わせるような所作を目指して、日々ご指導をいただいております」



 そうしないと、息が苦しくなってしまうから。私の貴族後見人はリドクリフ様だ。彼は、王族だから、だから下手な日常生活でのマナーも雑になってしまうとそれですら減点対象となるだろう。心を完全に許した相手にはかなり崩れてきているが、それでも屋敷内ではルーナとユリアとエリシアの前以外では常に意識していたし、先生たちの前では特にそうだった。そうして、日常生活にまでを落とし込んである程度それが身に着いた時、どのような場面でも対応できるようにしている。



 そうして身に着けた所作だから、褒められると素直にうれしいのだ。そして、その話を追加で伝えると、エンネア殿下は天を仰いだ。



「そんなの無理よ~……私だったら絶対に、授業以外になったとたんに力抜けちゃうもの」


「エンネアには無理だろうな。普段から廊下を走ってビルダに怒られる」


「ちょっと、フランシス、あとで覚えておきなさい?!」



 ここでやっとフランシス殿下の一面が見れたように思える。エンネア殿下に相対するその姿はとても年相応だった。仲の良い兄妹なのだろう。その姿が眩しくて、少しだけ羨ましくて、じゃれる二人の姿を見つめていた。


「……んだよ……なんで、そんなに和やかにお茶会ができるんだよ……」



 こののんびりとした会話にとうとう声を上げたのは一番下の王子様だった。


一口メモ:エンネアの苦手な相手はフランシス

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ