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29.父の兄弟一家のご挨拶


「父上」



 私とアーレン伯父様の会話をしている後ろで、声がかかる。そこには、しっかりと礼装を身に包んだ3人の子どもが横一列に並んでおり、最後には一人の貴婦人が静かにたたずんでいた。



「ああ、そうだった。リアラ、私の家族を紹介してもよろしいかな」


「はじめまして、長男のアーサー・アルテンリヒトです」


「次男のアンドリュー・アルテンリヒトです」


「長女のアルトリア・アルテンリヒトですわ。とっても可愛らしいですわね。ソングライン閣下が等身のお人形さんを抱えていると思ってしまいましたの。私、妹が欲しかったから、よろしかったら仲良くしてくださる?」



 男の子たちはかわるがわる私の手をとって、指先に口づけをしてくれる。最期の、アルトリア様は私の手をとって、お母さま譲りのエメラルドグリーンの瞳をキラキラとさせてくれた。悪い人ではないというのがひしひしと伝わってきた。それが嬉しくて、頬を染めて満面の笑みを向けると、「ぜひ、仲良くしていただけますと嬉しいわ」と答えれば、きゃーっと嬉しそうにはしゃいでくれる。



 それを、貴婦人がなだめるようによかったわねと頭を撫でていた。親子仲がいい家族はいい家族だなと改めて思った。そして、最後。チョコレート色の髪の毛を綺麗にまとめ上げて、エメラルドグリーンの瞳をもつ、とても落ち着いた貴婦人が私に軽く頭を下げてくれた。



「アーレン・アルテンリヒトの妻。メイサ・アルテンリヒトと申しますわ。以降お見知りおきくださいませ」


「このような体制でのご挨拶大変失礼いたします。アーサー様、アンドリュー様、アルトリア様、メイサ様。フィリップ・エステマリアの一人娘、リアラ・エステマリアです。若輩者ですが、今後の領地開発のため、尽力を尽くさせていただきたく、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」



 私が、閣下の腕の中でぺこりと頭を下げると、アーレン一家はほっこりとした表情で応えてくれた。そして、最後にアーレン伯父様から、上から15歳、13歳、10歳なのだと教えてくれる。アーサーは今年の夏には社交界デビューが決まっており、9月からは王都の貴族学校へと入学するのだとか。一族の子どもの中で一番年上で、しっかりとし、面倒見がいいと言う。確かに、立ち居振る舞いが既に小さい侯爵様だ。将来が約束されたその責任をしっかりと果たすため、背中がまっすぐと伸びてかっこいい。



 アーレン一家を皮切りに、家族を紹介するように現れてくる身内の方々。次に現れたのは、ウィントルソン伯爵一家だった。エイマー伯母様の嫁がれたお家だ。3人の男の子と1人の女の子。エイマー伯母様は大変厳しいお方なのだろう。私に向ける視線に敵意はないが、とても鋭く私をしっかりと見定めようとしている素振りがある。長男から、ロイド。次男のタルマ、3男のユージン、長女のミレイユと挨拶をいただいて、旦那様のフォルスター・ウィントルソン伯爵様が挨拶をして締めくくってくれた。



 そこに最期に私が同じような挨拶をすると、エイマー伯母様以外は和やかに返してくれる。



「もう、エイマー、君のそういう他人にも自分にも厳しいところはとてもいいところだけど顔がとても美人だからその目つきで怖がられてしまっているよ?」



 フォルスター様が、ずっと眉間に皺を寄せているエイマー伯母様の頬をつつくと、それが一変して頬を染めて表情が崩れる。



「な、なななな、何をするのですフォルッ!!こんな人前でッ」



 崩れた顔を隠すように扇を開いた。どうやら、エイマー伯母様はツンデレ要素があるようだ。ぼんきゅぼんのナイスバディで、顔も少しきつい美女がツンデレ。要素多くないか、この家系。



「リアラ嬢、エイマーは君のことを嫌っていないよ。確かに、フィリップ君は少し、……いやぁ、うん。かなり問題はあったけれど、君自体はまだ未知数だからね。警戒はしているけれど、君を最初から敵だとかそんなことは考えていないんだ。この顔は生まれつきで、いつも怖いって遠目に見られてしまうから、怖がらないであげてね。実はあの見た目で子どもは好きなんだよ」


「フォル、余計なことは言わなくていいのよ」



 慌てたように、フォルスター様の肩をたたく。そのやりとりだけで信頼関係があるのが手に取ってわかる。おっとり穏やかなフォルスター様とツンデレエイマー様。このふたりは推せると、心の中で静かにサムズアップした。父にはあまり期待はしていなかったが、このアルテンリヒト家という繋がりを持たせてくれたことには感謝しなくてはならないな。



 そして、子どもたちがフォルスター様とエイマー伯母様を引っ張って目の前を退散していった次は、人懐っこい笑顔を向ける男性が顔を出した。確か、顔合わせの席では、男性側の一番端にいた、



「アルテンリヒト家の末の息子、マルエルだよ。こうやって挨拶をするのは2回目だね、リアラ」



 人懐っこい笑顔を向けているというのに、その目は笑っておらず背筋がぞくりとした。完全なる敵意を感じる。私は、少しだけ閣下の服をつまんだ後、息を浅く吐く。



「先ほどぶりですわね、マルエル叔父様」


「相変わらずリアラはとてもしっかりしているなぁ。フィリップお兄様の子どもだとは思えないよ。僕にも、君と同じ年の娘がいるんだ。妻と一緒に挨拶をしてもいいかな」



 向けられる冷たい視線にだんだんと意識が遠のいていきそうだ。怖いという恐怖が侵略するが、隙を見せてはいけない。紹介された、彼の妻と同じ年の娘さんの名前がどうしても頭に入らなくて、彼女たちの名前をおうむ返しに返し、軽い挨拶を返すことしかできなかった。



「本当、リアラは利発だね。僕も同じ年の娘を持っているからよくわかる。愛嬌がとてもあるね。ソングライン閣下から送られてきた報告書も見たよ。君が考えたんだって?子どもでは考えられないもので驚いたよ」



 ぺらぺらと称賛の言葉を並べられているようで、行間を読むと、媚売りがとても上手だ、どうせ君が考えたものじゃないのだろう?と言っている。そりゃあ、あれを5歳児が考えたとなると大人たちから見たら信用できない物だろうが。そうやってあらかさまな敵意をむき出しに言われてしまうと流石に、体調が悪くなる。愛想笑いで誤魔化して乗り切ろうとするのに、マルエル叔父様はちっとも私から離れようとしない。



――そろそろ本当に笑えなくなってきたかも



 意識が飛びそうだと思った時だった、



「マルエル、そろそろお兄ちゃんに挨拶の交代をしてもらえないかな」



 聞きなれたほんわかとした声が、マルエル叔父様の後ろから届いた。


一口メモ:エイマー編

名前:エイマー・ウィントルソン

性別:女

年齢:30歳

自分にも他人にも厳しくをモットーに、社交界では華をさかせている。ぼんきゅぼんのナイスバディで、少しきつめの顔つきは、悪役令嬢さながら。旦那のフォルスターはそういうところ含めて愛しくてかわいいといつも伝えているので、いつも二人きりの時は糖度がすごい。子どもたちも両親の仲の良さを疑っておらず、毎日、飽きもしない父から母への愛情表現をみて少しだけ遠くを見つめることが多い。

兄弟たちも分別しっかりして仲がいい

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