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16.驚きの事実



 先生と別れてから、泣きつかれたのか、はたまたここ最近の慌ただしさに気が付いたら夢の中にいた。気が付いたら西日が傾いて、部屋の中をオレンジ色に染め上げている時間だった。



 大きく口を開けてあくびを零しながら、私はベッドに腰を掛けると、だんだんと暗くなっていく窓の外を眺めていた。昼寝から起きると体ってどうしても重たくなってしまうのだ。動き出した方がいいと思っているのだが、回転をしていない頭は私の体を動かすことをしないのでただぼーっとしていた。普段はお昼寝をすると、ご飯の時間まで寝ているので今日はこの時間に起きたのは初めてだった。



 私以外誰もいないこの部屋は、すごく静かでどこか寂しい。小さな体な私にとって、この部屋はとても広いのだ。大人になった後でも十分広い。いつも、使用人が3人一緒にいてくれるから十分な広さを感じていたが、いざ一人だけだと寒く感じる。



 私は、さすがにそろそろ誰かを呼ぼうとベッドから降りて靴を履いた時だった、扉からノックの音がした。返事をする前にそれはすんなりと開いた。顔を覗かせたのはルーナだ。私は、驚きで目を丸くしていると、同じように私が起きていると思っていなかったのかルーナも目を丸くさせた。しかし、相手はさすが大人だ。すぐにいつもの調子に戻ると、軽く頭を下げた。



「起きておられましたか、返事も待たずに入ってしまい申し訳ございません」


「あ、ううん。いいの、私が返事遅かっただけだから」



 突然の謝罪に慌てて首を横に振ると、ありがとうございます、と言ってゆっくりと笑みを向けてくれる。その姿に安堵をしながら、喉が渇いたことに気が付いて私はサイドテーブルに置いてある水差しに手を伸ばす。コップに水を汲んで飲みながら、ルーナの方を見ると何やら指を立てて蝋燭台に指先を向けるとそこからぽっと火がともる。



「えっ?!」



 私の驚いた声に、はっとしたルーナは慌てて私に頭を下げた。



「申し訳ありません。お見苦しいところを、生活魔法は主人たちに見せてはいけないものでした。お嬢様がこちらを見ていないとばかりに……」



 深く下がるルーナを見て私は先ほどの様子に驚きから動けない。というより、この世界って魔法がある事実に固まってしまう。どうやら、使用するには制約がいくつかあるらしいが、それでもその事実にびっくりなのだ。驚きと興奮で、謝罪しているルーナそっちのけで彼女に駆け寄ると彼女の紺色のお仕着せのスカートをひっぱる。



「ルーナすごい!すごい!え、これ魔法っていうの?私初めて見た」



 私が5歳児らしい反応を見せるからか、叱らないからかは分からないがルーナは目を丸くして私を見る。



「あの、怒らないのですか」


「なんで、怒らないとならないの」


「いえ、あの。生活魔法はとても優秀なものではないので。誰でも出来ますし、こういうのは貴族の方たちは好まず、目の前で見せてはならないと言われているんです」


「そうなんだ。でも、私この5年間、他の人が魔法を使っているところは見たことないし、身近なお貴族様は閣下と家庭教師の方々くらいしかいらっしゃらないからそういう知識も持っていなかったよ?それに、それを知っていても怒る理由にはならないから気にしないで」



 そう、この5年間私の身の回りで貴族でいうまともな魔法どころか生活魔法すら見ていないのだ。この世界に魔法というものが存在していたことすら今知ったし、今教えてもらったくらいなのに、その驚きの事実の前ではそんな貴族マナーな内容なんてどうでもいい。閣下含めて家庭教師の先生方が私にそれを教えなかったということは、今の段階でそれが必要ないということだろうと思うし、ルーナは少し気にしすぎなのだ。



「生活魔法ってどういうことをするの?」



 この世界に生まれて5年間。それを目の当たりにしなかったのだ。普段使いにしても、局所的なところで使用するのだろうか。それを私もできるのだろうか。私は、未知なるものにわくわくと目を輝かせてルーナを見上げた。


「大したことは本当にできませんが、皆々が小さな炎をともしたり。水差しいっぱいの水を出したり、汚れたものを綺麗にしたりと、するくらいですよ。主に、洗濯や皿洗いなどは基本魔法を使用しております。調理場の火の調整などもそうですね。私たち平民は魔力が特別多いわけでもないので、それくらいだけですが、貴族のご子息様たちはもっと幅広い魔法を学ぶために王都にあります貴族の学校に行かれると聞いております」


「そうなんだ」


「はい。ですので、お嬢様も然る時になりましたら王都にて学校へ通われるかと思います」



 さっきリベルティア先生に王都に行く気がないって声高に宣言しちゃったよ。なんで、その時にこういうはなしにならなかったのだろうか。魔法のことも貴族の学校のことも今初めてしったのだ。正直に王都にはあまり行きたいとも思わない。何せ、私の家の事情が事情なのだ。きっと、噂に尾鰭がついて泳いで膨張しているのだ。まともな噂なんてないに等しい。絶対に行きたくないが、これは恐らくこの世界の義務教育だろう。これが何歳からかはわからないが、とりあえずそれまでにこの領を整えるところまでしないといけない。



 早急にこの領でしたいことリストを詳細に作って閣下に提出しないと。



 学校生活ではきっと仕事も出来ないだろうが、自由な時間は取れそうだ。少しでも作曲活動ができるならいいな。



「そういえば」



 私が将来設計をうんうんと考えている時だ。ルーナは思い出したと言わんばかりに手をたたいた。



「本日の晩餐には閣下もご一緒されるとのことで、こちらの館に来られるそうです。準備いたしましょうか」



 笑顔で告げてくる言葉に私は、笑顔で返事をした。

一口メモ:エルガー編

最近姉が狂ってて怖い

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