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47.王家へのご挨拶①



 こっからは、仕事のない貴族は通れない。行政に関する者が殆どだが、時折帯剣している人もいるので、おそらく騎士団の人たちもいるのだろう。



 逆に、使用人たちは全然見られないのは、彼らには彼らの通る道があるから。だから、生活空間では滅多にそういう人たちは見ることはない。そういうところ、ショッピングモールの従業員通路を思い出してしまう。貴族の屋敷はとてもよく出来ているものだと感心してしまうのだ。



 赤い絨毯が敷かれた建物の廊下は、とても豪華だ。高い天井に、高い部屋の扉。リドクリフ様のお屋敷もそうだが、この大都会の土地にこんな大きた建物を建てるスペースってあるんだなと感慨深く感じる。



 ついつい、ほぉっとため息がついて、見上げてしまう。高い位置にあるシャンデリアたちは、きっと生活魔法で明かりを着けたり消したりしているのだろうか。なんて思っていた時に、地につけていた足が宙に浮いた。



 いつもの収まる腕の中はとうとう私の特等席となっている気がする。あと何回抱き上げられるのだろうか。子どもの成長は早いから。5歳だってそれなりに身長があるはず。6歳になったら5歳よりも大きく、7歳は6歳よりも大きくなる。恐らく抱っこが出来るのは7歳までだろうと思いながら、人目が少ないところを見るとここからは抱えられてもいいのだろうと納得した。



 ルドガー伯父様からも特に何か言われるわけではない。私とリドクリフ様はしっかりと書面に書かれた婚約者同士だから、この距離感に特に何かを言うつもりもないのだろう。少しだけ過保護に目を光らせている様子はあるが。



 時折、すれ違う行政官たちがぎょっとした表情で私たちを見るては、特に何かを言うこともなく仕事に戻ってくれる。公私混同しないのはとても美徳である。先ほどのたくさんのギャラリーの人たちは絶対に出来ないだろう。ただ、きっと、ここで見聞きしたことは社交界で広がるのだろうとも思う。私が哀れで婚約者となった閣下から、私を溺愛して婚約者になったとすり替わっていないことを祈るしかない。



 道すがら、雑談程度にルドガー伯父様から、「今日はルーナさんは来ていないんだね」と言われて、ふと気が付いた。最近、ルーナに渡すお土産のお菓子たち。王都のお店はよくわかっていないが、ソングライン邸での専属メイドのルリアに聞いた話だと、どれも人気なお菓子の店で、かなりの時間並ぶのだそうだ。それを毎日種類違いで持ってくる。私へのお土産のカモフラージュで。



 これはもう、ちょっと?お兄さん。とにやにやしてしまうが、ルーナって何歳だっけかとふと思うと、私とリドクリフ様よりも年齢差があるんじゃないかと戦評する。



 だが、問題にならないのはルーナがしっかりと成人している年齢だからだ。この世界では社交界デビューができる年齢、15歳が成人とみなされている。就職課、高校受験かの瀬戸際に立たされるような年齢で成人かとは思うが、前世でも高校生にも選挙権を高校生からもらえたのだから、年齢の価値観はそれぞれの時代によって変動するのも分かっている。



 「今日は、下手なことをすると怖いからと、全てハルシュタイン氏にお願いしていました」



 ルドガー伯父様に伝えると、帰りにまた立ち寄らせていただきますと言ってきた。これはもう黒だし、私がそれを察したというのをきっと気が付いている。



 貰ったお菓子は一緒に食べているので、おこぼれに預かっている現状喜んでとしか言わない。言外に応援していますよーとも込めながら。



 リドクリフ様もその言葉に気が付いたらしく、少しだけ表情がにやにやとしていた。それを見なかったことにしながら、とある扉の前で足が止まる。



「んっんー……国王陛下御家族はこちらにおられます」



 咳ばらいを一度して、辿り着いた一室は先ほどから流れて見えていた部屋たちの扉と大して変わらなかった。どれぐらい歩いただろうか。どのような道を通ったかも覚えていない。この部屋自体、他の部屋の扉たちと大して見分けがつかないのだ。謁見の間だとかもっと豪華だと思ったていたのだ。それだというのに、シンプルな作りの扉。



 リドクリフ様は、その扉の前で私を下ろすと、それを合図だとみてルドガー伯父様が数回ノックした後、返事を待って扉を開いた。



「ようこそ、エステマリア伯爵令嬢。リドクリフ、スティルス。公式面会だが、ほぼプライベートだ。緊張しなくていい」



 真ん中に楕円形の机。並んでいた扉3つ分の部屋の広さ。打合せとかをしていた時に思い浮かべる会議室に似た作りだ。



 そしてまたこの構造なのか。アルテンリヒトの家でも同じような事を経験している。主賓席に国王陛下。右隣に王妃陛下。そして、その横に王女様と王子様2人が座っている。



 全員がミルクティー色の髪色に、綺麗なエメラルド色をしている。王女様と王子様は、顔の造りが全く同じで、性別を反転させているよう。更に、もう一人の王子様は私と同じくらいの年に見える。



 とりあえずは、招いていただいたことへの感謝と王家の皆さんにお会いできたことへの喜びの謝辞を述べる。緊張しなくていいとは言われたが楽にしていいとも、崩していいともいわれていない。やることはかっちりとはめていく。綺麗なカーテシーを見せると、王妃陛下の見る視線が変わった。



「丁寧な挨拶をありがとう。先日、リドクリフの屋敷に行った時に、お土産で君たちが作ったというハーブティーを淹れていてね。良かったらそれを飲みながら私の家族を紹介させてもらっていいかな」



 席に座っていいよと促され、リドクリフ様が陛下の隣に。その隣に私、ハルシュタイン氏、ルドガー伯父様の順で着席した。



「一応、妊婦に毒になるかどうかは、その線に強い知り合いで確認はとっているからエンデマリアも飲んで大丈夫だよ」



 そういって、人数分の茶器が準備される。そして、王妃陛下は妊娠されているのですね。一応ハーブティーをこちらに回していいかと確認して回した記憶があるが、それは確かにあまり紅茶を飲ませるのは難しいだろう。あと心配なのは子どもたちも飲めるかどうかだ。上の2人はある程度しっかりしているから問題ないが、心配なのは私と同い年に見える王子様。



 一応、5歳児の私の舌が問題ないと判断して飲んでいるが、好みは別だ。気に入ってもらえないならそれでいいもいいが、文句を言われると少し面倒くさいなと思いながらも、にこにこと笑顔を崩すことなく「光栄なことですわ」とだけ返事した。


一口メモ:おそらく一目惚れに近い

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